レースレポート 2015年
日野レンジャーが10リットル未満クラス6連覇をワン・ツーで飾る
ダカールラリーの連続完走記録を24回に更新!
2015年 第36回 Dakar Rally 2015 Argentina-Chile-Bolivia
日野自動車は1月3日( 土) ~17日( 土) にかけて南米アルゼンチン、チリ、ボリビアで行われたダカールラリー2015のトラック部門に菅原義正氏率いるチームスガワラとともに「日野チームスガワラ」として日野レンジャーの2台体制で参戦。14日間におよぶ過酷な競技の末、排気量10 リッター未満クラスの優勝を獲得し、1991年の初参戦以来連続24回目の連続完走も達成した。
今大会に向けて日野は前回1号車に先行投入したA09C-TI 型エンジンの改良型を2台に搭載。同時にサスペンションを大幅改良するなど、レーシングトラックの戦闘力をさらに高めて臨んだ。チーム代表の菅原義正がドライバーを務める1号車はナビゲーターにベテランの羽村勝美とともに、若林葉子を新たに起用。2号車はエースドライバーの菅原照仁がナビの杉浦博之と3年目のコンビを組む布陣である。また、アシスタンス部隊には前回に続いて日野自動車エンジン設計部の名越勝之がエンジニアとして帯同。メカニックはチームの母体である日本レーシングマネージメントの鈴木誠一がリーダー、日野自動車車両生技部の末永健司が引き続きサブリーダーを務めるとともに全国の日野自動車販売会社から公募選抜された林博永(函館日野)、菅原瞬介(東京日野)、福野広弥(横浜日野)、益田崇史(広島日野)の精鋭4人が参加した。
今大会は4 年ぶりにアルゼンチンの首都ブエノスアイレスがスタート/ゴール地とされ、アルゼンチン、チリ、ボリビアを時計周りに巡るループ状のルートで総延長8159㎞、うち競技区間(SS)3750㎞を走破した。ただしトラック部門はボリビアへは行かず、代わりにチリのイキケ周辺にメカニック不在のマラソンステージが設定された。
ラリーが始まって2日目、2号車はアルゼンチンのサン・フアンに向かうSS中に跳ね石でラジエーターを破損、冷却水が漏出するアクシデントに見舞われた。後から追いついた1号車のサポートを受け、水を補給しながらなんとか走り切った2号車は排気量10リッター未満クラスの3位に後退したが、翌日には再び同クラスのトップタイムで気を吐くと首位に復帰。順調な1号車とともにクラス・ワン・ツー体制を確立した。
改良型サスペンションによって、これまで苦手としていた堅く荒れた路面でのスピードを向上させた日野レンジャーは、A09C型エンジンのパワーも利してトラック部門総合トップを行く強豪大型勢とのタイム差を短縮。前半戦最終の11日には2号車がSS11位に食い込み、累積の総合順位で19位から17位に浮上した。上位勢の層は厚く、砂丘のほとんどない後半戦に入るとさらに総合順位を上げるのは難しい状況となったが、2台は集中力を高めた走りを続けてクラス・ワン・ツーを堅持。メカニックたちの連日にわたる不眠不休の働きも完璧で競技に大きく影響するトラブルも発生せず、2台の日野レンジャーは2号車が総合16位、1号車も32位の成績で17日に無事ブエノスアイレスにゴールした。
この結果により2号車の菅原照仁は排気量10リッター未満クラスの6連覇を達成。73歳で今大会参加者中の最高齢となった菅原義正の1号車とともに2年連続のワン・ツー・フィニッシュを果たした。ポディウムには日本から日野自動車市橋保彦社長も駆け付け、乗員たちとがっちり握手。14日間の戦いは幕を下ろし、チームは今回得た手応えをもとにさらなる上位を目指すべく、すでに次期大会を見据えている。
「HINO TEAM SUGAWARA」 ダカールラリー2015メンバー
1号車
ドライバー:菅原義正
ナビゲーター:羽村勝美
ナビゲーター:若林葉子
2号車
ドライバー:菅原照仁
ナビゲーター:杉浦博之
メカニックリーダー
鈴木誠一
メカニックサブリーダー
末永健司(日野自動車 車両生技部)
メカニック
林博永(函館日野自動車)
菅原瞬介(東京日野自動車)
福野広弥(横浜日野自動車)
益田崇史(広島日野自動車)
エンジニア
名越勝之(日野自動車 エンジン設計部)
ルートマップ
競技区間(SS):3,750km
移動区間(リエゾン):4,400km
走行距離合計:8,159km (すべてトラック部門の走行距離)
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日付 | ステージ | 出発地 | 到着地 | リエゾン(移動区間) | SS(競技区間) | 合計 |
---|---|---|---|---|---|---|
1月3日 | セレモニー | スタートセレモニー ブエノスアイレス | ||||
1月4日 | SS1 | ブエノスアイレス | ビジャカルロスパス | 663 | 175 | 838 |
1月5日 | SS2 | ビジャカルロスパス | サンフアン | 315 | 331 | 646 |
1月6日 | SS3 | サンフアン | チレシト | 258 | 284 | 542 |
1月7日 | SS4 | チレシト | コピアポ | 594 | 174 | 768 |
1月8日 | SS5 | コピアポ(チリ) | アントファガスタ | 239 | 458 | 697 |
1月9日 | SS6 | アントファガスタ | イキケ | 370 | 255 | 625 |
1月10日 | SS7 | イキケ | マラソンステージ | 101 | 335 | 436 |
1月11日 | SS8 | マラソンステージ | イキケ | 0 | 271 | 271 |
1月12日 | 休息日 | |||||
1月13日 | SS9 | イキケ | カラマ | 88 | 451 | 539 |
1月14日 | SS10 | カラマ | サルタ(アルゼンチン) | 501 | 359 | 860 |
1月15日 | SS11 | サルタ | テルマスデリオオンド | 326 | 194 | 520 |
1月16日 | SS12 | テルマスデリオオンド | ロサリオ | 726 | 298 | 1,024 |
1月17日 | SS13 | ロサリオ | ゴールセレモ二ー ブエノスアイレス | 219 | 174 | 393 |
合計 | 4,400 | 3,759 | 8,159 |
出場・完走台数
(台)
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名称 | 出場 | 完走 | 完走率 |
---|---|---|---|
二輪部門 | 164 | 79 | 48% |
クワッド(バギー)部門 | 48 | 18 | 38% |
四輪部門 | 138 | 68 | 49% |
トラック部門 | 64 | 51 | 80% |
合計 | 414 | 216 | 52% |