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<インタビュー> 小松市「いきいき協議会」さま
地域交通実証実験「らくバスやたの」

私たちの暮らしを豊かにする、大きな一歩

「らくバス」は移動を支えるだけではない存在に

新しい領域2021年2月2日

日野は、石川県小松市と2019年7月に「地域公共交通を活かした魅力あるまちづくりに関する協定」を結び、地域全体で支える持続可能な地域公共交通の構築を目指した実証実験を行っています。
第一弾(2019年11月実施)では、買い物や通勤に利用いただける公共交通機関として「生活サポートバス(らくバス)」と「工業団地通勤シャトル」を、第二弾(2020年12月~2021年2月実施)では、第一弾の実証を受けてバス停を増設しての運行に加えて、朝の通学に利用いただけるバスを運行。さらなる利便性向上と、コスト面も含めた持続可能な運用を検証しています。
今回は、実証のメインエリアとなっている6つの地区(上荒屋町、下粟津町、林町、二ツ梨町、矢沢町、矢田野町)からなる矢田野町地区 いきいき協議会 事務局長 西村博さんへ、地域における公共交通への期待やその役割、今後の展望についてお話を伺いました。

1. 直面していた地域の課題。その解決の一歩として

――――2019年から実証がスタートしましたが、地域交通について矢田野地区ではどのような課題を感じていましたか

矢田野地区は、小松市の中でも田園風景が広がる自然豊かなエリアで、主な交通手段は自家用車です。公共交通としてはJR北陸本線がありますが、最寄の粟津駅は遠い方で自宅から約3kmもあります。路線バスがないため、駅に行くにも自家用車もしくは往復3千円をかけてタクシーを利用するしかありませんでした。免許のない一人暮らしの高齢者の方は、日常の買い物や通院などにとても不便な思いをされていました。例えば、これまで運転をお願いしていた旦那さまが他界されて、お一人で暮らされるようになった方は本当に困っていましたし、ご家族がいる方でも家族の送迎に頼った生活は心苦しいと伺っています。また、高校生の通学についても同様で、朝の忙しい時間帯の送迎は家族の負担が大きく、また、送迎の車で駅前が渋滞してしまうなどの問題も起きていました。

――――実証実験に対してどのような要望や期待がありましたか

2019年4月に発足した「いきいき協議会」では、当初から地域の交通に関する課題について議論を重ねていました。しかし、経験やノウハウがないため、何からスタートしていいかも分からない状況でした。そんな時、日野さんと小松市から「らくバス」の提案を受けて、私たちの困りごとを解決できる大きなチャンスだと思いました。そこからは、一気に進んでいきました。
日野さんには、事前調査や公民館での会議に度々足を運んでいただき、矢田野地区の暮らしをよく理解してサポートいただいているので、助かっています。

公民館での会議の様子

2. 小さな変化の積み重ねで、地域全体がいきいきと

――――どのような効果を感じていますか

高齢者の方に関しては、外出の機会が増えています。誰に気兼ねすることもなく、買い物や通院ができています。第二弾の実証からはバス停をクリニック前に追加設置したこともあり、より便利になりました。また、乗車の様子から、単なる移動の手段としてだけでなく、利用者同士の交流の場にもなっていると感じています。たとえ特別な話がなくても、一緒にいれば自然と会話が弾みますし、バスを待っている間にコーヒータイムを楽しむ方もいらっしゃいます。
高校生に関しては、家族を頼らずに通学できるというのが一番のメリットだと思います。私の孫も利用しているのですが、送迎をしていた頃は私も慌ただしく身支度をするなどの負担がありました。バスを使うようになってからは、LINEで気軽に乗車予約ができるので、孫自身で予約をしています。ダイヤに合わせて起床時間が少し早くなったのですが、それでも毎朝乗っています。自立にも繋がっているなと実感しています。
「らくバス」は、移動手段としてだけではない役割も果たしてくれているように感じます。

――――生活スタイルにも変化があったと伺いました

実は、高齢のご夫婦で「らくバス」の利用をきっかけに運転免許を返納された方がいます。これまでは夫の運転で外出していましたが、バスがあるならと、この機会に運転を卒業されたそうです。昨今の高齢者による交通事故は、社会問題の一つでもあります。矢田野地区も高齢社会を迎え、例外ではありません。運転に不安のある方が不便を感じずに運転免許を返納できる、そんな環境づくりの一助にもなればと思います。

――――「らくバス」は地域の皆さんにとって、どのような存在でしょうか

取り組みを開始してから1年以上が経ちますが、利用者やその家族の生活にも少しずつ変化が生まれ、しっかりと生活の一部、地域の足として欠かせない存在になっています。地域全体で大事にしていきたいです。最近は協議会でも、「バス停に屋根をつけたい」「待合室をもっと充実させたい」などの意見が交わされているんですよ。
皆が気持ちを一つにして取り組むことで、地域が活性化してより豊かな社会へと繋がっていくと感じています。

お買い物の様子

3. 自分たちの力で持続できる交通を目指して

――――実証実験から見えてきた課題とは

運行体制やコストも含めて、持続可能な仕組みを早く見つけたいと考えています。実証実験を重ねて見えてきた課題がいくつかあります。
例えば、悪天候の際の運行判断などもその一つです。小松市は雪国ですから、特に冬は路面の積雪や凍結などから走行に危険が伴いますが、ご利用者としては悪天候の時こそ運行して欲しいはずです。安全性と利便性の狭間での判断は難しいですね。
また、今の運行を維持していくにはコスト面の見通しも立てなければいけません。今は無料で乗車いただいていますが、有料化も検討しています。利用者からも「無料は心苦しい」といった声も上がっています。地域の交通として自立するのは、大事なことだと考えています。いつまでも小松市や日野さんを頼っているわけにはいきませんね。

――――今後への期待や抱負は

この実証実験を経て実感したのは、地域の方一人一人が地域の交通について真剣に考えるきっかけをつくれたことです。日野さんには、漠然と捉えていた課題に対して、具体的な解決方法を示していただき、背中を押していただきました。
当面は、もっと利用者を増やして「らくバス」をさらに地域に根付かせたいです。そのためにしっかり周知していくのは、私の大きな役目だと思っています。

日野は、自由に安全に効率的に人と物が移動する「豊かで住みよい持続可能な社会」の実現に向け、地域公共交通のあり方への知見を深め、社会課題の解決に貢献する新たな事業への発展を目指します。

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