Uniting our souls!! 「結束」

2017-2018年シーズン

トップチャレンジリーグ vs 九州電力キューデン ヴォルテクス

2017年12月17日(日)11:30 ニッパツ三ツ沢球技場()

  • 日野自動車 RED DOLPHINS
    日野自動車 RED DOLPHINS
  • ヴォルテクス
    九州電力キューデン ヴォルテクス

:

12 トライ数2 ゴール数1 ペナルティゴール数0 ドロップゴール数0
前半
14 トライ数2 ゴール数2 ペナルティゴール数0 ドロップゴール数0
17 トライ数2 ゴール数2 ペナルティゴール数1 ドロップゴール数0
後半
0 トライ数0 ゴール数0 ペナルティゴール数0 ドロップゴール数0
RED DOLPHINS出場選手ヴォルテクス
加藤 凌悠1 PR徳永 一斗
廣川 三鶴2 HO大山 貴弘
村上 玲央3 PR大野 和真
笠原 雄太4 LO浦 真人
Joel Everson5 LO園中 良寛
西村 雄大6 FL小原 渉
佐々木 隆道7 LF高井 迪郎
小野 雄貴8 No.8平田 一真
古川 浩太郎9 SH児玉 大輔
Hayden Cripps10 SO荒牧 佑輔
松井 佑太11 WTB磯田 泰成
Brett Gillespie12 CTB中靍 憲章
坂本 椋矢13 CTB島 拓也
Marc Le14 WTB早田 健二
田邊 秀樹15 FB吉田 克也
久富 雄一
小野 貴久
廣瀬 賢一
庄司 壽之
Richard Skelton
小沢 翔平
染山 茂範
Gillies kaka
リザーブ 小野田 寛文
佐藤 孝樹
中村 元気
浦川 伸太郎
山田 有樹
中尾 康太郎
末藤 雅宣
正海 智大
得点選手トライ (T/5点)前半:古川、村上 後半:西村、スケルトン
ゴール (G/2点)前半:クリップス 後半:染山(2)
ペナルティゴール (PG/3点)後半:染山
ドロップゴール (DG/3点) 

これで「マジック1」。日野自動車のラグビー部が、トップチャレンジのセカンドステージAグループ3戦中2戦を白星で終えた。

12月17日、神奈川のニッパツ三ツ沢球技場で九州電力に29-14で勝利。続く24日に長崎のかきどまり陸上競技場での第3戦を制すれば、国内最高峰のトップリーグに自動昇格できる。

バックスタンドの赤い応援団を前に、円陣を組む。実はこの日のゲームには多くの反省点があったのだが、細谷直監督はあえて未来だけを見据えるようだった。選手に向けた言葉は、概ねこんな内容だった。

「次に向けて、多くのレビューはやらない。確かにきょう(の内容)はよくなかったけど、いままでのお前たちの積み重ねを信じていく」



対する九州電力は、11月19日にあったファーストステージの第6戦目で42―33と打ち合いを強いられた相手だ。日野自動車は防御を看板に掲げるとあって、東京の駒沢陸上競技場でこの試合を終えた直後は、皆が一様に首を傾げていた。

今度の再戦に向け、「生産管理部」所属で32歳の廣川三鶴主将は「アンストラクチャーからの攻撃」を警戒していた。九州電力はセットプレー以外を起点とした「アンストラクチャー」の状況からスピーディーにトライを狙うとあって、そのパターンを自分たちの守備連携で防ぎたかった。

 ところが実際、そうはならなかった。

前半4分にスクラムを圧倒して先制も、続く9分には敵陣22メートルエリアへ大きくキックしながらカウンターアタックを食らう。本来ならキックした先で一枚岩の防御ラインを作りたかったが、結局は相手に凸凹を突かれた。7-7と同点にされた。

12-7とリードして迎えた23分には、またも敵陣22メートルまで攻め込みながらルーズボールを拾われる。そのままパスを繋がれ、12-14と勝ち越された。

廣川主将は最前列のフッカーとしてスクラムを引っ張ったのだが、後にこう悔やむこととなる。

「九州電力さんはアンストラクチャーからの攻めが速い。それをファーストステージでもやられましたし、今回も同じような形で取られた。ここは反省しないといけないです」

 攻撃でも手を焼いた。風下の前半はキックが蹴りづらいとあってパスを左右に散らそうとするも、そのパス交換の際に落球を連発。昨季サントリーから移籍した34歳の佐々木隆道は、投げ手と受け手の技術、その両者を繋げる声の掛け合いなどをまとめて「個人のスキル不足」と断じた。

「キャッチ、リンク、コミュニケーション…。(これらは全部)スキルです」

 もっとも日野自動車は、選手やコーチングスタッフの補強などでトップリーグ昇格を具体的なアプローチで目指しているチームだ。この午後も苦戦の要因を選手間で共有し、試合中に改善を図る。

ハーフタイムには、司令塔のスタンドオフの位置へ強いプレッシャーがかかっていることを認識。より接点に近いスクラムハーフの位置でランナーをぶつけ、落球のリスクを減らしにかかった。

