HINO

国内最終テストを完遂して
マシンはいよいよ戦いの場を目指す

順調なテストの裏側で高まる複雑な想い

とはいえ、チームが本戦を楽観視しているわけではない。製品開発領域長 ダカール・ラリー技術担当役員の長久保賢次は、現在の心境をこう語る。

「ワクワクとドキドキ、期待と不安。いろんな感情がすべて入り混じっているような状態ですね。新生チームダカールとして、全社一丸となってダカール・ラリーに取り組んでいくために意気揚々とスタートしましたが、この約半年間でそう甘くもないことを認識させられましたから……」

しかしそれは、ここに来て弱気になったというわけではない。「全社で盛り上がっていこうという気運、あるいは日野チームスガワラとしての士気は、日に日に高まっています。今回のテストであらためて、マシンの優れた戦闘力を確認でき、ここまでにやるべきことはやり切ったと自負しています」と長久保は意気込む。

長久保賢次技術担当役員
日に日に士気が高まっている日野チームスガワラ

戦うための武器は整った。ダカール・ラリー2020では、初めてサウジアラビアが舞台となる。敢えて不安要素を挙げるならこの点だが、「日野チームスガワラ」は1号車のドライバーである菅原照仁、2号車のハンドルを握る塙郁夫ともに百戦錬磨の大ベテラン。土地に対する対応力では、むしろライバルチームに対してアドバンテージがあるかもしれない。

これから走る未経験の土地に対するワクワクとドキドキ、ニューマシンに対する期待と不安、スポンサー企業の熱い声援、現地には行けない新生チームダカールメンバーが込めたさまざまな願い……。数々の想いと一緒に、日野チームスガワラの1号車と2号車は、いよいよ海を渡る。

「日野チームスガワラ」メンバー