環境
環境課題解決を経営の最重要課題に位置付け、各国政府・関連業界と連携し、お客様・社会起点の姿勢であらゆる方策を追求し続けます。
地球環境保全に関する基本的な考え方
日野グループは、地球環境保全に関する基本的な考え方を「日野地球環境憲章」や「日野環境方針」として策定し、関係会社を含むすべての従業員と共有・実践しています。
日野地球環境憲章 1993年4月発行、2001年2月改定
基本方針
1. 地球環境の保全を総合的かつ継続的に進めます
私たちはディーゼル車のトップメーカーとして、よりよい製品を世界各国の様々な人々に提供し、豊かな社会づくりに貢献し続けるとともに、その環境影響を認識し、事業活動のあらゆる場面において汚染の予防に配慮しながら継続的改善を進めることで、人と地球の持続的発展のために努力します。
2. 地球環境の保全を具体的かつ確実に進めます
私たちは環境マネジメントシステムの構築と運用を通じて、私たちに関連する法的及びその他の要求事項を遵守し、環境目的及び目標を定め、評価し、見直す活動を継続していきます。
行動指針
1. 事業活動全般並びにクルマのライフサイクル全てに亘る環境負荷の最小化を図っていきます
トップレベルの環境性能を有する製品を社会に提供し続けると同時に、この生産及び物流過程においても環境負荷を最小化する技術をたゆまず開発します。また、クルマのライフサイクルにおける全過程を包含する環境マネジメントシステムを構築し、運用します。
2. 関係会社とのパートナーシップをより緊密にして進めます
私たちが事業を営むには、多くの方々の協力が不可欠です。クルマづくりのパートナーと国内外で協力し合い、私たちの環境保全活動を更に大きな輪としていきます。
3. 情報開示・教育・啓発に一層つとめます
私たちの取り組みを一人でも多くの方に、より正確に知っていただくための活動を推進します。また私たち自らも、環境感性を磨き続けます。
4. 企業市民としての、社会的取り組みへの積極的な参画を行います
私たちが社会に対して出来ることは、よりよい製品の提供ばかりではありません。企業市民として、また地域に生きる企業人として、社会的取り組みに積極的に参画します。
日野環境方針 2023年6月発行
行動指針
1. 法規制等の順守
環境にかかわるすべての法令・その他当社の合意した事項及び自主基準を順守し、製品・サービスを提供します。
2. 環境汚染の防止
化学物質・油等による環境汚染の未然防止・影響の軽減、大気汚染物質の排出削減、有害廃棄物及び排水の排出削減・適正処理を行います。
3. 持続可能な社会の構築
「日野環境チャレンジ2050」および「日野環境マイルストーン2030」のバックキャストと「環境取り組みプラン」から策定した「年度全社環境活動方針」を推進します。
4. 環境管理の維持
環境保全推進計画を作成し、定期的な見直しを行い、その達成に向け、継続的改善を行います。
5. 全従業員の参加
日野で働く全ての従業員が環境に関心をもてる環境文化の構築をします。
環境推進体制
代表取締役社長を委員長とする日野環境委員会を毎年4回開催し、環境に関する中長期的な戦略の策定や計画に対する取り組みの進捗を評価しています。これらの進捗や再生可能エネルギーの導入など経営にインパクトを及ぼす取り組みは、経営会議や取締役会で審議・決定しています。
また、日野環境委員会の下部組織として7つの部会を設置し、事業全体に影響を及ぼす環境負荷低減に向けた取り組みを推進しています。

日野環境戦略
「日野環境チャレンジ2050」および、その中間目標「日野環境マイルストーン2030」を策定し、地球環境課題の解決に向けた活動を進めています。さらに、これを実現するための5カ年計画「2025年環境取り組みプラン」を設定し、持続可能な社会への実現に向けて取り組んでいます。

日野環境チャレンジ2050
日野自動車は、「日野環境チャレンジ 2050」を2017年に策定しました。豊かで住みよい世界と未来を次の世代につなぐため、日野グループが成し遂げるべき6つのチャレンジを宣言し、取り組みを進めています。

主な取り組み
トラックやバスは、部品や素材をつくる段階から、車両製造、お客様による使用、そして廃棄までの製品ライフサイクル全般において環境に負荷を与えています。日野自動車は、社会のライフラインである物流や人流を支え続ける会社として、深刻化する地球温暖化、水不足、資源枯渇、自然破壊などの様々な地球環境問題に対し、取り組んでいます。
日野環境マイルストーン2030
