日野自動車とVolkswagen Truck & Bus、戦略的協力関係の構築に向け合意
経営
2018年4月12日
- 戦略的協力関係構築の枠組みに関する合意書(Strategic Cooperation Framework Agreement)に調印
- 両社が共有する価値観:さまざまなお客様に最高の価値を提供
- 幅広い協力可能性:未来の物流/輸送、技術、調達等
- 両社の強みが活かせる関係:事業展開地域、商品ライン
- 合意の基本スタンス:長期視点、対等かつ互恵的な関係
日野自動車株式会社(以下、日野)とVolkswagen Truck & Bus GmbH (以下Volkswagen Truck & Bus)は、長期視点、対等かつ互恵的な戦略的協力関係の構築に向けた合意書(Strategic Cooperation Framework Agreement/ 以下SCFA)に調印しました。
両社は「お客様に最高の価値を持続的に提供していく」との考え方を共有し、「物流/交通に関わるソリューション調査」、「既存・将来技術」、「調達」等の領域において協力を検討してまいります。技術領域には、既存の内燃パワートレーン、ハイブリッドおよび電動パワートレーン、コネクティビティー、自動運転システム等が含まれています。今後、協力関係の構築により、両社はお客様に最高の価値を提供すべく、革新的な技術の開発を行い、グローバルなマーケットポジションを高めることを目指してまいります。
運営体制と致しましては、SCFAに基づいたアライアンス委員会を立ち上げ、長期的かつ対等な協力の方向性を議論します。同委員会は日野とVolkswagen Truck & Busの両CEO、および役員級のメンバーで構成されます。両社は独立性を維持した形で、実際的、効率的な組織運営を目指します。
また、アライアンス委員会は既存/将来技術分野における協力可能性の調査や評価を行います。例えば、お客様により良い商品をお届けするための既存内燃パワートレーンにおける協業可能性、さらには将来の輸送を踏まえた新技術領域における協力可能性などです。
日野自動車株式会社 代表取締役社長/CEO、 下義生は「今回の合意は日野とVolkswagen Truck & Busがお互いを尊重し、『お客様に最高の価値をお届けする』という考え方を共有するからこそ成し得たものです。日野は、お客様に最高の価値をお届けするために『もっと、はたらくトラック・バス』をスローガンとして、Volkswagen Truck & Busと地域的な互恵関係の構築を目指し、互いの技術に敬意を払い、『もっと良い商品』と『最高にカスタマイズされたトータルサポート』の提供に挑戦してまいります。また、急速なeコマースの普及等により『輸送』が新たな課題に直面する中、日野とVolkswagen Truck & Busが戦略的協力関係の構築を目指すことは大きな意義を持つものと考えます」と語りました。
Volkswagen Truck & Bus GmbH CEO、A.レンシュラーは、「トラック・バスのリーディングカンパニーの1つであり、特にアジアで強い存在感を示す日野と戦略的パートナーシップの構築に向けて合意することになり、大変嬉しく思います。事業を展開する地域や商品ラインアップの観点からとても良い組み合わせであることに加えて、将来の輸送のあり方を追求するパートナーとしても最良の組み合わせであると思います。日野との協業の実現は『お客様に最高の価値をお届けすることを通して輸送業界のグローバルチャンピオンになる』という戦略にも貢献するものです」と語りました。
Volkswagen Truck & Busと日野は戦略的協力関係を結ぶことにより、グローバルビジネスにおける地域的な協力関係を強化し、業界の課題対応力を高めることが可能になります。日野は、日本およびアジアにおける商用車のリーディングカンパニーであり、米国を含む80以上の国/地域で商用車を販売しています。Volkswagen Truck & BusはMAN、Scania、Volkswagen Caminhões e Ônibusブランドを通したヨーロッパ、およびブラジルにおけるリーディングカンパニーであり、車載コネクティビティーのクラウドプラットフォームである「RIO」を有します。また、北米ではNavistar、中国ではSinotruk(中国重汽)と協力関係にあります。
共同記者会見での両CEOによるスピーチ
下CEO
皆さん、こんにちは。日野自動車 社長の下でございます。
本日はお忙しい中、また、急なご案内にもかかわらず、多くの方に記者会見にご出席を賜り、誠に有難うございます。
日野とVWトラック&バスは、「お客様に最高の価値を提供する」ことを共通の目標とし、相互にシナジー効果を発揮し得る、継続性のある戦略的協力関係の構築に向けた合意書に調印致しました。事業展開する「技術」、「商品」、「地域」の観点で幅広い協業の可能性を有する合意だと考えています。
物流や輸送が大きな変革期を迎える中、世界中のお客様のさまざまなご要望に応え続けるために、日野はVWトラック&バスと協業関係を築いていきたいと考えています。
レンシュラーCEO
皆さん、こんにちは。VWトラック&バス CEOのレンシュラーでございます。
私からも、多数の方にお越し頂きましたことに厚くお礼を申し上げます。また、本日の共同記者会見が開催されることを大変嬉しく思いますし、下社長にお礼を申し上げたいと思います。私にとって、日本はとても印象的な国です。そして東京は活気に満ちています。ドイツからのフライト時間は長いのですが、日本に到着するのが楽しみで疲れを感じません。
今回の合意は、「物流/交通ソリューションの研究」、「既存、および将来技術」、「調達、販売/サービス」の領域において、両社による具体的な協業の検討を開始致します。
戦略的協力関係の構築に向けた合意は、事業を展開する地域や商品ラインアップの観点から両社がシナジー効果を強く発揮しうる合意であることに加えて、将来の輸送のあり方を共に考える枠組みにもなると考えています。
