Uniting our souls!! 「結束」

2016-2017年シーズン

その他 vs NTTドコモ レッドハリケーンズ

2017年01月03日(火)11:30 秩父宮ラグビー場()

  • 日野自動車 RED DOLPHINS
    日野自動車 RED DOLPHINS
  • レッドハリケーンズ
    NTTドコモ レッドハリケーンズ

:

0 トライ数0 ゴール数0 ペナルティゴール数0 ドロップゴール数0
前半
32 トライ数5 ゴール数2 ペナルティゴール数1 ドロップゴール数0
12 トライ数2 ゴール数1 ペナルティゴール数0 ドロップゴール数0
後半
36 トライ数5 ゴール数4 ペナルティゴール数1 ドロップゴール数0
RED DOLPHINS出場選手レッドハリケーンズ
長野 正和1 PR久富 雄一
崩 光瑠2 HO緑川 昌樹
村上 玲央3 PR北島 大
笠原 雄太4 LOイオンギ 譲
Joel Everson5 LO土屋 鷹一郎
小野 貴久6 FLヴィンビー ファンデルバルト
佐々木 隆道7 LFハインリッヒ ブルソー
千布 亮輔8 No.8横山 大輔
田川 明洋9 SH奏 一平
山道 翔10 SOユルゲン ヴィサー
松井 佑太11 WTB茂野 洸気
Brett Gillespie12 CTBイエロメ ジェフリー剛
片岡 将13 CTBパエア ミフィポセチ
Marc Le14 WTB蔵田 知浩
Gillies Kaka15 FB才口 將太
廣瀬 賢一
廣川 三鶴
金 光植
庄司 壽之
TEVITA METUISELA
君島 良夫
MOSESE TONGA
篠田 正悟
リザーブ 牛原 寛章
河野 悠輝
張 泰
上山 直之
大椙 慎也
小樋山 樹
佐藤 善仁
ジョセファ リリダム
得点選手トライ (T/5点)ガレスピ(1)モセセ(1)
ゴール (G/2点)君島(1)
ペナルティゴール (PG/3点) 
ドロップゴール (DG/3点) 

 日本ラグビー界において、春に始動したクラブが年をまたいで戦うことを「正月越え」という。1年間でその位置につけるのは、高校では全国で16強以上、大学では4強以上に入ったチームだけだ。

 だからこそ、日野自動車の廣川三鶴キャプテンは「喜びを感じています」と言う。

加盟するトップイーストDiv.1を2位、上位層進出を争うトップチャレンジ2を1位でそれぞれ通過し、トップチャレンジ1へ進出。国内最高峰トップリーグへの昇格を目指すクラブにとっての「正月越え」を、見事に達成していた。「生産管理部」の31歳は、こうも意気込む。

「正月を越せるのはトッププレーヤーたちの証だと思う。気持ちが切れることなくやれています」

 2017年1月3日、東京は秩父宮ラグビー場。トップチャレンジ1の初戦に挑む。

相手はトップウエストA首位のNTTドコモだ。昨季まではトップリーグでプレーしており、元南アフリカ代表のハインリッヒ・ブルソー副将ら実力者を擁す。今季は元南アフリカ代表監督のダヴィー・セロン新ヘッドコーチを招き、高強度なセッションで組織再建を図っていた。

難敵を前に、日野自動車の細谷直監督は「セットプレーからのディフェンスでいかにスローボールにするか。ダブルタックルを…」と青写真を描いた。

シーズンイン当初から、攻防の起点となるセットプレーと組織防御を強化。今度もその強みを柱に据えたのである。セットプレーのひとつであるスクラムを、互角に組み合う。鋭い出足のタックルで、向こうのランナーを地面に寝かせる。ここでできた密集で相手の球出しを遅らせ、外国人選手の前進を阻む…。

 現実は、苦かった。スコアは12―68。日野自動車は大量失点を喫し、トップチャレンジ1を黒星スタートとした。



「いやぁ…。僕ですわ。僕のファーストタックルで、行かれてしまった。責任を感じています」

 うなだれていたのは、ロックの笠原雄太副将。ヤマハから移籍して2年目という「調達企画部」の32歳だ。

この日は試合開始早々、敵陣の深い位置でタックルを外された。きっと、後ろへ球を回してキックを蹴るだろう、と、思っていたところ、目の前のブルソーに突破された。

ここからNTTドコモの攻撃は、先制点の決まる前半2分まで止まらなかった。

開始10分で0―19とされた。終始、ぶつかり合いで後手に回った。本来は相手のランナーをタックルで倒したい局面で、かわされたり、立ったままボールを繋がれたり。直後にできた接点からも、テンポよく球を出された。

「NTTドコモのフィジカルはトップリーグのなかでも高いレベルだという印象を受けていました。苦しい戦いになると思っていましたけど…」

フランカーの佐々木隆道は、この一連の勝負を「フィジカル(身体の強さ)」「コンタクト(ぶつかり合い)」という言葉に変えて言った。前年度までトップリーグのプロ選手だった33歳の職業戦士は、この日、何度も相手をタックルで転ばせていた。それでも組織として劣勢を強いられたため、「全員がしっかりと戦い切れなかったのが心残りです」と悔やんだ。

