HINO

「知らないことを不安がっても仕方がない」
楽しむことをパワーに変える塙郁夫

ダカール・ラリーの環境は天国のよう!?

一方で、“未知”や“初”は塙にパワーを与える言葉でもある。

「これまでもずっとそうでしたが、初めての土地で大自然の中を走るというのは、それだけでワクワクします。そもそも、それが大好きでオフロードレースをやってきたわけですから!」

これまでのオフロードレースやラリーレイドでは、とてつもない距離を寝ないで走り続けるような体験もしてきた。それだけに、世間では“世界一過酷なラリー”という枕詞がつくことも多いダカール・ラリーも、塙にとっては身構えるほどのものではない。

「2週間の長丁場とはいえ、クルマを壊すことなく確実に帰ってくれば、毎日ちゃんと睡眠時間が確保できて、優秀なメカニックたちがクルマを整備してくれて、しかも自分でチーム運営をしなくてよいという現在の体制は、僕にとって天国のようです」

入念にクルマのチェックをする2号車のメカニック

唯一の不安要素は大砂丘

オフロードレースの世界では経験豊富な塙だが、ダカール・ラリーの舞台となるほどの大砂丘を、長時間あるいは何日間も走行するようなレースに出場したことはない。自身も「唯一の不安を挙げるなら、砂丘」と話す。

「経験がないというのは、それだけで不安をもたらします。しかし僕には、これまでのレースで培ってきたドライバーとしての経験があります。それに基づいて戦略を事前に練るなら、やはり“考えすぎない”ことしかない。知らないことを想像して不安がっても、なにも解消されないので、まずはリラックスして臨み、引き出しは多いと信じて走るだけ。楽しんだ先に、喜びは待っていると思います」

思考はいつもシンプル。「自分が楽しいと思うことに、全力で取り組む」。これに尽きる。

「一時期、どうやって過酷なレースに挑むモチベーションを保とうかと悩んだ時期がありました。しかし考え抜いてみた結果、答えは簡単でした。面白そうだと思える新しいことに対して、どん欲に突き進むだけ。そして現在の僕にとって、それはダカール・ラリーです」

塙郁夫の初挑戦は、日野自動車のニューマシンとともに間もなく本番を迎える。

未知への挑戦に挑む2号車のメンバー
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MOVIE DATA

  • time : 01'38"