日野自動車、物流現場での使い勝手を追求した超低床・ウォークスルーの小型EVトラックを開発
商品・技術情報
2021年4月15日
No.21-010
これからの「物流のラストワンマイル」に向けた新たな提案
「日野デュトロ Z EV」として2022年初夏発売予定
日野自動車株式会社(本社:東京都日野市、社長:下義生、以下 日野)は、物流現場における使い勝手とカーボンフリーを高次元で両立する、ウォークスルーバン型の超低床・前輪駆動小型EVトラックを開発しました。これからの「物流のラストワンマイル」に向けた日野の新たな提案として、2022年初夏に「日野デュトロ Z(ズィー) EV」の名称で市場導入予定です。
昨今、労働人口の減少やeコマースの拡大などを背景に、荷物を生活者に届ける「物流のラストワンマイル」の現場では、ドライバー不足をはじめ、荷役作業等の配達業務の身体的負荷、荷物の増加や多様化への対応といった課題が深刻化しています。今後、荷物量のさらなる増加も見込まれ、こうした課題への早急な対応に迫られています。また、カーボンニュートラルに向けた世界的な潮流から、物流事業者の環境経営へのニーズも高まっています。
日野は、お客様の目線で現場の課題をとらえ、これらの困りごとを解決する「超低床・前輪駆動」のEVを開発しました。従来の後輪駆動車と比べて床面地上高は半分の約400mmという超低床構造を実現し、荷役作業性や乗降性を大幅に向上させました。さらにウォークスルー構造で宅配現場での使い勝手の良さも追求しています。航続距離は、宅配用途に必要な100km以上を目指しました。
ウォークスルーバンに加えて、用途に応じた荷台を架装できるキャブシャシ型も設定し、お客様のビジネス形態に合わせた架装をお選びいただけます。
また、現行の日野デュトロより一回り小さいサイズ感とすることで、住宅街を走行しやすいことはもちろん、普通免許で運転可能とし、ドライバー人材確保にも貢献します。コンパクトな車体ながら、必要な荷室容積を確保しています。
活躍するシーンとして、主に市街地での宅配を想定しており、さらに店舗内、倉庫内、空港等の大規模施設内での用途や、夜間・早朝の稼動等、場所と時間を選ばない幅広い活用が期待できます。
■下社長のコメント
「日野初の本格EVである日野デュトロ Z EVは、これからの物流のラストワンマイルに、自信を持ってご提案する"使えるEVトラック"です。宅配物流に焦点を当て、お客様の貴重なご意見を伺いながら完成させました。その答えが、使い勝手を追求した"超低床ウォークスルーEVバン"という形です。」
■特長
「物流のラストワンマイル」の現場での使い勝手を追求
-超低床構造 : 荷役作業性・乗降性を大幅に向上、ドライバーの負担軽減。必要な荷室容量を確保
-ウォークスルー構造 : お客様の声を反映し、現場での使い勝手を追求
-普通免許で運転可能&EVならではのイージードライブで、ドライバー人材確保に貢献
-市街地走行に必要な先進安全技術を装備
-ゼロエミッションと高い静粛性で、周辺環境にも配慮
■新開発のEV専用シャシ
今回開発したEVトラックは、ラストワンマイルに最適化した新開発EVシャシを採用。従来のエンジンとトランスミッションの代わりにコンパクトなモーターをキャブ下に搭載し、前輪を駆動します。バッテリーを荷台床下のフレームの内側に搭載し、それ以外の電動ユニットはほとんどキャブ下に収め、従来の後輪駆動車では実現困難だった超低床を実現させました。日野独自開発により電動車量産に必要な技術を手の内化し、今後の電動車開発に活かしてまいります。
■画像
<外観>
■主要諸元 (ウォークスルー型・参考値)
全長×全幅×全高 |
約4.7×1.7×2.3 [m] |
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床面地上高 | 約400 [mm] | |
車両総重量 | 3.5t 未満 | |
乗員 |
2人 |
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モーター | 種類 |
永久磁石式同期モーター |
最高出力 |
50 [kW] |
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バッテリー | 種類 | リチウムイオンバッテリー |
容量 | 40 [kWh] ※1 | |
充電方法 |
普通充電 急速充電(CHAdeMO方式) |
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主な安全装備 |
PCS ※2(プリクラッシュセーフティシステム) |
※1 当社調べ
※2「PCS」はトヨタ自動車(株)の商標です
【商用領域におけるCASE技術の普及促進に向けて】
いすゞ自動車・トヨタ自動車との商用事業協業における電動コンポーネントなどの技術面での連携も含め、電動商用車の普及促進に努めてまいります。
コンセプト動画
チーフエンジニアによる解説動画
以上
【SDGs(持続可能な開発目標)達成への貢献】
日野では、自由に安全に効率的に、人と物が移動する「豊かで住みよい持続可能な社会」の実現を目指し、お客様・社会への価値提供として①日野車による「交通死亡事故ゼロ」、②「CO₂排出量の大幅削減」、③「お客様ビジネスの発展支援」、④「人流・物流の更なる効率化」の4つに取り組んでいます。
本件は、②「CO₂排出量の大幅削減」③「お客様ビジネスの発展支援」を通じて、SDGsの以下の目標達成に貢献します。
【1】
安心・安全で、環境にやさしく、人と物が、自由に最適に移動できる社会の実現
交通死亡事故ゼロ、CO₂排出量の大幅削減、人流物流のさらなる効率化によって、「豊かで住みよい持続可能な社会」実現を目指します。
【2】
トラック・バス事業における各ステップで、環境負荷最小化
トラック・バスが地球に与える環境負荷を極限まで低減する取り組み『日野環境チャレンジ2050』で、地球温暖化防止、資源循環、生物多様性保全などに貢献します。
(参考)
SDGsと日野の戦略・取組み(PDF)
安心・安全で、環境にやさしく、人と物が、自由に最適に移動できる社会の実現(PDF)
トラック・バス事業における各ステップで、環境負荷最小化(PDF)