SPECIAL
スペシャル座談会

HINOウェイ浸透チーム

“みんな”の北極星になる言葉を

HINOウェイとは、私たちが大切にする「日野らしさ」や「判断・行動の礎」であり、日野自動車で働く一人ひとりが大切にすべき価値観とあるべき姿をまとめています。このHINOウェイ、各部署の社員・海外事業体からメンバーが集まり、話し合ってつくられたものです。日野自動車で働くすべての人の指針となる言葉をつくる。それは一筋縄でいくようなものではなく、大きな壁も立ちはだかりました。そこにはどんなやりとりがあり、どのような想いが交錯していたのか。そして、完成後はどのように社内に浸透させているのか。今回はHINOウェイ浸透チームから5名のメンバーが集まり、プロジェクトの内容について忌憚なく語ってもらいました。

S.T
国内サービス部
1995年入社
T.SE
コンプライアンス推進部
2007年入社
T.E
IT企画部
2007年入社
Y.U
プロダクト推進部
2008年入社
T.SI
変革断行室
2011年入社
STORY 01
日野自動車のことをとことん考える機会
T.SI
まずは、理念の改定というミッションからスタートしたチームですが、それぞれの部署から選出された当時はどんな気持ちでしたか?
S.T
正直な話をすると、私はとても受け身に捉えていたんです。「どうして自分なんだろう?」というくらいに思っていました。今ではモチベーションがまったく真逆になりましたけどね。Y.Uさんはどうでしたか?
Y.U
選ばれる際に「これから日野を背負っていく世代にあたる。ぜひやってほしい」という言葉を本部長にかけてもらいました。私のキャリアを形成するという目的や、日野をもっとよくしてほしいという想いを感じ、素直に嬉しく思いました。でも入社以来、エンジニアとしてのキャリアしかなかったので、自分に務まるかな…という不安はありましたね。
T.SI
私も同じように上司から選定してもらい、話を聞いた時は非常に面白そうだなと思いました。自分たちで改定した理念が10年先も15年先も続いていくと考えると、日野の文化をつくることにつながるなぁと。だからこそ、積極的に取り組んでいきたいと考えていました。
T.SE
私は、逆にプレッシャーのほうが大きかったです。コンプライアンス部門に異動して間もない頃に選ばれたので、部門を代表できるほどの知識も経験もなかったものですから、きちんと役割を全うできるか不安に感じていました。ですが、自分にとっていい経験になったのは間違いありません。
T.E
私はS.Tさんと同じく、はじめは受け身の姿勢でした。「一体、何をやるんだろう…?」と思っていましたよ。でも、みんなで「理念とは」という基本的なところから勉強をはじめると、徐々に面白いなと思えるようになり、いつの間にか前のめりになっていました。
STORY 02
自分の考えや想いをまっすぐ伝える
T.SI
プロジェクトがはじまったのは2021年11月で、2022年の6月には新しい理念を発表することになっていました。その期間は毎日のようにミーティングを行っていましたよね。
T.SE
そもそも全員がほぼ「はじめまして」の状態で、しかもコロナ禍でしたから、ミーティングはオンラインでした。その環境の中でも、チーム力を発揮できたことは今でもすごいなと思っています。
S.T
最初は長い期間だなと感じていました。でも、やってみると全員がそれぞれ違う意見を持ってくるので、やっているうちにこれはまとめるのが難しいかも…と、徐々にミーティングが増えていったんですよね。
Y.U
例えば、「安全・安心」とするのか、それとも「安心・安全」とするのか、どちらを先にするのかで議論したこともありました。一つひとつの言葉に想いを込めていたので、過去の経験や考え方によってどちらを先にしたいのか意見が分かれていましたよね。
S.T
メンバーそれぞれバックボーンやキャリアが異なるので、なかなか議論が収束しないこともありました。結局、どちらにするのか決められなかった場合は、多数決などで決めていましたが、時間をしっかり取って会話をし尽くした上でのことなので、納得感はありました。
T.SE
毎回様々な意見が上がって、時には収拾が付かない時もありましたが、あれだけ全員が自分の想いを語れる場ってなかなかあるものではないじゃないですか。みなさんとそういう関係がつくれたことはすごく嬉しかったです。
T.E
他の人から見たら、ケンカをしているように見えたかもしれません。(笑)でも、実際はすごく仲がいい。だから、最終的には意見をまとめることができたんですよね。
Y.U