インサイドセンターに入った29歳のブレット・ガレスピは、流ちょうな日本語でこう解説する。

「簡単なプレーをしました。皆(互いの立ち位置の幅)が狭くなって、パスはショートに」

 縦突進の分量アップで徐々にボール保持の時間を増やした日野自動車は、後半12分、リザーブの切り札を一気に4人、投入する。

27歳にして7人制ニュージーランド代表経験豊富なギリース・カカを最後尾のフルバックに、22歳と若く力強いリチャード・スケルトンを突破役のナンバーエイトにそれぞれ位置。ロックには「グローバル生産・補給物流部」の26歳、庄司壽之副将が加わった。

このタイミングでヘイデン・クリップスに代わってスタンドオフへ入ったのは、「トヨタ部」の染山茂範。自らの前後に並ぶジョーカーを、フルに活かさんとした。

「4人を一気に代えるということは、それだけテンポを上げなくてはいけない。それだけを意識して、焦らずにゲームメイクをしようと思いました」

 ここから日野自動車は、ずっと敵陣22メートルエリアに滞留。スクラムで向こうの反則を誘ったり、染山からのパスでカカが快走したり。

 最後はガレスピとカカが大勢の相手に囲まれながらも大事にボールをつなぎ、フランカーで「人事総務部」の26歳、西村雄大がゴールエリア左中間へなだれ込んだ。19-14。待望の勝ち越し点が決まる。

 主な攻めの起点をスクラムハーフに変えたこと、一方でスタンドオフの染山が自分より後ろのガレスピやカカを活かそうとしたこと。表面的には正反対に映る行動は、根っこの部分では矛盾していなかった。

接点へのボールに絡みまくった佐々木は「どういうこと(プレー選択)をしたかはあまり重要ではなく、チームとしてどう動いたかが大事」とし、こう続ける。

「連動しているか。1人でラグビーをやっていないか。仲間を1人にしていないか。そういうところの方が大事。後半は、その繋がりがよかったと思います」

 1人のランに周囲が反応し、少しでも前方で接点を作る。それと同時並行で他の選手は次の陣形と攻撃手法を打ち出す…。そうした「繋がり」が見られたことに、クラブ有数の経験者は喜んだ。その後も日野自動車はやや足踏みをしながら、27、39分に加点。最後に起こった守備局面もしのぎ切り、白星を掴むのだった。



24日は、各ポジションに国際的選手を並べるホンダとセカンドステージAグループの全勝対決をおこなう。ファーストステージの対戦時は22―54で敗れており、次戦はこの舞台で唯一与えられたリベンジの機会でもある。

ルール上、Aグループの2~4位のチームはトップリーグ下位クラブとの入れ替え戦に進む。もっともいまの日野自動車陣営は、「今季は次が最後」との思いを強調している。

中国電力から加入の染山は「次、本気で勝ちにいくために最高の準備を。やることはいっぱいあると思いますが、課題を絞ってやっていきたいです」と、大一番に向け課題を限定したいという。攻防システムとその遂行に必要なスキルという基本的な武器は、時間をかけて落とし込んできた。あとは「ここさえ改善すれば飛躍的に上昇できる」というひとつの項目を、集中的に引き上げたいところだ。

 けが人続きのチームを引っ張る廣川主将は、「精度にこだわりたい」と続ける。佐々木の挙げたあらゆる意味での「スキル」を見直し、強者の圧力にも屈せぬ「繋がり」を保ちたいところだ。宮本安正コーチの指導のもと、今秋のあったスクラムのルールの微修正にも対応。いままで通り、まとまりで勝負しにゆく。

 そして過去にはトップリーグのトヨタ自動車に在籍したガレスピは、赤いジャージィの総意をシンプルに示すのである。

「本当に、勝ちたい。来週は勝ちたい。何としてもトップリーグに行きたい!」

 日野市内でのグラウンドでは、いまごろ指揮官の言った「積み重ね」の集大成を仕上げていよう。

【細谷監督】
風は強かったですが、素晴らしいグラウンドコンディションのもとでできて感謝しています。きょうは、来週のホンダ戦へチャレンジするにふさわしいゲームをしようと話していました。しかし、特に前半はミスばかり。攻守逆転からのアタックをケアしましたが、2つ取られた。課題を残したまま次へ進むこととなりました。ここまで来たら、内容どうのこうのよりも、しっかりとしたコンディションで臨みたい。来週、勝って、シーズンを終えたいと思います。

【廣川主将】
我々のミスが多く出た。自分たちの形に持ち込めばいい攻撃もできましたし、そこには自信を持ちたい。焦りはなかったと思うのですが、個人、個人のスキルが悪かった。サポートへつくべきところについていないなど、状況判断のミスもたくさんありました。精度の部分をチーム一体で上げて、ホンダさんに挑みたいです。




【プロフィール】

Text by 向風見也 
1982年、富山県生まれ。成城大学文芸学部芸術学科卒。2006年よりスポーツライ
ターとなり、主にラグビーのリポートやコラムを「ラグビーマガジン」「スポー
ツナビ」などに寄稿。ラグビー技術本の構成やトークイベントの企画・司会も行
う。「現場での凝視と取材をもとに、人に嘘を伝えないようにする」を信条とす
る。著書に『ジャパンのために 日本ラグビー9人の肖像』(論創社)。共著に
『ラグビー・エクスプレス イングランド経由日本行き』(双葉社)など。
 

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