Uniting our souls!! 「結束」

2017-2018年シーズン

トップチャレンジリーグ vs 中国電力 レッドレグリオンズ

2017年09月09日(土)16:00 (コカ・コーラウエストグランド)

  • 日野自動車 RED DOLPHINS
    日野自動車 RED DOLPHINS
  • レッドレグリオンズ
    中国電力 レッドレグリオンズ

:

28 トライ数4 ゴール数4 ペナルティゴール数0 ドロップゴール数0
前半
3 トライ数0 ゴール数0 ペナルティゴール数1 ドロップゴール数0
24 トライ数4 ゴール数2 ペナルティゴール数0 ドロップゴール数0
後半
14 トライ数2 ゴール数2 ペナルティゴール数0 ドロップゴール数0
RED DOLPHINS出場選手レッドレグリオンズ
加藤 凌悠1 PR新谷 健一
廣川 三鶴2 HO岩本 康典
村上 玲央3 PR坪井 秀龍
村田 毅4 LO西川 太郎
Joel Everson5 LO森山 皓太
藤田 哲啓6 FL藤原 壮平
佐々木 隆道7 LF松永 浩平
千布 亮輔8 No.8河口 駿
古川 浩太郎9 SH塚本 奨平
染山 茂範10 SO岩戸 博和
田邊 秀樹11 WTB秋山 岳人
Brett Gillespie12 CTB市原 編夢
坂本 椋矢13 CTB竹田 英生
小澤 和人14 WTB森田 政彰
Gillies Kaka15 FB畑中 啓吾
長野 正和
郷 雄貴
廣瀬 賢一
笠原 雄太
リッチ― スケルトン
小沢 翔平
篠田 正悟
河野 嵩史
リザーブ 浅井 佑輝
前田 恵輔
北島 聖也
藤崎 健大
大内 健一郎
河嶋 凜太郎
鳥飼 誠
稲田 佳之
得点選手トライ (T/5点)前半:小澤(2)、千布(2) 後半:千布、小澤(2)、村田
ゴール (G/2点)前半:染山(4) 後半:染山(2)
ペナルティゴール (PG/3点) 
ドロップゴール (DG/3点) 

日野自動車の今季の目標は。

「1位通過。トップリーグ自動昇格です」

即答するのは佐々木隆道。国内最高峰トップリーグの強豪、サントリーから加入して2年目の33歳だ。各地域リーグの上位陣からなる新設のトップチャレンジリーグで優勝すれば、入替戦をおこなわずにトップリーグへ昇格できる。

そのためには、どんな積み上げが必要か。やはり佐々木が断じる。

「ゲームリーダーがゲームをコントロールすること。全員がコンタクトシーンでアグレッシブかつ確実なプレーをすること。そして、セットプレー(攻防の起点)を安定させること」

ラグビーにあって不可避な領域を、徹底的に鍛え上げたい。その思いは、前年度まで挑んだトップイーストでの成績を7、4、4、2位と引き上げてきたチームの方針と、ほぼ同じである。

東海大学でも教える宮本安正スクラムコーチが、セットプレーのひとつであるスクラムでの圧力、まとまり、好姿勢を保つ意識をインストール。さらに佐々木のような他チーム出身者もより多く加わったなか、細谷直監督は新たな地平を見つめる。

「1、2次のアタックの質にも、相当、こだわっています」

大きくボールを動かした先の接点へ、サポート役が素早く入る。次の攻撃に参加する巨躯の「縦の脅威」を活かす…。その青写真を、これまで以上に鮮明に打ち出したいという。

 ファンに期待感を抱かせて迎えた、9月9日。広島のコカ・コーラウエストグラウンドで、トップチャレンジリーグの開幕節に挑む。前年度までトップキュウシュウにいた中国電力を52-17で下す。

 試合後に円陣を組んだ細谷監督は、しかし、「これから、この煮え切らない部分を解消していこう」と選手に伝えた。生産管理部に勤務する31歳の廣川三鶴主将も、「誰も、満足していないと思います」と頷いた。

 快調な足取りにも映るかもしれないが、本人たちの実感は違うのである。



 キックオフ早々、相手の出足は鋭かった。オール日本人で編成される中国電力は、ハイパントを蹴って落下地点へ駆け上がる。捕球役に圧力をかける。その地点から、さらに防御網をせり上げる。

それに対し、大きくボールを動かそうとする日野自動車は受けに回ったか。相手と接触する際の体勢が、やや上ずったようでもあった。オープンサイドフランカーの佐々木も反省しきりだ。

「相手の圧力もありましたけど…日頃の癖ですね。練習するしかないです」

 試合を通して苦しんだのは、空中戦のラインアウトだった。

 特に、21―3とリードして迎えた前半終了間際。チャンスの場面で、球を真っすぐ投げ入れないノットストレートの反則を犯してしまう。

この後はスクラムを押し返すなどし、日野自動車は攻撃権を再獲得。アウトサイドセンターに入った坂本椋矢の走りが相手のハイタックル(肩より上への危険なタックル)を誘う。

ペナルティーキックをタッチラインの外へ蹴り出し、再び自軍ラインアウトで止めを刺しにかかる場面だ。

ところがボールはまたも、捕球役の手に収まらなかった。

結局はこぼれたボールをキープし続け、ウイングの小澤和人がフィニッシュ。28―3とリードしてハーフタイムに入るのだが、ラインアウトの投入役の廣川主将は下を向くばかりだ。

