日野チームスガワラ、ダカールラリー2012「連続21回完走、排気量10リッター未満クラス3連覇」を凱旋報告

2012年3月9日

協賛各社はじめ関係者、変わらぬ支援誓う

凱旋報告

ダカールラリー2012で「トラック部門・排気量10リッター未満クラス3連覇」と、日野が1991年に参戦して以来の「21回連続完走」という歴史的な記録を成し遂げた日野チームスガワラの報告会が、2月27日、日野自動車本社のデザインセンターで開催された。報告会には、日野チームスガワラからチーム代表兼ドライバーの菅原義正さん、同じくドライバーの菅原照仁さん、ナビゲーターの鈴木誠一さんと杉浦博之さん、各日野販売会社から派遣されたメカニックが出席。日野自動車の白井芳夫社長はじめ関係の役員、社員、協賛いただいている各社の皆様、日野グループ各社の代表ら、会場に駆けつけた総勢約100人の関係者を前に今年の戦いを振り返り、凱旋の報告を行った。

これに対して、今回初めて現地入りし、ペルー・リマでのゴールに立ち会った日野自動車の白井社長、ダカールラリーのテレビ報道に長年携わっているジャーナリストの新井勝さん、協賛会社を代表して株式会社タチエス会長の齊藤潔さんが、それぞれの立場から、ダカールラリーに対する取り組みやダカールラリーにかける熱い想いを披露。日野チームスガワラの健闘を称えると共に、話題は早くも来年の大会に移り、チームの更なる挑戦と活躍を皆で力を合わせて支援するとの決意表明も聞かれ、会場は大いに盛り上がった。また、急遽海外出張のため報告会に出席できなくなった日野自動車の市川正和副社長からは、日野の初参戦以来、ダカールへの挑戦を担当し続けてきた立場から、日野チームスガワラと協賛の各社に向けた感謝とエールのメッセージが寄せられ、会場で披露された。

凱旋報告

以下、当日いただいた、各氏からのご挨拶の一部をご紹介する。

● 日野・白井社長
改めて実感した、21回連続完走、クラス3連覇の価値

日野・白井社長

現地ではモータースポーツが国を挙げての一大イベントになっていることを実感した。これは、日本にいては決してわからない。例えば、ゴールセレモニーは大統領官邸前の広場で行われた。周辺の道路を閉鎖し、大統領が出てきて表彰式を行った。日本で言えば、総理官邸、国会、皇居周辺を封鎖して総理大臣が出てセレモニーを行うようなもので、絶対にあり得ない。そこまでモータースポーツ、特にダカールラリーが国民から歓迎されているということ。

その中で、日野チームスガワラが21回の連続完走、クラス3連覇、トラック部門総合9位と輝かしい成績をあげていただき、感激した。日野車の優秀さを世界に向けて発信することで、グローバルブランド日野をアピールすることができた。また、ラリーを支えるためにオール日野が一つの目標に向かって結束することができた。リーマンショックの際に色々議論したが、やめずに活動を継続すると決断したことは正しかったことを改めて確認した。これからも全力で日野チームスガワラのダカール参戦を支援していくので、皆様にも引き続きご支援をお願いしたい。

日野・白井社長

● 菅原照仁さん
新型レース車を投入、性能向上に確かな手応え

菅原照仁さん

これまでの車両に大幅な改造を加えた新型車を8年ぶりに投入、改造車部門にエントリーした。初めて走ったペルーでは、海抜ゼロメートル地点から一気に標高千6百メートル近くまで砂山を駆け上るような本格的な砂漠コースの設定もあり大変厳しかったが、エンジン位置の変更によるミッドシップ化や冷却性能の向上、車両全体で300キログラムという大幅な軽量化などの改造が功を奏し、クラス3連覇を達成することが出来た。

新型車の投入で、タイムが10%はアップしたことは、事前のモンゴルラリーで実証されていたが、総合トップとの時間差についても、昨年に比べさらに短縮させることができ、今年予定しているアクスルの変更、ドラムブレーキからディスクブレーキへの変更などの新たな改造を加えることで、さらに上位を目指すことが可能との感触を得た。ペルーに入って大変うれしかったことは、日野のトラックがたくさん走っていたこと。ペルーに入った途端、公道で移動中に多くの日野のトラックとすれ違った。他メークの参加者もこれには驚いていた。ドライバーが日野のレース車に気がついて手を振ってくれ、とても勇気づけられた。

