日野自動車、ダカールラリー2016に日野レンジャー2台で参戦
イベント
2015年10月14日
No.15-021
日野自動車株式会社(以下、日野)は、2016年1月2日にアルゼンチンのブエノスアイレスをスタートする「ダカールラリー2016」のトラック部門に、菅原義正氏率いるチームスガワラと共に「日野チームスガワラ」として、「日野レンジャー」2台で参戦し、総合上位と排気量10リットル未満クラス7連覇を狙います。
日野は、トラック部門での総合上位入賞を目標に、2014年大会から3年かけて従来のエンジンよりも排気量が1リットル大きいA09Cエンジンを搭載した新型レーシングトラックの開発を進めてきました。ダカールラリー2016の参戦車は、前回2015年大会に参戦した車両をベースにエンジンとサスペンションを強化し、さらに、300kgの軽量化に成功。昨年から開発を開始した新機構の吸排気系部品を組み付けた9リットルのエンジンを2台の日野レンジャーに搭載しています。1号車は、今年インドネシアやタイで販売を開始した新型HINO500 Seriesのフェイスデザインを採用し、イメージを一新しました。
レースを支えるメカニックは、例年通り日野販売会社から公募選抜され、東京日野自動車(株)、静岡日野自動車(株)、香川日野自動車(株)、九州日野自動車(株)から各1人が参戦します。昨年に引き続き、日野からも車両生技部からメカニックとして1人、エンジン設計部からエンジニアとして1人が参戦します。
日野は、世界最高峰のレースに挑戦し続けることで、世界中のお客様やモータースポーツファンと感動を分かち合い、HINOブランドの醸成を図ります。
1. チーム体制について (※は新任)
● ドライバー・ナビゲーター
菅原 義正(すがわら よしまさ) ・・・チーム代表兼1号車ドライバー (1941年5月31日生まれ、74歳。北海道小樽市出身)
日本レーシングマネージメント(株) 取締役会長
・ダカール史上最多の20回連続完走
・ダカール史上最多の33回連続出場 (記録更新中)
・ダカール史上初の全部門出場 (二輪・四輪・トラック)
・トラック部門総合2位 6回、排気量10L未満クラス優勝 7回
・トラック部門での完走率 96% (出場23回中22回)
髙橋 貢(たかはし みつぐ) ※ ・・・1号車ナビゲーター (1975年7月4日生まれ、40歳。秋田県横手市出身)
日本レーシングマネージメント(株)所属
・2011年にダカールラリーのアシスタントカーのドライバーとして初参戦し、2015年までチームを支えてきた。
ラリーモンゴリア(2012・2013・2015)で菅原義正氏のナビゲーターとして実績を重ね、初めてダカールラリーにナビゲーターとして出場する。
菅原 照仁(すがわら てるひと) ・・・2号車ドライバー (1972年7月13日、43歳。東京都港区出身。菅原義正の次男)
日本レーシングマネージメント(株) 代表取締役社長
・1998年 ダカールラリーにメカニック参戦
・1999年 ダカールラリーにナビゲーター参戦
・2003年 エジプトファラオラリーにドライバー参戦し、トラック部門総合優勝 (日本人初)
・2005年 ダカールラリーにドライバー参戦
・2015年 排気量10L未満クラス優勝 6連覇
杉浦 博之(すぎうら ひろゆき) ・・・2号車ナビゲーター (1984年5月6日生まれ、31歳。東京都北区出身)
日本レーシングマネージメント(株) 所属
・2009年 ダカールラリーにアシスタンスドライバー参戦、ラリーモンゴリアにナビゲーター参戦
・2011年 ダカールラリーにナビゲーター参戦
● メカニック
鈴木 誠一(すずき せいいち) ・・・メカニックリーダー (1961年1月30日生まれ、54歳。東京都港区出身)
日本レーシングマネージメント(株) 所属
・ナビゲーターやメカニックとして、国際ラリー参戦多数。
(ダカールラリー20回、ラリーモンゴリア8回、エジプトファラオラリー2回、オーストラリアン・サファリ1回)
中村 昌樹(なかむら まさき) ※・・・メカニックサブリーダー (1979年9月7日生まれ、36歳。東京都立川市出身)
日野自動車(株) 車両生技部
・生産車の開発には欠かせない試作工程に携わり、多種多様な商用車のものづくりの現場を支えてきた。
前任からサブリーダーの任務を引き継ぎ、初めてダカールラリーに参戦する。
田極 正樹(たごく まさき) ※ ・・・メカニック (1977年1月28日生まれ、38歳。東京都町田市出身)
東京日野自動車(株) 八王子支店
近藤 匡人(こんどう まさと) ※・・・メカニック (1985年11月2日生まれ、29歳。静岡県清水市出身)
静岡日野自動車(株) 静岡営業所
