レースメカニックロングインタビュー
トラック整備は面白い。

第3章 - トラック整備という仕事の面白さ・最強のメカニックとは

「最強のメカニック」とは、どういう人だと思いますか。

髙野:
ドライバーさんが安心して車に乗れるよう全力を尽くすのが、最強のメカニックだと思います。お互いに信頼関係を築き合えたら最高ですね。
木下:
私も髙野さんと同じで、「ドライバーに信用してもらえる人」だと思います。例えば、病院へ行って自分を診察してくれるお医者さんが信用できなさそうだと感じたときに、この人の診断で本当に大丈夫かな、と不安な気持ちになると思います。でも、逆に、この人に診てもらったら大丈夫と思えたら、安心できますし、また次も診てもらいたいですよね。それと同じことです。
山内:
「お客様の大切な命を預かっている」という意識を常に持って整備できる人です。トラックドライバーも、ダカールラリーを走っているドライバーも、どちらも命をかけて走っていると思っています。トラックドライバーである父の姿を見てきたので、人一倍そう感じるのかもしれません。家族を思い、仕事に命をかけて車を運転する。それを裏でしっかり支えられるのが最強のメカニックです。
澁谷:
「チームのことを考えられる人」です。トラック整備は一人ではできない作業が多いので、普段の仕事もチームで取り組んでいますが、ダカールラリーを経験した今では、特にチームワークが大切だと思っています。

ダカールラリーの経験を今後どのように活かしていきたいですか。

澁谷:
ダカールラリーは困難の連続で、その度に物事をマイナスに考えてしまう自分がいました。ですがチームの仲間は決して下を向かず、前向きに考えていくタイプで、すごく影響を受けました。その姿勢と考え方を、日々の仕事に活かしていきたいです。
山内:
技術面ではもちろん、たくさん持ち帰ったものがあると感じています。ですが一番は「諦めない心」をチームのみんなに教わったことが大きいですね。車は夜遅くに戻ってきて、それでも朝までには完ぺきに修理をしなければならない。時間には限りがあるのに、作業工程は果てしなくある……そんな過酷な状況の中でも、誰ひとり弱音を吐く人はいませんでした。みんなのために、自分がやれることをやる。そういった「助け合いの心」「折れない心」は、仕事だけでなく、普段の生活でも役立つと思っています。
木下:
世界の大舞台での作業も、日本での作業も、同じだと感じました。普段の仕事の延長線上にダカールラリーがあった、というわけです。今できるベストなことを判断して、積み重ねた技術とチームワークで困難に立ち向かい、解決していく。その究極の場であるダカールラリーで経験を積むことができ、本当によかったです。
髙野:
メカニックの仲間からいろいろなことを学びました。澁谷さんは板金が上手で、山内さんは電気系の故障に強く、木下さんは社交性に優れていて、いつも場を盛り上げるムードメーカーで。働く姿勢はもちろん、男としての生き方を教わった気がします。ダカールラリーは夢の舞台でした。関わったすべてのみなさんに感謝の気持ちでいっぱいです。
木下:
名ドライバーである菅原義正さんからこの半年、たくさんのアドバイスをいただきました。印象に残っているのは「何事も勉強し、人間力をあげなさい」ということです。この言葉を忘れずに、今後も一生懸命業務に励みます。

では最後に、メカニックを目指す学生に向けてメッセージをお願いします。

髙野:
ダカールラリーに出場できる日本の商用車メーカーは、日野自動車しかありません。世界で戦えるメカニックになれる、これが日野自動車で働くメリットです。一緒に仕事をしながら、世界の大舞台に立つチャンスをつかみましょう。
澁谷:
目標に向かって努力し続ければ、夢は実現する。そのことをダカールラリーから学びました。日野自動車では様々な技術コンクールが行われるので、メカニックとして自分自身の技術をどんどん高めていくことができます。
木下:
趣味が多様化し、「若い世代の車離れ」と昨今言われています。寂しいことですが、ぜひ、メカニックという仕事を通じて、車の魅力をさらに知って欲しいと思います。その象徴になるのがダカールラリーです。日野自動車は、世界で戦えるメカニックを育成できる会社です。
山内:
メカニックの仕事に一番やりがいを感じるのは、日本の物流を支えていることです。国内では、輸送機関の8割以上をトラックが占めています。例えばペットボトルの水や、肉・野菜といった食料など、私たちが日常生活で当たり前のように手にしているものは、トラックが運んでいるんです。宮城日野自動車に勤務していたときに東日本大震災を経験し、物流を支えるトラックの重要性を痛感しました。ダカールラリーのトラックは、物こそ運びませんが、そこに関わるすべての人の夢を運んで走っています。今回はアクシデントや悔しさを乗り越えて、上位入賞をみんなで実現させました。あんなに苦しく、辛かったことでも、もう一度挑戦したいと思える本当に素晴らしい経験でした。学生のみなさん、「ダカールラリー」という世界の大舞台を、日野自動車で目指してみませんか。

ダカールラリー2018帰国直後に行われたロングインタビュー。日焼けしたメカニックたちの充実感にあふれた表情、安堵の微笑みがとても印象的でした。様々な困難が「相手を思いやり、自分の力を出し切る」という気持ちを高め、チーム力をさらに強くしたように感じます。貴重なお話をありがとうございました。

(聞き手:のかたあきこ/フリーライター)

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