下CEO
自動車業界は100年に一度の大変革期を迎えています。
eコマース等の急速な普及による深刻なドライバー不足、同時にドライバーの高齢化も進んでおります。また、地方では高齢化が進むと同時に電車やバスの路線が廃止され、「移動」にご苦労をされる方が増えております。
これまでと同じ価値の提供では、これからのお客様のニーズには応えられません。
そうした強い危機感をVWトラック&バスと共有しています。私たちは、お互いの力を合わせ、お客様、そして社会の課題を先頭に立って解決してまいります。
私は、昨年の6月に日野自動車の社長に就任致しましたが、日野のスローガンを「もっと、はたらくトラック・バス」に致しました。
そして、「もっと、はたらくトラック・バス」を実現するために3つの方向性を打ち出しました。
一つ目は「安全・環境技術を追求した適格商品」の提供、二つ目は「最高にカスタマイズされたトータルサポート」、最後に「新たな領域へのチャレンジ」です。
この3つの方向性をより早く、より確実に実現していくために、お互いのリソーセスと技術を最大限活かし合いながら、VWトラック&バスと協力していきたいと考えています。
レンシュラーCEO
輸送におけるさまざまな変化に対応するには、投資と技術が必要です。
私たちはお互いの力を合わせてこのチャレンジに挑むことで、必ずやチャレンジをチャンスに変えて、お客様、そしてさまざまなオーナーの皆様により高い価値をご提供できると信じています。
私たちのお客様は私たちの商品を使って利益を出し、生計を立てなければなりません。
つまり私たちのトラック・バスはお客様の価値創造過程において決定的に重要な要素なのです。こうしたことを踏まえて、私たちはお客様の目線に立ち、共に改善を積み重ねてまいりたいと考えています。
今回の協力関係は先駆的なものになります。世界の輸送業界で存在感を示す企業間の協力関係です。パートナーとなる両社は、輸送問題への解決策の提示、また世界をめぐるより効率的でクリーンで確実なモノの移動の実現への強い思いを共有しています。
技術的な観点から申し上げれば、主たる協力の領域はパワートレーンです。既存内燃パワートレーン、ハイブリッドおよび電動パワートレーン、またコネクティビティ技術や自動運転などの成長領域でも協力してまいります。
さらには物流・輸送ソリューションの研究にも力を注ぎますし、調達領域にも成果につながり得る協力可能性があると考えています。
下CEO
次に、日野自動車について少しご紹介いたします。
日野自動車は日本、およびアジアを主たるマーケットとし、近年販売を増やしている米国を含め、80を超える国や地域でトラック・バスを販売しています。
日野の強みは大きく2つあります。
1つ目は、チーム日野一体となった「トータルサポート」です。
稼働の最大化とライフサイクルコストの最小化のため、販売会社、サプライヤー、そして我々メーカー、チーム日野が一体となって、お客様のビジネスを支える「トータルサポート」が日野の最大の強みです。この「トータルサポート」がVWトラック&バスとの協業に大きなシナジー効果をもたらすことを確信しています。
2つ目は先進技術開発です。
ハイブリッドについては1991年に商用車として世界で初めて商品化、累計の販売台数は1.5万台に達しております。
また、EVバス、PHVバスについても限定販売を実施済であり、FCVバスについてもトヨタと協力して開発中です。
安全技術につきましては、
・人検知型のプリクラッシュセーフティーシステム、
・レーンキーピングアシスト、
・ハイビームを自動制御するアダプティブ・ドライビングビーム(ADB)
・ドライバーモニター 等
の先進安全技術を昨年日本で発売を開始した新型モデルより導入し、市場のニーズに応じて順次、展開してまいります。
日野は今後もトヨタグループの一員である強みを活かしつつ、VWトラック&バスとの協業を実現していくことにより、先進技術で世界をリードする商用車メーカーとして、お客様へ新たな価値を持続的に提供してまいります。
レンシュラーCEO
VWトラック&バスの歴史は2015年にVWグループがMAN、Scania、Volkswagen Caminhões e Ônibusを新統括会社の下に再編したことに始まります。以来、VWトラック&バス は、各ブランド会社が共に努力を重ね、期待を超えるスピードで成長してまいりました。
VWグループは立ち上げ当初より、自動運転、コネクティッド、環境技術等の先進技術を有し、ブラジル、および欧州におけるマーケットリーダーの地位を確立しておりました。
私たちは輸送を次のステージへいざないます。2016年の秋にはRIOクラウドプラットフォームを立ち上げ、デジタル輸送ビジネスにおける優位性を強固なものに致しました。私たちはコネクティッドトラック市場において欧州のリーダー的地位を確立しております。VWトラック&バスは、北米ではNavistarと戦略的アライアンスを組み、中国においては、Sinotruk (中国重汽)のシェアホルダーです。
このように、日野とVWトラック&バスの関係は幅広い協業に発展する可能性があるのです。
下CEO
日野とVWトラック&バスは今回の合意を受け、速やかに両社のメンバーで構成されるアライアンス委員会を立ち上げます。同役員会には私とレンシュラーCEOも参加してタイムリーな意思決定を行ってまいります。
アライアンス委員会は、将来の物流・交通・ビジネスシステム等の変化予測を行い、足元と将来の具体的な協業に向けたフィージビリティースタディーを行います。
レンシュラーCEO
皆様、
VWトラック&バスと日野は歴史も文化も異なりますが、今回の合意に至る過程を通じてわかったことがあります。それは、両社がお互いを対等なパートナーとして、信頼に基づく関係を構築することができるということです。これから両社は強いチームワークで、お客様にとっての価値を追求し、輸送に関するさまざまな挑戦に立ち向かう覚悟ができています。
ご清聴ありがとうございました。
以上