「自らチャンスを離してしまった。もっと、練習しないと…」



 不満の残る快勝劇だった。それでも細谷監督は、「いいところもありました」とも話している。

確かに苦しんだ前半も、インサイドセンターのブレッド・ガレスピは飛び出す相手タックラーをかわしながらのキックで落ち着きをもたらしていた。

ボールがガレスピの位置より後ろへそれても、神戸製鋼から移籍の田邊秀樹がウイングの位置からスペースをチェック。キックで着実にえぐった。15、30分とスクラムを圧倒してトライを決めたこともあり、日野自動車は主導権を保った。

後半6分には、敵陣22メートル線付近左中間でスクラムを得る。

バックスへ展開すると、2番目にバトンを受け継いだガレスピが防御網を突破。追っ手に捕まれるや、隣の坂本へ繋ぐ。

坂本が敵陣ゴール前まで進んで相手の落球を呼び、再び日野自動車がスクラムを獲得。フォワード陣がぐいとプッシュし、ナンバーエイトの千布亮輔がインゴールを割った。直後のゴール成功で、スコアは35―3となる。

 司令塔のスタンドオフに入ったのは、この春に中途入社した染山茂範だ。昨季まで相手の中国電力でプレーしていたとあって「楽しみで、不安。経験したことのない気持ちでした」と苦笑も、ガレスピとともに首尾よく舵を取った。

 勢いに乗った12分。球を持ったガレスピが自陣から一気に駆け上がると、敵陣10メートル線を超えたあたりで染山がパスを受ける。敵陣ゴール前左へ、鋭いキックを放つ。

 弾道の先で中国電力がミスを犯すと、日野自動車ボールのスクラムから染山がボールを呼び込む。右のガレスピに短いパスを放ると、その右へ回り込んだ染山が、再度、楕円球を手にする。目の前の防御を振り切りながら、さらに右のスペースへ展開。この日4トライを決めた小澤の3トライ目を演出した。40―3。

「ずっと先発で出ることを意識します。移籍したからには覚悟を決めてやっていきたいです。そうすることで、中国電力の人にも『頑張っているんだな』と認めてもらえる」

新天地の「トヨタ部」へ勤める26歳の染山がこう決意する傍ら、来日8年目となる29歳のガレスピも日本語で続ける。

「今季のフォーカスポイントは、ハイテンポなラグビーです。染山はキックもパスも上手いし、本当にいい選手。一緒にできて、面白いです」



遡って1月28日、福岡はレベルファイブスタジアム。トップリーグのコカ・コーラとの入れ替え戦を22―32で落とした。佐々木は試合内容を鑑み、「悔しさしかない。コンタクトで勝ちながら、ゲームに勝てていないですから」と反省したものだ。

この経験も踏まえてか。トップリーグにいたこともあるトップチャレンジリーグ上位勢を倒すには、心身両面における絶対的な底力が必要だと佐々木は考えている。大量得点差のついた試合に課題を見出すのも、自然な流れなのだ。

「少し歯車がかみ合わなくなった時、いいリードをできなかったのがきょうの反省点です。『トップリーグのチームとやるなら、こういうなかでこんなプレーができたらいい』というプレーを選択して、それがミスに繋がったりもしました。そこではシンプルな、確実に流れを渡さないようなプレーを選択すべきだった。まだまだ、レベルアップしないと」

 目標設定を鑑みれば不満足ながら、一定の良さを示したことも確か。日野自動車にとっての今季初戦は、そういう時間だった。

 加速を止めない赤いジャージィたちは、16日、東京の秩父宮ラグビー場で元トップウエストの中部電力とぶつかる。コンディション不良のため開幕節を欠場したレギュラー候補も、相次ぎ復帰の予定。物語は始まったばかりだ。


【細谷監督】
開幕戦はお互いにフレッシュな状態で臨みます。相手が相当なチャレンジをしてくることを想定して、ゲームの組み立てをしました。ただ、予想以上にラインアウトでプレッシャーを受けました。修正もできなかった。それでも相手に流れを渡さなかったのは、バックスの精度が高かったから。チーム力が上がっている感じはしました。

【廣川主将】
勝ったことが一番の収穫です。開幕戦が難しい試合になるのはわかっていたなか、前半の終盤にラインアウトを連続してミス。今日はそこに尽きます。バックスに申し訳ない。個人的なスキルの問題でもあるので、しっかりと修正していきたいです。スクラムは圧倒していましたが、これくらいできないと。


【プロフィール】

Text by 向風見也 
1982年、富山県生まれ。成城大学文芸学部芸術学科卒。2006年よりスポーツライ
ターとなり、主にラグビーのリポートやコラムを「ラグビーマガジン」「スポー
ツナビ」などに寄稿。ラグビー技術本の構成やトークイベントの企画・司会も行
う。「現場での凝視と取材をもとに、人に嘘を伝えないようにする」を信条とす
る。著書に『ジャパンのために 日本ラグビー9人の肖像』(論創社)。共著に
『ラグビー・エクスプレス イングランド経由日本行き』(双葉社)など。

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