Uniting our souls!! 「結束」

2016-2017年シーズン

その他 vs コカコーラ レッドスパークス

2017年01月28日(土)13:00 レベルファイブスタジアム()

  • 日野自動車 RED DOLPHINS
    日野自動車 RED DOLPHINS
  • レッドスパークス
    コカコーラ レッドスパークス

:

15 トライ数2 ゴール数1 ペナルティゴール数1 ドロップゴール数0
前半
24 トライ数3 ゴール数3 ペナルティゴール数1 ドロップゴール数0
7 トライ数1 ゴール数1 ペナルティゴール数0 ドロップゴール数0
後半
8 トライ数1 ゴール数0 ペナルティゴール数1 ドロップゴール数0
RED DOLPHINS出場選手レッドスパークス
長野 正和1 PR
崩 光瑠2 HO
村上 玲央3 PR
庄司 壽之4 LO
Everson Joel5 LO
西村 雄大6 FL
佐々木 隆道7 LF
千布 亮輔8 No.8
田川 明洋9 SH
山道 翔10 SO
篠田 正悟11 WTB
Brett Gillespie12 CTB
苫谷 直樹13 CTB
Marc Le14 WTB
Gillies Kaka15 FB
加藤 凌悠
廣川 三鶴
金 光植
土屋 眞
TEVITA METUISELA
調 建造
MOSESE TONGA
小沢 翔平
リザーブ
得点選手トライ (T/5点)篠田(前半1)千布(前半1)カカ(後半1)
ゴール (G/2点)山道(前半1)調(後半1)
ペナルティゴール (PG/3点)山道(前半1)
ドロップゴール (DG/3点) 

 最後の試合の最後の瞬間まで、日野自動車は諦めなかった。

 後半37分。ボールを大きく動かしながらチームで前に出て、フルバックのギリース・カカがインゴール左隅を割る。直後のコンバージョンゴールも、スタンドオフの調建造が決める。

残り時間は3分。スコアは22―32。一挙に逆転できないほどの点差がついていた。フランカーの佐々木隆道、ロックの庄司壽之。オーロラビジョンに映った追う側の顔は、ただ先だけを見つめていた。

 39分。ハーフ線付近左で得たペナルティーキックを皮切りに、その佐々木が直進する。最後の攻撃が始まる。懸命なウェイトトレーニングで身体の質量を上げたフォワード陣が、防御の壁へ真正面からぶつかる。7人制ニュージーランド代表だったカカは、2人の防御の相手へ突っ込むランニングスキル、調とのコンビネーションによってじり、じり、と、壁をこじ開ける。

日野自動車はついに、敵陣22メートル線を割る。接点の脇を、佐々木が抜け出す。

そこへ並走した庄司が、佐々木のパスを、落とした。

ノーサイドを報せるホーンが場内に響く。日野自動車の敗戦が決まった。25歳の庄司は、その場で突っ伏した。

 2017年1月28日、福岡はレベルファイブスタジアム。地域リーグのトップイースト、各地域上位陣によるトップチャレンジ2、同1に挑んできた日野自動車は、国内最高峰であるトップリーグのコカ・コーラと入替戦をおこなった。勝てば入替戦初参戦初昇格を決めるところだったが、ハッピーエンドは来季へ持ち越しとなった。

芝の上。敗者は、勝者よりも長く円陣を組んでいた。



2016年1月18日に始動したチームにとっては、12か月強も続いたシーズンの最終戦。塊としてのまとまり、肉弾戦での激しさで魅せた。

14点リードを追う前半9分。自陣10メートル線右のラインアウトから、複数人が束になる。モールを組む。

前方に入った佐々木、ニュージーランド人ロックのジョエル・エバーソンが、コカ・コーラの防御を引きはがす。後方の列車がぐんぐん進む。その脇をスクラムハーフの田川明洋が抜け出すなどし、敵陣22メートル線付近左へ躍り出る。

ここから、ナンバーエイトの千布亮輔が2人のタックラーを引き寄せる。その左脇にいたウイングの篠田正悟が、快足を飛ばした。トライ。5―14。

トップリーグ13位のコカ・コーラは、日本代表スタンドオフのティモシー・ラファエレらが連続攻撃を仕掛ける。それに対して日野自動車は、ひるまなかった。時間を追うごとに平常心を取り戻したようで、次々とタックルの花火を飛ばす。

密集では、佐々木が圧巻の働きを示した。

19分頃、26分頃と続けて、自陣深い位置でジャッカルを決めた。ジャッカルとは、倒れた相手のボールに腕を絡める動きだ。佐々木のジャッカルはいずれの場面でも、寝た選手が球を手離さない「ノット・リリース・ザ・ボール」のペナルティーを奪った。

「僕がスタッフであったとしても、(自身と同じ)7番の選手にはそれを求める。まぁ、普通です」

サントリーから新加入した33歳の戦士は、平然とそう語るのみだ。試合終盤にも同種の仕事を遂行する。



 前半終了間際には、敵陣22メートルエリアほぼ中央でのスクラムを獲得。フォワード8人で密着する。押し込む。得点場は光る。「15―24」。最後列にいた千布がトライラインを割るなどし、9点差を追う形でハーフタイムを迎えたのである。

