<お客様インタビュー> 横浜市交通局さま
国産の連節バス1号車 「日野ブルーリボン ハイブリッド 連節バス」

横浜市「ベイサイドブルー」の運行スタートまでの軌跡とこれから

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トータルサポート2020年10月08日

2020年7月23日、横浜市のみなとみらいを中心とする都心臨海部で、国産の連節バス1号車となる「日野ブルーリボン ハイブリッド 連節バス」 が「ベイサイドブルー」として運行をスタートしました。「分かりやすく、つかいやすく、快適」という事業コンセプトに加え、「みなと横浜を感じながら、移動を楽しむ」というデザインコンセプトのもと、車両や停留所、乗車券、なども含めてトータルデザインを採用。構想から約4年をかけた大規模プロジェクトは、ベイエリアの観光を支える新たな交通機関として、そしてみなと横浜のシンボルとして大きな期待が寄せらせています。
今回のインタビューでは、連節バスの導入計画から運行開始までの軌跡、今後の期待などについて、横浜市交通局さまへお話をうかがいました。

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<お話をうかがったのはこの方>
左から:横浜市交通局 自動車本部 運輸課 係長 長岡さん、路線計画課 係長 森下さん、車両課 蒲谷さん

1. 長年の夢を実現した大プロジェクト

――――――――新しい交通機関として連節バスが選ばれた理由とは?

路線計画課 森下さん:横浜市では、2015年2月に「横浜市都心臨海部再生マスタープラン」を策定し、都心臨海部の新たな交通システムの導入を検討してきました。もともと、みなとみらい地区や山下ふ頭周辺地区は、鉄道駅から離れていて、公共交通が少ないことも課題でした。この計画では、その課題解決とともに「将来にわたり輝き続け、魅力にあふれた“世界都市”の顔としての都心臨海部を形成すること」もコンセプトとして掲げていたのです。当初、LRT(次世代型路面電車)との比較検討もしましたが、横浜市の道路事情に沿うものを考えると、連節バスがベストマッチでした。
他都市では観光地での連節バスの導入はあまり例がなく、このスタイルも横浜オリジナルとも言えると思います。ベイサイドブルーには、単なる交通手段としてではなく、みなと横浜の新しいシンボルとなって、訪れた方たちに移動そのものも楽しんでもらいたいと考えています。連節バスの2つの車体とダイナミックな2つの波をイメージしたロゴマークにも、そんな想いを込めています。

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2. みなと横浜を支える新しい交通の軸に、そして横浜らしく

――――連節バスの車両に求めたものはどんなものでしょうか?

路線計画課 森下さん:安全にかつ一度に多くのお客様の移動を叶えられることです。運行ルートには、パシフィコ横浜や今年開業したパシフィコ横浜ノースなどの大規模ホール、ミュージアムや大型商業施設、赤レンガ倉庫、中華街、山下公園などの観光名所を設定しています。横浜市民だけでなく、観光で訪れる多くの方の利用を見込んでいます。このエリアは、鉄道の駅から離れているので、たくさんの方が効率良く移動できる必要がありました。

――――快適性についてはいかがでしょうか?

車両課 蒲谷さん:今回、私たちからさまざまなリクエストをさせていただいて、日野さんには制約がある中で挑戦していただきました。標準仕様ながらも、ゆとりのある快適な室内で、とても乗り心地が良いと感じています。スムーズな乗降と乗車中の快適性に配慮し、前車室はフルフラットに、後車室もノンステップエリアを広く確保しながら連節バスとして最適なシートレイアウトを目指しました。後車室の対面シートは一般的なものよりシート間隔が広く、家族や友人との会話をゆったりと楽しんでいただけるかなと思います。また、連節バスならではの大きな窓からは、みなとエリアの個性豊かな景観を楽しんでいただきたいです。国産初であることや環境にやさしいハイブリッド車というのも車両の魅力の一つです。

――――デザインのコンセプトについても教えてください

路線計画課 森下さん:ベイサイドブルーは路線バスながら観光目的の利用シーンも想定しています。「分かりやすく、つかいやすく、快適に」という事業コンセプトと「みなと横浜を感じながら、移動を楽しむ」というデザインコンセプト通り、車両だけでなく停留所やサイン計画なども含めたトータルデザインを重視しました。専任のデザイナーさんと一緒に、日野さんにはその構想を車両デザインに落とし込んでいただきました。外装のメタリックブルーは水面のきらめきをイメージし、光の当たり方によって色が変わり、とても表情豊かです。内装は、ライトグレーを基調に床は木目調とし、落ち着いたデザインになっています。座席にもシンボルマークの刺繍を施すなど、工夫をしています。クールなデザインながら、女性のお客様にも好評のようです。