「コンタクトで負けたというのは、皆、感じているところ」

セットプレーも難儀した。スクラムこそどうにか伍したが、空中戦のラインアウトでは何度もスティールされた。「開発管理部」の25歳で先発フッカーの崩光瑠は、「研究されていた。投げたところにどんぴしゃで張られて…。やられました」と天を仰ぐ。

ボールを確保した先でも、やはり「フィジカル」「コンタクト」で邪魔をされた。例えば、22点差を追う前半27分ごろ。敵陣でフェーズを重ねながらも徐々に押し込まれ、最後はブルソーにボールを獲られた。

続く36、39分にはさらに加点され、0―32と大勢を決められた。

「正直なところ、プレッシャーを感じました。ただ…」

 こう口を開くのは、廣川主将である。スコアを5-51とされた後半21分から登場。NTTドコモの「フィジカル」「コンタクト」に触れながらも、真の問題点を自分たちの姿勢に求めた。

「プレッシャーを感じるなか、自分たちの力を発揮できなかった。そこが、大きいかなと思いました」

 あえて乱暴に表せば、ラグビーは喧嘩。喧嘩は度胸。ライバルが誰であっても、まずは自分たちから勇敢に立ち向かわなくてはならない…。そんな原理原則を知ったか。



9日には、福岡のレベルファイブスタジアムで2戦目に挑む。対する三菱重工相模原には、トップイーストDiv.1での対戦時に完封負けしている。佐々木の言う「フィジカル」「コンタクト」の勝負で苦しんだ。

長期的な肉体強化計画に力を入れている途中段階で、間近に控えたヘビーな「フィジカル」勝負をどう制すべきか。

「先手を取って、こっちの土俵へ引きずり込むことです」

初戦を終えた直後、佐々木は言った。

「きょうは80分間、NTTドコモのフィールドだった。それもこれも、コンタクトエリアでファイトしきれなかったから。これを打開しないと」

光明が、そのNTTドコモ戦の後半29分にあった。

チーム2本目のトライが決まったこのシーンでは、日野自動車のフォワード陣が人垣への鋭い突進と影のごときサポートを繰り返した。その周りに生まれたわずかなスペースを、24歳のインサイドセンターであるモセセ・トンガが突いた。

そう言えば前半27分ごろは、この得点時と似た場面でスコアできなかった。ふたつのシーンの違いについて、佐々木はこう観る。

「ボール保持者が前に出るなかでトライが生まれた。取り切れなかったところでは、停滞してパワー勝負でずるずるとやられた。自分たちが仕掛けているか、仕掛けられていないか、が違いです」

ぶつかり合いでの「先手」の「仕掛け」で、相手防御の視線や身体を引き寄せる。それがチャレンジャーの持つべき資質かもしれない。前がかりになって「先手」を取り続けるには、敵の背後へのキックも有効となろう。「メンバーを決めるのは監督」としながら、佐々木はこんな話もした。

「戦えるメンバーで挑みます。戦えるという気持ちを表現できるよう、グラウンドレベルで皆をリードしていきたいです。どれだけコンタクトエリアで仕掛けていけるか、です」

 この午後は「グローバル生産・補給物流部」の25歳、庄司壽之が、後半からロックに入って守りで奮闘。17分には自陣ゴールエリア内でトライセーブタックルを決め、スタメン入りをアピールしたか。

かたやハーフタイムに退いた笠原副将も、リベンジを期す。

「1対1で負けてしまった。言い訳はできない。次のメンバーに入れるかはわからないですが、入れたら、頑張るしかない」

日野自動車が勇敢に戦えないわけでは、決してない。今度はゴングが鳴るや、勇ましく「仕掛ける」のみだ。

【細谷監督】
我々にとって初めてのトップチャレンジのステージで、フィジカルの強さを体感しました。絶対にやってはいけない試合の入りをしてしまった。それによって受ける場面が多くなって、ゲームが壊れた。負因はそこに尽きます。ディフェンス面をしっかりと修正したいです。

【廣川主将】
フィジカルのところで、特にキーとなるプレーヤーにやられ、受けてしまった。立ち上がり10分に3トライ。前半のラスト5分で2トライ…。ああいうゲームになると建て直すことは難しい。決して相手に負けたわけではなく、自らそういうゲームの流れにしてしまった。それをしっかりと振り返って、次に向けて修正をしていきたいと思います。


【プロフィール】

Text by 向風見也 
1982年、富山県生まれ。成城大学文芸学部芸術学科卒。2006年よりスポーツライ
ターとなり、主にラグビーのリポートやコラムを「ラグビーマガジン」「スポー
ツナビ」などに寄稿。ラグビー技術本の構成やトークイベントの企画・司会も行
う。「現場での凝視と取材をもとに、人に嘘を伝えないようにする」を信条とす
る。著書に『ジャパンのために 日本ラグビー9人の肖像』(論創社)。共著に
『ラグビー・エクスプレス イングランド経由日本行き』(双葉社)など。

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