日野環境チャレンジ2050までの中間目標である「日野環境マイルストーン2030」を設定しました。カーボンニュートラルへの対応を足元の最重要課題として位置付け、実現に向けた取り組みを進めています。活動を進めるうえでは、各国政府や関連業界と連携しながら、お客様・社会起点の姿勢であらゆる方策を追求し、取り組みます。
グローバル活動目標
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日野環境チャレンジ2050 | 日野環境マイルストーン2030目標 | 主な方策 |
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新車CO2ゼロチャレンジ |
製品走行時のCO2排出量を 2013年度比▲40% (グローバル平均) |
●電動化車両の開発、導入 ●ディーゼル燃費の向上 ●輸送効率化への取り組み |
ライフサイクルCO2ゼロ |
ライフサイクルにおける CO2排出量を2013年度比▲25% (グローバル平均) |
●ライフサイクル全体でのCO2排出量削減 ・製造工程の脱炭素推進 ・ディーゼルエンジンの燃費向上、車両電動化をはじめとする技術開発や普及促進を目指し、社会全体での輸送効率化を追求 ・各国のエネルギー政策やインフラ整備、エネルギー産業と連携し、エネルギーの脱炭素化を推進 |
工場CO2ゼロチャレンジ |
工場からのCO2排出量を 2013年度比▲40% |
●革新技術の導入 ●日常改善の推進 ●再生可能エネルギーの導入 |
水環境インパクト最小化 |
・地域の水リスクを考慮した節水・循環利用 ・水環境の保全につながる厳しい 自主基準での管理 |
●使う水は少なく ●還す水はきれいに |
廃棄物ゼロチャレンジ |
工場からの廃棄物量を 2018年度比▲30% |
●廃棄物ゼロに向けた削減 ●資源利用効率化 |
生物多様性インパクト |
自然と共生する※工場づくり ※地域特性(生態系)を考慮した活動を推進している工場 |
●生物多様性の保全 ●学習機会の提供 |
主な方策とSDGs(持続可能な開発目標)達成への貢献
トラック・バス事業における各ステップで、環境負荷最小化
トラック・バスが地球に与える環境負荷を極限まで低減する取り組み『日野環境チャレンジ2050』で、地球温暖化防止、資源循環、生物多様性保全などに貢献します。
サステナブルなバリューチェーンの構築
裾野の広いトラック・バスのバリューチェーンにおいて、社会・環境に与える影響を低減することで、環境負荷の少ない持続可能な社会の実現に貢献します。
同じ志を持った仲間づくり
(あらゆる力を結集した社会課題解決)
日野グループだけにとどまらず、同じ志を持つ企業とパートナーになり、社会課題解決に取り組みます。
2025年環境取り組みプラン
中長期戦略の実現に向けて、2021年に5ヵ年計画「2025年環境取り組みプラン」を策定しました。
本プランでは、「環境チャレンジ・法令順守・マネジメント」 に対して目標および計画を定め、取り組んでいます。2023年度の主な取り組み結果は下記の通りです。
活動目標と推進状況
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2025年環境取り組みプラン 計画内容や目標など | 2023年度の主な取り組み | |||
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環境 チャレンジ |
ライフサイクルCO2ゼロ |
目標:2013年度比▲12% (単位輸送量※あたり) ※ 1トンの荷物を1km or 1人を1km 輸送する際のCO2排出量 ・「つくる・運ぶ・使う・廃棄する」全プロセスでCO2排出量削減 (各国・各業界との連携) |
・自動車工業会の各社とライフサイクルCO2算定方法を検討実施 ・お取引先のCO2排出量の見える化や 削減活動の横展支援 |
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新車CO2ゼロ |
目標:2013年度比▲15% (単位輸送量あたり) ・電動化車両の開発、市場導入 ・ディーゼル燃費の向上 ・輸送効率化への取り組み |
・電動車小型BEVトラック 「日野デュトロ Z EV」の普及促進 ・大型トラック「日野プロフィアハイブリッド」を一部改良して発売 ・日本初「燃料電池大型トラック」の走行実証に貢献 |
