ステージ1:サウジアラビアを舞台にダカール・ラリー2020がスタート 2台の日野車はジェッダ~アルワジャ間で順調な滑りだし

2020年1月6日
No. PD20-15

砂塵を巻き上げる1号車.jpg

砂塵を巻き上げる1号車

砂漠を快走する2号車.jpg

砂漠を快走する2号車

 1月5日、ダカール・ラリー2020の競技がスタート。紅海沿いのジェッダからアルワジャの間で319kmのSS(競技区間)が行われ、日野チームスガワラの2台は1号車の菅原照仁/染宮弘和/望月裕司組がトラック部門総合13位、2号車の塙郁夫/塙雄大/毛塚麻由美組も19位と順調な滑り出しとなった。

 今回のダカール・ラリーは新たに南米からサウジアラビアに開催地を移し、競技の舞台は同国の砂漠地帯へと大きく様変わり。78年にアフリカで始まった同ラリーにとって第3の時代の幕開けとなる。前半のルートは同国北部を時計回りに巡る格好で5日にジェッダをスタートしたあと10日に首都リヤドに到着。中間休息日のあと後半はイエメン/オマーン近傍まで南下して17日にリヤド近郊のキディヤにゴールする。13日間12ステージの全行程は7856km、うちSSは5097kmで、砂漠を中心にこれまで以上に過酷な戦いが予想されている。
 この新たなダカール・ラリーに日野チームスガワラも新たな布陣で臨む。前回大会を最後に勇退した菅原義正に代わってチーム代表を務める菅原照仁が「日野レンジャー」/海外向け「HINO500シリーズ」ベースの1号車を駆り、2号車には海外オフロードレースで豊富な経験を持つ塙郁夫をボンネットタイプの北米仕様車「HINO600シリーズ」ベースのオートマチックトランスミッション付き新型車両とともに起用。日野自動車と全国販売会社から公募選抜されたメカニックで構成されるサポートチームも強化され、排気量10リットル未満クラスの11連覇と同時にトラック部門の上位入賞を目指す。

 ジェッダ市内で車両と人員の最終調整を行ったチームは3日に主催者の車両検査を受けたあと4日の晩には海岸沿いの公園で行われたスタートセレモニーに登壇。ダカールの常連である日野レンジャーはポディアムでもすっかりおなじみだが、初めて投入されたボンネットキャブの新型車両は関係者の注目を集めていた。
 そして5日に行われた最初の行程はジェッダから北上してアルワジャへ。この日スタートを切った競技車は2輪144台、クアド(4輪バイク)23台、4輪83台、SSV(小型バギー)46台、そしてトラック46台であった。沿岸近くを行く195kmのリエゾン(移動区間)に続いて設定されたSSは319km。前半8kmのあと19kmの舗装路(ニュートラルゾーン)を挟んで213kmの後半部分が続く2パート構成である。路面は山間部のワインディングに始まり小さいながらも柔らかい砂丘もさっそく登場。後半には幅広いエリアに数多くのワダチが残るナビゲーションの複雑な区間に。砂地の中に多くの石が埋まっていてパンクの原因になりやすいなど相応に難易度の高い内容だった。

 この区間で日野チームスガワラは1号車が前半で石にヒットして右前輪のパンクを喫したもののその後は快調に走ってトラック部門総合13位でゴール。一方2号車はセンターデフロックの不具合により砂丘でスタックしてしまい脱出に約30分を要したが無事19位でゴール。1号車・2号車が排気量10リットル未満クラスの1、2位を獲得した。

 アルワジャのビバークに日野車が到着したのは日も暮れた午後7時半から8時頃。待機していたメカニックたちが早速点検作業に取り掛かった。
 6日はネオムへの行程で367㎞の競技が予定されている。

菅原照仁(1号車 ドライバー)
サウジの路面は03年大会で走ったエジプトのシャルム・エル・シェイク周辺に似ている気がする。パンクもありましたが初日としてはまずまずでした。今回からチーム代表とドライバーの兼任となりましたが、上位を狙うという目的のためにより良い体制が作れたと思います。塙さんと一緒にトップ5を目指していきたい。

染宮弘和(1号車 ナビゲーター)
バラエティのある広い路面でしたが探り探りのナビゲーションでミスをしそうになるたび直ぐに修正出来たので一か所も間違えずにゴール出来ました。明日のSSはロードブックがスタート直前に渡されるそうですが、イコールコンディションなので自分には悪くないと思います。

望月裕司(1号車 ナビゲーター)
初日はパンクのほかタービン取り付けボルトが緩んだりと細かいことはありましたがまずは順調です。自分は日野自動車として久々(1997年以来)の社員ナビゲーターでプレッシャーもありますが楽しめるよう頑張ります。