東芝から移籍して1年目の崩光瑠は、最前列中央のフッカーとして「途中から、マイボールスクラムは押せる感覚があった」と40分を振り返る。もっともそれ以降、いくつかの好機を逃してしまう。

 まず後半7分頃。ハーフ線付近の接点から田川が高いキックを放つも、弾道を追うウイングのマーク・リーの最初の立ち位置が「オフサイド(蹴った田川より前にいた)」とされ、ペナルティーキックを与える。約5分後、失点。15―29。25歳の田川は、5歳上のマークをこう気遣う。

「前半、相手がハイパントの処理にもたついていて、後半に向けて『ここで、(ボールと陣地を)獲ろう』と話していた。その気持ちが先行してしまったのではないかと…」

 たびたび猛威を振るったモールも、勝負どころでこそコカ・コーラに気圧される。なかでも痛かったのは、23分以降のシーンだ。

一度、敵陣ゴール前左でなだれ込むも、インゴールで邪魔をされてノートライに終わる。直後、ルールに則り敵陣ゴール前5メートルの地点でスクラムを組み、相手の反則を誘って再度ラインアウトを獲得も、ここで作ったモールはタッチラインの外へ押し出された。

 25歳でゲーム主将を任される崩は、相手のモール防御の勝負どころでの変化に舌を巻く。

「向こうがモールを嫌がっているのもわかったんですが、上手く出されました。僕らも分析してはいたんですけど…。駆け引きはされたかな、と思います」

 そもそもこの午後は、キックオフからわずか6分で14得点を献上している。シンプルなパス展開、ラファエレの個人技を許した結果だ。その背景を思うと、田川はこう口にするほかなかった。

「初めての舞台で浮足立っていたところもあると思うんですけど」

改めて、両者間についた差は10点のみだ。立ち上がりの14点の価値は、結果的に重くなった。


 
 あの円陣のなかでは、どんな会話がなされていたのだろうか。

後半31分から出場したフッカーの廣川三鶴主将は、「ありがとう」と言ったようだ。

1年以上のシーズンを通し、誰もが取り組みへの意識を激変させた。全体練習の前にジムに集まる選手が増えたこと、増えたこと…。「開発管理部」の25歳である崩と切磋琢磨してきた「生産管理部」の31歳は、そんな1人ひとりの成長を称えたのである。

 来季以降は、どんな積み上げをすべきか。生真面目そうな船頭役は、「非常に個人的な意見も入るかもしれませんけど」と前置きし、こう明示する。

「やることは明確だと思います。セットピース(スクラムなど)をまだまだ伸ばす。ブレイクダウン(肉弾戦)をもっと上げる。フィジカル面も強化が必要です。あとは、やはりきょうも顕著に出ましたけども、小さなミスです。細かいプレーについて日頃の練習から意識できるか…」

 ロッカールームの脇で4名の記者に囲まれた佐々木は、「…40点くらい」。チームへの採点を求められると、厳しい数字を出していた。

 そう。今度の80分を「善戦」としていない。

「コンタクトで勝ちながら、ゲームに勝てていないですから。悔しさしかないです。ただ、その悔しい気持ちのなかに変わるきっかけがあれば…」

それに呼応するかのように、「グローバル生産・補給物流部」の庄司は「僕自身はトップリーグでやるには細すぎる。これからオフシーズンに入りますけど、継続して体重を増やしていきたい」と述懐する。

「人事部」の田川も、イーブンかもしれなかった接点への攻防に関し「もっと精度を上げていかなくてはいけない」と断じていた。

 トップリーグの下位チームと戦える感触を手にしながら、クリアに改善点を挙げていた。2016年度の日野自動車の、ここが立ち位置だった。



 翌年度から下部リーグの構造が変わる。各地域の上位8チームが「トップチャレンジリーグ」に参戦し、上位1チームが自動昇格、2~4位の3チームが入替戦に挑むこととなる。シーズンを通し、よりタフな試合を重ねられそうだ。

「いいことです。正直、プレッシャーがないなかで気持ちいいラグビーをしていても仕方がないので」

臨むところといった風情の佐々木は、こう締める。

「このままでいいわけがない。僕が入る前から積み重なった日野自動車の歴史をもっともっと積み重ねていって、もっと皆に注目してもらえるクラブになる…。きょうは、そのきっかけになった1日だと思います」

話を聞いていた福岡在住の一般紙記者は、「…楽しみだね」と呟いた。


【細谷監督】
選手は100パーセントのパフォーマンスを発揮してくれたと信じておりますが、10点差…。トップリーグの壁を感じさせられたゲームでした。こだわってきたセットプレー、接点で戦えるという成果は掴めました。あとは、チャンスをどう掴むかです。来年はこの悔しさを抱いて、必ずやトップリーグに上がりたいです。
【廣川主将】
開始数分で2トライを取られたところ、そして勝ち切るまでの1つひとつの精度に、トップチームとの差が顕著に表れたと思います。1年を通してこだわってきたセットピース(スクラムなど)で、成果が出た。選手は本当によく頑張ったと思います。ただ、これに満足せず、きょうの反省を活かして、またこの場所に戻って来たいです。

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