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――――運行ルート内には、「移動そのものを楽しむ」というコンセプトが感じられるポイントがいくつもありますね

路線計画課 森下さん:今回、都心臨海部の主要な施設を結ぶルートとした結果、大きく曲がるポイントが複数設定されています。交差点での右折や左折、大きく転回する箇所では、車窓から見える曲がった車両はまるでアトラクションのようなダイナミックな光景で、多くのお客様から歓声が湧きます。ご乗車を楽しんでいただけているのだなと実感します。曲がり角が多いルートは他都市ではあまり見られないので、ベイサイドブルーならではの魅力の一つになっています。車窓からの魅力的な風景とともに楽しんでいただきたいです。

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3. 安全で快適な運行を支えるサポート

――――楽しんでもらうためには乗務員の皆さんによる安全な運行も重要ですね

運輸課 長岡さん:連節バスは、通常のバスと同様の大型免許で運転が可能ですが、全長が約18mと長いことに加え、折れ曲がるために車両のコントロールが難しく、特有の技術が必要とされます。今回、ベイサイドブルーの乗務員には、交通局内から22名を選出して、運行までにトータル約80時間の運転練習を重ねました。そのうち5名の乗務員は、日野さんの「お客様テクニカルセンター」(所在地:東京都羽村市)での運転講習を受けさせていただきました。特に試験車での運転練習で、手厚く指導していただけたのが印象的です。市街地を想定した停車や坂道発進などの基本的な走行だけでなく、車庫などの狭い場所をイメージしたV字カーブやバックでの走行など、連節バスならではの運転のコツをつかみ、他の乗務員へうまく伝えてもらったと思います。

――――研修を受けられて、いかがでしたでしょうか

運輸課 長岡さん:講習を受けた5名の指導員乗務員には、運転のノウハウを他の乗務員に伝授するなどの指導を担当してもらいましたが、全員がしっかりレベルアップできました。それまで不安だったことが解消され、乗務員たちの自信にもつながったと思います。全体の士気も上がりました。乗務員自らルート内の見どころを探ったり、観光アナウンスにもひと工夫を加えたりと、プラスアルファの部分に積極的に取り組めたのも、日野さんの「お客様テクニカルセンター」(所在地:東京都羽村市)で基本的な技術を身に付けられたからこそだと思っています。運転練習の機会を設けていただいたことは、本当に感謝しています。

――――車両整備などのサポートについてはいかがでしょうか

車両課 蒲谷さん:私たちの滝頭営業所からも5kmと近い場所に、横浜日野さんの幸浦工場があり、万全の整備設備を整えていただいていることは安心です。連節バス対応のリフトもご用意いただいたとも伺っています。自分たちの日常整備で解決できない部分は、日野さんにサポートしていただきたいと思っています。そばにいてくださることは、本当に心強いです。

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横浜日野自動車 横浜支店幸浦工場

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ヨコハマグランドリフト(シンカー)

4. 安全で安心な運行で、横浜にさらなる賑わいを

――――運行開始にあたっての実感や今後の期待について教えてください

路線計画課 森下さん:都心臨海部の個性豊かなエリアをつなぐ、新たな交通の軸をつくることができました。みなと横浜の景観とともに、移動中もわくわくしながら、ますます街めぐりを楽しんでいただければと思っています。

運輸課 長岡さん:ご乗車の際は、乗務員たちのアナウンスもお楽しみいただきたいです。また、安全な運行のためにも、今後も日野自動車さには運転講習や整備講習などを通して、引き続きサポートしていただけると助かります。

車両課 蒲谷さん:安全・安心にご乗車いただけるよう、車両のメンテナンスをしっかりしていきたいと思っています。私たちも、知識や技術を身に着け、日野さんのご協力を受けながら、安全な車両を維持できればと考えています

運行ルート見どころマップ

横浜駅から出発し、みなとみらいエリア、赤レンガ倉庫、山下公園、中華街、元町エリアなどの観光スポットをめぐることができます。「みなとぶらりチケット」を利用すると、ベイサイドブルーを含め、横浜ベイエリアの市営バス・市営地下鉄が一日乗り放題です。ぜひ、ベイサイドブルーに乗って、みなと横浜をお楽しみください!

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日野では、お客様のニーズに合った最適商品の提供に加え、お客様に寄り添い、困りごとの解決を通して貢献すべく、「最高にカスタマイズされたトータルサポート」に取り組んでいます。これからも、横浜市交通局さまのベストパートナーとしてサポートしてまいります。

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