菅原照仁さん

● メカニックの稲葉勇哉さん
レース通じ被災地支援への感謝のメッセージ世界に

メカニックの稲葉勇哉さん

私が勤務する宮城日野自動車の石巻営業所は、昨年の東日本大震災で津波により被災した。私の長年の夢であったダカールラリーに初めて参加することで、日本に支援や思いを寄せてくれた世界各国の皆さんに日本が元気である姿を示すことでお礼したい、被災地復興を後押しする明るいニュースを日本や被災地の皆さんに提供したいという、特別な思いを持って参戦した。

レースを終え、石巻に帰郷し、レースの報告をする機会もあったが、周囲の方々の顔を笑顔にできたことは、何よりの成果と思っている。今後は、ダカールラリーを通じ成長した自分自身が、復興を牽引する役割を担って行きたい。

メカニックの稲葉勇哉さん

● ジャーナリスト・新井勝さん
日本代表としての頑張り、映像で伝え、応援したい

ジャーナリスト・新井勝さん

私は、NHK記者時代に、ツールドフランスを取材する機会があり、その縁で、ダカールラリーを取材し、サンデースポーツで紹介した。これが、日本で初めてダカールラリーを伝える報道となった。フリーとなった現在、日本の放送界で唯一、現地同行取材をする記者として奮闘している。カルガリー・アトランタ・長野・シドニーのオリンピックや、フランスワールドカップはじめ有名な世界のスポーツイベントを取材してきたが、ほとんどはクローズドの世界で、予測可能な世界。ところが、ダカールラリーは、いくつかの国を移動しながらの国際競技であり、メカニックは不眠不休。ドライバー、ナビゲーターにとっては何が起こるか予測不可能な要素のある壮大なスポーツだ。最初にスタートしたバイクが通過してからトラックが来るまで約8時間。気温46度。灼熱の炎天下。広大な砂漠。カメラを1日で2機壊したこともあった。それほどまでに過酷なレース環境だ。

菅原義正さんは、「ダカールに出場するということは、年に一回、レースに集中することで日常のつまらないことを忘れ、あらゆるものを洗い流す、自分を掃除することだ」と話されている。菅原さんはまた、「我々は日の丸をつけて競技に臨んでおり、日本を代表して参加しているという意識を持っている」と話されている。日野チームスガワラは、日本の代表として頑張ってくれているということだ。「なでしこジャパン」があそこまで頑張ったが、「日野チームスガワラ」もそれと同じあるいはそれ以上に頑張っている。今回、全国TBSテレビ系列の「みのもんたの朝ズバッ!」で毎日、レースの状況を放送したのも、そういう頑張りをもっと応援したいと思ったから。皆さんも是非、日本の代表として参戦している「日野チームスガワラ」をこれからも応援して欲しい。我々はメディアという立場から、映像を通じて応援していきたい。

ジャーナリスト・新井勝さん

● タチエス・齊藤会長
目標見据えた親子での挑戦、協賛会社として支え続ける

タチエス・齊藤会長

最近は正月の箱根駅伝とダカールラリーで新年が明けるという状況が続いている。21回の連続完走記録達成とクラス3連覇の偉業は、協賛会社として誠に喜ばしい。手前味噌になるが、タチエスはドライバーに専用のシートを特別に製作して提供し、今年はナビゲーターにも提供させていただいた。

最近三浦雄一郎さんが出演する広告で、「目標を見失ったのは60代だった。目標の大切さを知ったのも60代だった」という言葉を聞いたが、義正さんは、実に30年間に亘って、同じ目標をしっかりと見据えて来られた。後10年は現役で頑張っていただきたい。そのためにも照仁さんはしっかりと義正さんをサポートし、親子で頑張って欲しい。新型のレース車は今後益々性能アップするということなので、照仁さんには是非とも総合での上位入賞を果たしていただくことを期待したい。タチエスとしても、協賛会社として一丸となってこの活動を支えていきたい。

タチエス・齊藤会長

● 菅原義正さん
30回連続出場の経験、若い人材の育成にも活かしたい

菅原義正さん

お陰様で、ダカール参戦連続30回達成を記念し、主催者から表彰を受けた。先日、日野OBの集まりである「永輝会」で、ダカールの報告を行った際に、「なぜそんなに長く続けられるのか」という質問をいただいたので、「こんなに面白いものを、他人に譲ることは出来ません」とお答えした。いくつかの国境を超えて競技をしており、その面では国際交流という役割も多少なりとも果たしているという自負はある。自分としてはあと20年頑張りたいと思っていたが、先程、あと10年は頑張ってもらいたいと言われ、予定より10年も短くなって愕然とした。(笑)

冗談はさておき、次の時代を支える若い人たちも少ずつ育ってきている。この面でも力を発揮していきたいと思うので、引き続きのご支援をお願いしたい。

菅原義正さん

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