塙郁夫(2号車 ドライバー)
初めてのダカール・ラリーの初日はトラブルもあったけれど楽しめました。自分が普段参戦しているオフロードレースはスプリントの要素が強いのに対してダカール・ラリーはマラソン。違いも大きいし初めてのことばかりですがベストを尽くします。

塙雄大(2号車 ナビゲーター)
GPSのウェイポイントを辿るやり方のナビはシルクウェイラリーで経験しているので緊張はありませんでしたがダカール・ラリーのロードブックは要素が複雑ですね。朝渡されるのは良いと思います。

毛塚麻由美(2号車 ナビゲーター)
中央席にメカニック役として乗っています。走行中はタイヤ空気圧調整装置(CTIS)の操作がメインで異音なども聞き取らなくてはいけませんがまだ上手く出来ません。初日の今朝は緊張でお腹を壊しましたが明日からまた頑張ります。

長久保賢次(日野自動車 製品開発領域長 ダカール・ラリー技術担当役員)
ついにこの日がやってきました。上位入賞を目標に掲げていますが、まずは安全に走り切ってほしい。結果、順位は後からついてくると思います。

榎本満(日野自動車 車両企画部 ダカール・チャレンジ室 チーフエンジニア)
今年初めてボンネット車を導入しましたが、チームとしては十分な準備をしてきたので不安なく挑めます。みんなの力で総合5位以内を勝ち取りたいです。

鈴木誠一(メカニック 日本レーシングマネージメント)
1号車は前回大会の仕様がベースですが2号車は初めての部分が大きい。南米のステージを想定していたので砂の多いサウジになって違いはどうか。オートマチックトランスミッションの熱の問題などある程度走ってみないと分からないですね。

高杉健吾(メカニック Ken.Factory)
自分はFRP成型品の補修や板金部品の製作などを通じてメカニックをサポートするのが役目です。ダカール・ラリーは何があるか分かりませんが最後までしっかり役目を果たしたいと思います。

清野幸記(メカニック 日野自動車)
ダカール・ラリーの現場に来るのは実に23年ぶりです。日野が初めて参戦した91年にも帯同しましたが、あの頃とは車両も大きく変わりスピードが増した分リスクも増えているように感じます。今回のメカニックは全員優秀な人ばかり。ゴールしたときにみんなが良かったと言えるようなラリーになるように頑張ります。

西山雅貴(メカニック 日野自動車)
日野自動車での本来の所属部署は車両生技部で、ダカール・ラリーは昨年1号車の車両製作からお手伝いさせていただいています。今回は2号車を担当するメカニックとしてまずは完走してもらえるように頑張ります。

北川親二(メカニック 日野自動車)
前回の経験を活かして今回は1号車のメカニックのまとめ役を担当しています。結果に少しでも貢献出来るようみんなで全力を尽くします。

石井僚(メカニック 日野自動車)
2号車のメカニックを担当しています。海外サービス部の自分はまだ入社4年目で全てが勉強。不安もありますが毎日学んでいるところです。

永田泰宣(メカニック 東北海道日野自動車)
サウジは陽射しが暑いですね。メカニックとしてダカール・ラリーに来ることは学校で菅原(義正)さんの講話をうかがった学生の頃からの夢でした。車両製作から関わることが出来、構造を理解しているので仕事もやりやすい。車両は2号車が担当です。

渡邊啓介(メカニック 群馬日野自動車)
4月に販社メカニックとしてチームに加わって以来、車両製作やシルクウェイラリー参戦など、長かったけれどあっという間でした。いよいよダカール・ラリーの本番が始まり、2台揃って上位で完走出来るよう頑張ります。担当は1号車です。

渡邉恭史(メカニック 東京日野自動車)
やっとダカール・ラリーの本番がスタートして今はとても楽しみな気持ちです。2号車を担当しますが絶対に完走してもらえるよう頑張ります。

星島宏一郎(メカニック 岡山日野自動車)
ここまでの約9か月間、大変な中にも結構楽しんでやってきました。いよいよダカール・ラリーの本番が始まりましたがみんなが笑顔で終われるようしっかり仕事をしたいと思います。整備は渡邊(啓介)さんと一緒に1号車を担当しています。

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レース前日、車検で装備品検査を受ける

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セレモニー会場のポディウムで声援に応える1号車のメンバー

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初日の様子を説明する菅原照仁ドライバー

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初日ステージの走行を振り返る塙郁夫ドライバー

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点検整備に向けた打ち合わせを行う
日野チームスガワラのメカニックたち

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メカニックの誘導でアルワジャのチームビバークに入る2号車

ステージ1のハイライトを以下よりご覧いただけます。

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