外池 望(とのいけ のぞみ) ※・・・メカニック (1981年2月25日生まれ、34歳。香川県丸亀市出身)
香川日野自動車(株) 丸亀営業所
坂口 英之(さかぐち ひでゆき) ※・・・メカニック (1982年2月18日生まれ、37歳。福岡県太宰府市出身)
九州日野自動車(株) 福岡支店
● エンジニア
名越 勝之(なごし かつゆき) ・・・エンジニア (1970年6月4日生まれ、45歳。神奈川県横浜市出身)
日野自動車(株) エンジン設計部
・ダカールラリープロジェクトに2012年から携わり、2014年からエンジニアとしてダカールラリーに参戦し、2台のエンジンコンピューターの実地チューニングを行っている。
2. ダカールラリー2016参戦 「日野レンジャー」 諸元表
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1号車 | 2号車 | |
---|---|---|
車両型式 | 日野レンジャー | |
車両総重量 | 7,300kg | |
全長 | 6,290mm | 6,370mm |
全幅 | 2,500mm | |
全高 | 3,150mm | |
ホイールベース | 3,890mm | 3,970mm |
リアボデー | メインフレームマウントパイプフレームターポリンボディ | |
●エンジン | ||
エンジン型式 | A09C-TI (ターボインタークーラー付) | |
エンジン形式 | ディーゼル4サイクル直列6気筒 | |
総排気量 | 8.866L | |
最高出力/回転数 | 630PS [463.4kW]/2,200rpm | |
最大トルク/回転数 | 230kgf・m [2255.5N・m]/1,200rpm | |
燃料噴射装置 | 電子制御 (コモンレール式)燃料噴射装置 | |
燃料タンク容量 | 700L | |
●駆動系 | ||
駆動方式 | デフロック前後付パートタイム4WD | |
クラッチ | φ430mmシングルプレート | |
トランスミッション | 6速ダイレクトドライブ前進6速後退1速 パワーシフト付 | |
トランスファー | Hi-Loレンジ切替付 | |
アクスル | ハブリダクションアクスル | |
●サスペンション | ||
スプリング | 前後テーパーリーフスプリング | |
(前)2枚 (後)2枚 | (前)2枚 (後)1枚 | |
ショックアブソーバー | コイルオーバーショックアブソーバー ※1輪あたり2本中1本 | |
ブレーキ | ベンチレーテッドディスクブレーキ 対向4ポットキャリパー | |
タイヤ | ミシュランXZL 14.00R20 | |
ホイール | 鍛造アルミホイール | |
空気圧調整システム | 4輪独立制御式 | |
ステアリング | ボール・ナット式 (インテグラル式パワーステアリング) |
ダカールラリー2016参戦 「日野レンジャー」 (左:1号車、右:2号車) テーパーリーフサスペンション(2号車フロント)
モノテーパーリーフサスペンション(2号車リア) 新開発した分割式エアインテークマニホールド
本リリースに掲載している写真の画像データは、以下のリンクからダウンロードできます。
ダカールラリー2016参戦 「日野レンジャー」 (左:1号車、右:2号車)
テーパーリーフサスペンション(2号車フロント)
モノテーパーリーフサスペンション(2号車リア)
新開発した分割式エアインテークマニホールド
参考
1. ダカールラリー2016について
2016年のダカールラリーは、1月3日にアルゼンチンのブエノスアイレスでスタートセレモニーを行い、今回初めて2輪、クワッド、4輪、トラックの全カテゴリーがボリビアを通過し、2週間後の1月16日に再びアルゼンチンに戻ってくるコースです。
2009年に南米大陸へダカールラリーが舞台を移して以来、開催国に名を連ねてきたチリは、今回、同国北部の洪水の影響により数年の開催中断を余儀なくされました。そこで、2013 年以来3年ぶりにペルーが開催国に名乗りを挙げ、初めての組合せとなるペルー~ボリビア~アルゼンチンでの開催が決定していました。ところが、エルニーニョの影響により急遽ペルーが開催を辞退。2度のリルートを経て、ようやくアルゼンチン~ボリビア~アルゼンチンでの開催が決定しました。
1月3日に、アルゼンチンの首都ブエノスアイレスで開催されるスタートセレモニーで祝福を受けた出場者は、リエゾンでキャンプ地ゼロを目指します。1月4日から競技が開始され、アンデス山脈の麓の大地を北上し、ボリビアの国境手前のフフイでトラック部門は整備を受けられないマラソンステージとなります。ボリビアのウユニ湖のキャンプ地で再びメカニックと合流し、アルゼンチンのサルタで休息日を迎えた後、細いワインディングや厳しい岩肌が迫りくるアンデス山脈沿いを南下し、16日にアルゼンチンのロサリオでゴールを迎えます。アルゼンチンのハイスピードステージからボリビアの3500m 超の高度戦、アンデス山脈の山道といったさまざまな自然が行く手を阻む、今回も人とクルマにとって過酷な大会となることが予想されます。
