HINO

「チャレンジングスピリッツこそが伝統」
虎視眈々と攻めの態勢を整える菅原照仁

変えないけど、変化には対応する

照仁は、チーム新代表となったことで取り入れたい変革を「とくにない」とする。しかしそれは、これまでチームに浸透してきたチャレンジングスピリッツや抜群のチームワークなどに関してという意味。チーム体制や戦略については、近年の環境変化に柔軟な対応を続けていく方針を掲げている。

「とくにこの2~3年、ダカール・ラリーは大きく変化しています。かつてはアフリカの国々をまたいで走りつなぐクロスカントリーラリーでしたが、2009年大会から南米に舞台を移し、2019年大会はペルー1ヵ国のみで実施されて、期間もこれまでより短い10日間となりました。そして2020年は、中東のサウジアラビアで開催されることが決定しています。日野自動車が参戦を開始した30年前には、冒険要素も多分に含んでいたのですが、現在のダカール・ラリーはスプリントレースのよう。総合優勝を獲得するには、この変化に合わせたチームづくりが必要だと考えています」

求めるのは、攻めの走りができるチーム

スプリントレース化するダカール・ラリーに対応するため、「日野チームスガワラ」が2020年の参戦で導入を検討しているのが、かつてのようなドライバーとナビゲーター2名の乗員3名体制。これにより、トラブル発生時の対応力を高め、ある程度のリスクを負った攻めの走りができる。そして照仁は、自身とタッグを組むもうひとりのドライバーとして塙郁夫を招いたことも、「現在のダカール・ラリーに対応できるチームづくりのため」と明言している。

自ら招へいした塙 郁夫(はなわ いくお)と談笑する照仁
塙 郁夫は新型2号車のステアリングを握る

「数々のオフロードレースで活躍してきた塙さんに協力してもらうことが、大きなプラスになると信じています。とはいえダカール・ラリーは、ドライバーだけ揃えれば好成績が残せるというものではありません。現場のナビゲーターやメカニック、それを支えるスタッフ、マシン開発に携わる技術者やレース活動を支えてくれるスポンサーなど、多くの人々が協力しなければ目標は達成できません。結果的にかなりの大所帯となりましたが、多方面からの協力を得てこれだけの体制を築いてもらったのだから、数年後に必ず、以前とは異なる難しさが加わった現在のダカール・ラリーで、総合優勝を獲得したいと思います」

20年を超える経験と、クラス10連覇の実績。しかしそれに驕ることなく、“挑戦”や“感謝”の伝統は守りながら、レース環境の変化にも柔軟に対処していく。砂丘走破より難しいかもしれないダカール参戦チームの舵取りは、照仁に委ねられた。

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INTERVIEW DATA

  • time : 05'25"