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トータルサポート
物流を止めない、その想いは止まらない
私たちが提供するのは、単なる「トラック」という製品だけではありません。お客様の車両が止まることなく走り続けられるよう、全力で寄り添う「トータルサポート」こそが、日野の真髄です。その源流は1963年に発足した「フィールドメカニック制度」にあります。かつて工具を手に砂漠や僻地へ駆けつけたメカニックたちの情熱は、今、高度な技術でビジネスを支える「フィールドサービスエンジニア」へと受け継がれています。世代を超えた3名が語る、現場で培われた日野のDNAをぜひ知ってください。

- T.SE
-
アセアン部
2019年入社

- T.SHI
-
TSメカニック品質部
1980年入社

- K.W
-
TS部品部 執行職
1994年入社
- STORY 01
- 世代を超えて受け継がれるトータルサポートの精神
- T.SE
- 私は2019年入社で、現在はアセアン部でフィールドサービスエンジニアとして、シンガポール市場の支援や部品供給を担当しています。もともとクルマやバイクが好きだったこともあり、自動車の専門学校に進学した後、地元の企業に就職したいという気持ちで、日野自動車を選びました。T.SHIさんとK.Wさんはこれまでどのようなキャリアを歩んでこられたのですか?
- T.SHI
- 私は1980年入社です。入社して2年間は工場でものづくりの厳しさを学び、その後フィールドメカニックとして西アフリカのアイボリーコーストやアルジェリア、さらにはオーストラリアやアメリカ、中国など合計16年間、海外駐在を経験しました。
- K.W
- 私は1994年入社です。文系出身ですが「海外派遣フィールドメカニック」の募集を見て、未知の世界へ飛び込みました。ベトナムやインドネシアに駐在し、今はTS部品部で部品供給の統括をしています。
- T.SE
- お二人とも、まさに「日野の海外展開」を最前線で担ってこられたのですね。実は、私自身は入社するまで「トータルサポート」という言葉を深くは知りませんでした。日野がこれほどまでに「売った後の支援」に心血を注いでいることを働きはじめてから実感したのですが、お二人の時代からこの考え方はあったのでしょうか。
- T.SHI
- 私が入社した頃は、まだ「トータルサポート」という言葉はありませんでしたが、精神は今と同じです。そして、その源流はもっと前なんですよ。1960年代、日野が世界へ打って出た当時は、欧州メーカーが市場を圧倒していました。後発だった日野が信頼を勝ち取るための戦略、それが「車両の販売とメカニック、部品をセットで現地密着型サービスを展開する」ことでした。一度販売したら終わりという当時の主流に反し、1963年に「フィールドメカニック制度」を発足させ、売った後のサポートを徹底したんです。「日野のクルマは壊れない、壊れてもすぐに直る」という評価は、泥にまみれて現場を守った先輩たちの努力の結晶です。
- K.W
- 私の時代も、「お客様のために稼働を止めない」という意識は、先輩たちの背中を通じて自然と叩き込まれましたね。特に海外の現場では、トラックはお客様にとって大切な「商売道具」であり、日野の車両に対して非常に強い思い入れを持ってくださっている方が大勢いらっしゃいます。そうしたお客様一人ひとりの想いに真剣に向き合い、何としてもその期待に応えなければならないという責任感を、現場での経験を通じて強く感じてきました。




- STORY 02
- お客様の「稼ぐ道具」を止めない、三者三様のこだわり
- T.SE
- トータルサポートにおいて、皆さんが最も意識していることは何でしょうか。私は「いかにお客様を待たせないか」を一番に考えています。修理や調査に時間がかかるほど、現場のお客様にとっては死活問題となってしまうので、いかに早く事象を解消できるかを常に自問自答しています。
- T.SHI
- 素晴らしい視点ですね。K.Wさんも言っていましたが、私は「商用車はビジネスの『稼ぐ道具』である」ということを常に意識してきました。一台のトラックは生涯で地球25周分以上、100万キロ以上走ります。物流の9割を支えているのはトラックです。だからこそ「壊れない」ことはもちろん、メンテナンス費用などの「維持費を抑える」など、トータルでお客様の経営に貢献することが私たちの最大の任務だと考えています。
- K.W
- 同感です。もちろん、期待していただけるからこそお叱りをいただくこともあるのですが、全力でサポートしてお客様にすごく喜んでいただけるのが嬉しいんですよね。それが、大きなモチベーションになると思います。また、良いサービスや部品をタイムリーに届けるためには、一人では何もできないということを強く意識しています。国内の販売会社や海外代理店、社内の関連部署など、多くの仲間と同じ目的に向かって取り組むことが不可欠です。だからこそ、まずは「相手を理解すること」からはじめるようにしています。お互いの信頼関係があってはじめて、お客様の稼働を支えるチームになれるんです。
- T.SHI
- チームワークは本当に大切ですね。私が若手時代に教わった言葉に「慈愛の心」があります。親が子を想うような思いやりを持って、仲間やお客様に接する。それが「誠実」な対応につながり、結果として信頼という形で返ってくる。この精神こそが日野の強みです。
- T.SE
- お二人の話を聞いて、改めて身が引き締まります。最近ではデジタルデータを活用して、壊れる前に直す「予防整備」も広げようと活動しています。こうした新しい技術を使いながら、いかに故障によるダウンタイムを最小化し、お客様の「稼ぐ力」を最大化できるか。そこにトータルサポートの面白さがあると感じています。