2. 日野チームスガワラについて
1991年に、日野は、日本のトラックメーカーとして初めてダカールラリーに参戦。最低完走率20.5%を記録したこともある、世界で最も過酷とされるこのレースで、日野は初参戦以来2015年まで24回連続完走を果たしています。1994年にはトラック部門で総合2位を獲得し、翌1995年も2位の座を手にしました。1997年には、トラック部門総合では史上初となる1~3位独占という快挙を成し遂げ、世界中を驚かせました。その後も総合2位を3回獲得するなど、トラック部門のトップチームとして活躍を続けています。
また、1996~2002年まで設けられた同部門排気量10リッター未満クラスでも7連覇。その後の2年間は同クラス分けが廃止されていましたが、2005年大会に同クラスが復活すると、再び優勝を果たし、2007、2010~2015年にもクラス優勝の栄冠を手にしています。
戦績:トラック部門総合優勝1回(1997年)、同部門2位5回(1994、1995、1998、2001、2005年)
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出場 回数 | 開催年 | コース | 総走行距離 (km) | トラック部門総合順位 (括弧内は排気量10リッター未満クラスの順位) |
---|---|---|---|---|
24 | 2015 | ブエノスアイレス~サルタ~ロサリオ | 8,159 | 16位(優勝)・32位 |
23 | 2014 | ロサリオ~サルタ~バルパライソ | 9,209 | 12位(優勝)・32位 |
22 | 2013 | リマ~アントファガスタ~サンティアゴ | 8,121 | 19位(優勝)・31位 |
21 | 2012 | マルデルプラタ~コピアポ~リマ | 8,836 | 9位(優勝)・24位 |
20 | 2011 | ブエノスアイレス~アリカ~ブエノスアイレス | 9,458 | 9位(優勝)・13位 |
19 | 2010 | ブエノスアイレス~アントファガスタ~ブエノスアイレス | 9,026 | 2号車:7位(優勝) 1号車:規定により失格 |
18 | 2009 | ブエノスアイレス~バルパライソ~ブエノスアイレス | 9,579 | 14位(2位)・26位 |
中止 | 2008 | - | - | - |
17 | 2007 | リスボン~ダカール | 7,915 | 9位(優勝)・13位 |
16 | 2006 | リスボン~ダカール | 9,043 | 5位・7位(クラス設定なし) |
15 | 2005 | バルセロナ~ダカール | 8,956 | 2位(優勝)・6位 |
14 | 2004 | クレルモンフェラン~ダカール | 10,411 | 5位(クラス設定なし) |
13 | 2003 | マルセイユ~シャルムエルシャイク | 8,602 | 5位(クラス設定なし) |
12 | 2002 | アラス~マドリッド~ダカール | 9,440 | 3位(優勝)クラス優勝7連覇 |
11 | 2001 | パリ~ダカール | 10,873 | 2位(優勝) |
10 | 2000 | パリ~ダカール~カイロ | 7,880 | 5位(優勝) |
9 | 1999 | グラナダ~ダカール | 9,441 | 4位(優勝) |
8 | 1998 | パリ~グラナダ~ダカール | 10,570 | 2位(優勝) |
7 | 1997 | ダカール~アガデス~ダカール | 8,051 | 優勝(優勝)・2位(2位)・3位(3位) 1~3位独占はトラック部門史上初 |
6 | 1996 | グラナダ~ダカール | 7,579 | 6位(優勝)・11位(2位) |
5 | 1995 | グラナダ~ダカール | 10,067 | 2位(クラス設定なし) |
4 | 1994 | パリ~ダカール | 13,398 | 2位(クラス設定なし) |
3 | 1993 | パリ~ダカール | 8,877 | 6位(クラス設定なし) |
2 | 1992 | パリ~シルト~ケープタウン | 13,015 | 4位・5位・6位・10位(クラス設定なし) |
1 | 1991 | パリ~トリポリ~ダカール | 9,186 | 7位・10位・14位(クラス設定なし) |
以上