<インタビュー>神奈川県葉山町 地域と日野が共に考えるごみ収集支援サービス「GOMIRUTO」

新たな領域2024年9月26日

日野自動車は、持続可能な豊かで住みよい街づくりに貢献する取り組みとして、お客様のニーズに寄り添ったさまざまなサービスを提供しています。2024年4月から提供を開始したごみ収集事業向けソリューションサービス「GOMIRUTO(ごみると)」では、地域特有の背景を考慮しながら、車両の位置情報をリアルタイムで把握する動態管理システムを活用し業務の効率化を図っています。

神奈川県葉山町では、新しい収集体制の構築や住民サービス向上に「GOMIRUTO」が役立てられています。2023年の実証実験からサービスを利用いただいている葉山町環境部のみなさまに、同町での導入検討から活用までの軌跡や日野との取り組み、今後の期待についてお話しいただきました。

環境課課長補佐兼クリーンセンター所長補佐 臼井さん
収集体制検討を担当

クリーンセンター兼環境課主査 藤井さん
収集体制検討を担当

クリーンセンター所長 角田さん
現場の責任者

クリーンセンター所長補佐 大渡さん
 運行管理・住民問い合わせを担当

1. 新しい取り組み同士がマッチした

――――日野のごみ収集事業向けサービスの導入を検討したきっかけは。

葉山町は、県内トップ3のごみ資源化率を誇る自治体です。2025年3月からは鎌倉市と逗子市とともにさらなる資源化を目指し、家庭の生ごみを燃えるゴミと分別して収集・資源化していきます。そのため1週間あたりの収集回数が現在よりも増えます。
新たな収集体制を築くにあたり現状を見直しはじめていたころ、日野さんから新しくごみ収集事業向けサービスを立ち上げると提案がありました。ちょうどいいタイミングに新しい取り組み同士がマッチしたと思い、トライアルのきっかけになりました。

――――葉山町様ならではの事情があったのですね。ごみ収集方式にも特徴があるようです。

葉山町は、採用自治体の少ない「戸別収集」方式を採用しています(一部品目を除く)。そのため、既存の収集支援システムの応用では課題解決の決め手に欠けると感じていました。新しい収集体制の検討に向けて収集担当職員(以下 収集員)の動きをデータで可視化したい葉山町と、新規事業立ち上げのために現場を知りたい日野さんが組めばWin-Winに進められると考え、協力を決めました。

※戸別収集:収集ステーションではなく各家庭の玄関先などに置かれたごみを集める収集方式

戸別収集

――――住民サービスや現場管理の面で課題はありましたか。

当時は、事務所にいる職員が収集員のリアルタイムの動きを細かく把握しきれないという課題がありました。クリーンセンターには住民の方から収集時刻の確認や収集漏れの報告の問い合わせが届きます。従来は問い合わせを受けた事務所職員が紙の地図上で場所を特定し、作業中の収集員へ電話で連絡・確認していました。しかし、収集中にすぐには電話に出られず、住民の方への返答に時間がかかってしまうことがありました。そういったものが改善できるのではと考えました。


各収集車の現在地やルートを地図上に表示

スマホで地図上にメモを表示・記録

2. 細かいことも一緒に考えた

サービス導入に向けては、日野の担当者が収集車を追走し作業現場を調査したり、約2500枚の紙の日報をデータ化したりと、葉山町様のご協力のもと現地で現物に触れて実態を確かめました。さらに、実際に利用する方の使い勝手を重視し、葉山町様から要望を挙げていただきました。

――――使いやすくするためにどんなリクエストをしましたか。

収集作業と並行して使用することを想定し、現場の職員に積極的に使ってもらえるように、直感的に操作できる形をお願いしました。日野さんの反応が早く、すぐに対応してくれて見やすくなりました。戸別収集の現場を一緒に見てくれる担当者がいたから、このような形で進められたと思います。寄り添ってくれてうれしかったです。
また、大きな話ではないかもしれませんが、表示画面を見やすくするため、システム上に表示する動線の色や太さについても要望しました。細かい部分に関しても一緒に考えてくれました。

戸別収集では、一軒ごとの家を地図上で特定する必要があります。作業中の収集員が時間をかけずに操作できるよう、拡大しやすく、特定しやすい詳細な地図に変えてもらいました。

――――機能についてどう感じていますか。

使い勝手の面では、管理画面を閲覧するための端末を限定せず、どのパソコンやスマホでも見られることに驚きました。導入検討の段階でハードルが下がりましたし、役場の他の課と連携するなど活用の可能性を広げられるのではないかとも思いました。

機能追加を話し合う葉山町と日野の担当者

――――日野と試行錯誤を重ねた取り組みの中で印象的な出来事はありますか。

昨年の日報のデータ化では、各収集班から毎日一枚ずつ出る日報を日野さんへ渡し、収集状況の分析をふまえたルート効率化の提案をもらいました。新体制の検討材料にするだけでなく、最近はクリーンセンター再整備工事の都合で早い時刻までに収集を終わらせなければならない一時的な制約が生じた際に、日野さんの効率化の提案を採用させてもらいました。

3. 収集業務の効率化に留まらない活用の可能性

――――「GOMIRUTO」を利用した効果をどう感じていますか。

住民の方からの問い合わせに自信を持って答えられるようになりました。何時にどこを通ったかを収集員の感覚ではなくデータ化された客観的な数値で答えられると住民の方にとって分かりやすいと思います。効率化と住民サービスの向上にありがたいシステムです。

――――導入したからこそ見えた新たな課題や、今後の展望はありますか

昔ながらの紙の地図に慣れている職員がシステムを使いこなせるよう、事務所側からのアプローチも変えていきたいと考えています。収集員は毎日、町内へ足を運んで作業しているので、町の変化に気が付きます。「道路に異変がないか」など地域の“見守り”を兼ねている側面があります。収集員からは「GOMIRUTO」に反映した情報を、防犯や福祉などの観点から他部署とも活用していく可能性につなげられたらうれしいという声が上がっています。システムをどう生かしていくか、私たちの工夫も必要と思います。

収集担当職員と日野担当者の意見交換会

日野は葉山町を毎月訪問し、サービス利便性向上のための要望を伺うとともに改善策を提案しています。8月下旬には、収集職員約20名と日野の担当者が意見交換会を行い、収集員の方からは入力の手間を省けるとより使いやすいといった趣旨のシステムの使い勝手に関するご意見を寄せていただきました。
日野は、地域の皆様と実証実験を行いながら新たなソリューションを検討してきました。今後もお客様に寄り添った課題解決に貢献していきます。

本件に関する問い合わせ先

日野自動車株式会社 ソリューション事業部 GOMIRUTO担当
電話番号 03-6911-1718    メールアドレス gomi-support@hino.co.jp

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