- STORY 03
- 国境を越え、心を動かした現場のドラマ
- T.SE
- 現場で活動していると、時には忘れられない出来事に遭遇しますよね。私は、以前品質問題の解決が停滞していた海外のお客様を担当したことがあります。何とか和解まで導いた後、現地へ出張した際にそのお客様にお会いしたのですが、「メーカーの中で直接会いに来てくれたのは日野がはじめてだ。嬉しいよ」と言っていただけました。その後、数年ぶりに新車を購入いただけると聞いた時は、誠意が伝わったのだと感極まりました。
- K.W
- その時は、解決に向けてどのようなことを意識したのですか?
- T.SE
- お客様の立場に立って、状況をきちんと理解し、それを社内に伝えるようにしました。そうすることで、どれほど困っているのかが周知され、様々な協力を得られるようになったと思います。
- K.W
- とても大事なことですよね。私は、ベトナムでの経験が忘れられません。中古車を使いながら必死に商売を軌道に乗せ、ようやく念願の日野の新車を買われたお客様がいらっしゃいました。ところが車両が故障し、修理に時間がかかってしまった際、その方が目の前で泣きながら苦情を訴えられたんです。「ずっと憧れていた日野のトラックなのに……」と。トラックは単なる機械ではなく、その方の人生を背負っているのだと痛感し、頭が真っ白になるほど衝撃を受けました。それからは、今まで以上にお客様お一人おひとりと真剣に向き合おうと誓いました。
- T.SHI
- 海外では、現場が都市部から遠く離れた僻地の鉱山だったりすることも珍しくないですよね。
- K.W
- そうなんです。近くにホテルすらないような過酷な環境で、どうすれば拠点と同じ品質のサービスを届けられるのか。正直に言って、「これをやれば正解」という魔法のような解決策はないと思います。だからこそ、目の前のお客様一人ひとりに対して「今、我々に何ができるか」を泥臭く考え抜き、最適な提案を積み重ねていく。その一歩一歩が、信頼を築く唯一の道なのだと学びました。
- T.SHI
- お二人の話を聞くと、時代が変わっても「お客様への想い」は共通だと感じますね。私は23歳の初赴任、西アフリカのニジェールでのことが原点です。日野のトラクターと井戸掘り機を搭載したトレーラーをお客様に収めました。ところが想定外の砂漠をトラクターが走ることができなかったんですよ。現地には部品も道具も限られていますし、本社の支援をいただきながら、できる限りの砂漠走破施策を車両に施した後に、目的地まで車両に同乗し、2泊3日で道なき道を走り続けました。ようやく現地に辿り着いた時に出迎えてくれた村人たちの満面の笑顔は忘れられませんね。自分たちの仕事が人々の生活を支え、未来を運んでいるのだと誇らしく思いました。
- T.SE
- 砂漠を2泊3日で……!壮絶な現場ですね。でも、その困難を乗り越えた先に「信頼」が生まれるのですね。
- T.SHI
- お客様にお叱りを受ける「ピンチ」こそ、真摯に対応することで深い絆をつくる「チャンス」になります。「2台目は、サービスが売る」という情熱を持って、現地現物でお客様を支える。それが私たちの仕事の醍醐味です。




- STORY 04
- 物流の未来を、ともに切り拓いていきたい
- T.SE
- お二人のお話を伺い、トータルサポートの奥深さを改めて実感しました。今、自動車業界は100年に一度の変革期と言われ、CASE(Connected、Autonomous、Shared & Service、Electrification)など、提供する商品も複雑化しています。これからの日野のトータルサポートはどうあるべきでしょうか。
- K.W
- 商品が多様化しても、最後に支えるのは「人」です。一人ひとりが自身の質を高める努力を続け、変化を敏感に捉えることが重要です。また、先輩たちが築いてきた経験をしっかり引き継ぎ、どんな環境の変化があっても高い品質のサービスを提供し続けられる組織でありたいですね。
- T.SHI
- 他社を凌駕する「商品品質」と商品を支える高い「トータルサポート品質」が一体となり、お客様から絶大な信頼が寄せられ、世界中で強いブランドイメージを構築してきましたので、これからも日野の強み・財産であるモノづくりの高い技術力と、地域に根ざした広域サービスネットワーク力、現場で稼働を支えるメカニックの腕前品質に磨きをかけることが大切だと思っています。そして、これからはアフターサービス面でいうと「壊れたらすぐ直す」から「壊れる前にしっかり整備をする予防整備」、「安定した車両維持費用」への役割変化に対して、デジタル技術の活用を加速させることと、また100年に一度と言われる自動車業界の大変革期に、自ら変え、絶えず研鑽することで高難度修理技術を高め、お客様に感動を与える凄腕整備士を多くそろえることが最大の武器になると考えています。T.SEさんはどう考えていますか?
- T.SE
- 私はK.Wさんがおっしゃったように「知識の継承」を意識したいと思います。今ではその機会が少なくなってきている部分もあるので、お二人のようなフィールドメカニックが培ってきた「現場の知恵」を絶やさず、デジタル技術と融合させていきたいです。そして、もっと多くの社員が「現地現物」で世界のお客様の困りごとを知り、トータルサポートを普及させていくことが、社会への「貢献」になると信じています。
- K.W
- ぜひ、お願いします。日野は今、大きく変わろうとしていますから、様々なことに積極的にチャレンジできる職場ですし、やりがいは無限大です。
- T.SHI
- そうですね。日野には「結束力の強さ」と「会社愛」を持った仲間がたくさんいます。自ら行動し、自分を高めたいという若い皆さんと一緒に、物流の未来を支える素晴らしさを分かち合いたい。世界中のお客様から寄せられる信頼こそが私たちの財産です。これからも一緒に、日野ブランドを誠実に磨いていきましょう。
- T.SE
- ありがとうございます。私も先輩方から学び続けながら、世界中の「稼働」を支え続けたいと思います。