全員が発言の一つひとつに責任を持っていたように感じますね。また、誰かの意見は否定するのではなく、「あなたの考えはよく分かるけど、自分はこう考えている」という形で議論が進んでいったのがよかったのだと思います。だからこそ、言いたいことを言い合える良質な関係が築けたのではないでしょうか。
T.SI
そのようにして、土台にコンプライアンスがあり、真ん中に職場の環境があり、一番上に社会やお客様への価値提供がありと、今の理念につながるものが導き出された時は、感動を覚えましたよ。
STORY 03
危機的状況から強くなったチームの絆
T.SI
多種多様な意見がありましたが、「よりよい会社にするために」という想いは、常に共通認識としてありましたよね。日野自動車が目指したい姿ってどういうものなんだろうと、全員が真剣に考えていたと思います。
S.T
そうやってようやくアウトプットが出そうになった時、3月4日に日本国内向けエンジンの排出ガスや燃費の不正が発覚したんですよね。
T.SI
本当に頭が真っ白になりました。今まで、さんざん時間をかけてやってきたことは何だったのかと…。みんなで会社のことを考える中で、日野自動車はいい会社だと改めて感じていたところだったので心が折れかけました。でも、中途半端で終わらせたくないという想いのほうが強くあったので、踏ん張ることができたんです。
T.E
私は心が折れてしまいましたよ。ただ、T.SIさんが「こういう状況になってしまったからこそ、働く人の光になれるものを」とチームを引っ張ってくれたのがありがたかったです。
T.SE
私も不正が明るみになったからこそ改めて大前提であるコンプライアンスの大切さを考えるべきだと、気を引き締め直したことを覚えています。
Y.U
私も、そういった状況になってしまったからこそ、北極星のように日野自動車で働くすべての人の道しるべにできるようなアウトプットにしたいという想いが強くなりました。また、今回の不正は私が所属する開発部門で起きたことで、チームのみなさんは私に対して想うところがあったと思います。でも、何も言わずに受け止めてくれた時、本当の仲間の大切さ、チームのよさというのを感じました。また、日野自動車は「社会やお客様のためにある」ということを改めて認識できたことも、よかった点の一つではないでしょうか。改めて日野自動車の役割を深く考えることにつながったと思います。
STORY 04
働くすべての人にこの想いを
S.T
最終的に「誠実・貢献・共感」という言葉で当社の価値観を表現しようという方向は不正前後でも変わらず、最終的なアウトプットになりました。ただ、不正が発覚したからこそ、一度立ち止まることができたのはプラスになったと今では思います。
Y.U
確かにそうですね。一度立ち止まったことで、改めて「社会やお客様のために」と思うことができましたし、それが私たちの使命なのだと強く実感できました。
T.E
苦労してようやく出せたアウトプットだったからこそ、今度はそれを社内で浸透させなければと、T.SEさんが声をかけてくれて、またこのメンバーが集まったんですよね。
T.SE
理念を改定した後は、メンバーそれぞれが自分の部署で改定に込めた想いを伝えていたのですが、会社全体で取り組まないと段々と埋もれていきそうな雰囲気があったんですよ。それを見て、これではダメだと、みなさんにお声がけしたんです。
T.SI
声をかけてもらって、本当にありがとうございます。そこから、この理念に込めた想いを伝えて対話をするという「対話会」や「座談会」などを様々な部署ではじめたんですよね。
T.E
理念について社員同士が語れる場をつくれたのは、当社にとって非常に大きな一歩だったのではないでしょうか。
T.SE
大変なことも多くありましたが、今回のプロジェクトで色々な意見に触れられたことは、自分自身の大きな成長にもつながったと思います。浸透はまだまだこれからですが、少しずつ芽は出てきています。この間、もう四十年勤続されている方から、「今まで理念について語る場なんて一度もなかった。企画してくれてありがとう」って言われたことは嬉しかったですよ。
S.T
このようなプロジェクトが若手主導で進められたことによって、さらに大きな意義をつくったものと思います。年次が浅くても発言できるという事例をつくれましたしね。きっと、日野自動車はここからもっと変わっていくと思います。
Y.U
お客様から信頼される会社に生まれ変わる。そのためには全社員が想いを一つにする必要がありますが、この改定された理念は日野自動車の道しるべになるものです。これからも大切にして、しっかりと浸透させていきたいですね。