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工場CO2ゼロ |
目標:2013年度比▲30% (グローバル総排出量) ・革新技術の導入 ・日常改善の推進 ・再生可能エネルギーの導入 |
・工場CO2排出量:2013年度比▲60% ・再生可能エネルギーの導入:敷地内での再エネ発電や再エネの外部調達(水力発電由来、PPA※1モデル事業、非化石証書※2など)をグローバル連結9社で実施 ※1 PPA(Power Purchase Agreement):電力購入契約 ※2 再生可能エネルギーをはじめとするCO2を排出しない非化石電源から発電された電力の環境価値部分を証書化したもの |
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水環境インパクト最小化 |
目標:水使用の無駄を省いた削減の取り組み (全グローバル工場) ・使う水は少なく ・還す水はきれいに |
・取水量の削減量(自社): 概算345,700t |
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廃棄物ゼロ |
目標:2018年度比▲12% (グローバル総排出量) ・廃棄物ゼロに向けた削減 ・古い車を活かした新しい クルマづくり(Car to Car) ・梱包包装資材、包装プラスチック材の削減 |
廃棄物排出量:2018 年度比▲40% ・廃棄物排出量のうち廃プラスチックの割合:6% ・梱包包装資材原単位削減率 2018年度比▲25% ・ASRのリサイクル率:96% (法基準値:70%) 自動車リサイクル法に基づく再資源化等の実績 |
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生物多様性インパクト最小化 |
目標:自然と共生するモデル工場を 2拠点設置 ・緑と水の保全、自然と共生する 工場づくり |
・ライトトラップ昆虫観察会開催 森づくり活動実施(古河) ・ビオトープ造成、植樹 (タイ日野製造) |
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法令順守 | 大気 | ・製品、生産における大気汚染防止の対応 | ・再認可取得に向けての評価継続 ・各仕向地ごとの各種次期規制に対応する製品の開発推進と市場導入準備 ・VOC原単位削減率:2018年度比▲6% |
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水質・土壌 | ・生産における排水管理、 地下浸透防止 ・土地取引や改変時の汚染拡大防止 |
・法令の基準値順守 ・日野工場の土壌調査や汚染対策を 10件実施 |
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騒音・振動 | ・製品、生産における 騒音/振動の低減 |
・各製品の騒音規制対応と騒音予測 シミュレーション技術の強化を推進 ・工場敷地境界線での法令基準値順守 |
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廃棄物 | ・廃棄物の適正管理 | ・新規廃棄物の委託契約4件締結 適正管理を実施 |
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化学物質 | ・製品、生産における化学物質管理、 負荷物質低減 |
・グローバルな視点でIMDSを用いた環境負荷物質管理を実施 ・新規補助材における禁止物質の徹底管理を行い、469件の評価を実施 |
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事故防止 | ・環境事故未然防止 (違反・苦情、異常・申入れゼロを目指す) |
・違反4件、異常1件発生。行政の指導に基づく適切な措置を実施 ・類似事故の発生防止に向けたグループ全体での点検、未然防止を実施 |
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マネジメント | 環境人間作り (環境経営の発信と社内教育) |
・外部セミナーを開催し、237名が受講 内容:ISO基礎・環境法令セミナー、監査手法eラーニング ・環境機能長による勉強会を開催し、150名が受講 テーマ:「地球のしくみとはたらき 生物多様性を考える」 |