Uniting our souls!! 「結束」

2016-2017年シーズン

その他 vs 中部電力 ラグビー部

2016年12月11日(日)14:00 鶴見緑地球技場()

  • 日野自動車 RED DOLPHINS
    日野自動車 RED DOLPHINS
  • ラグビー部
    中部電力 ラグビー部

:

33 トライ数5 ゴール数4 ペナルティゴール数0 ドロップゴール数0
前半
0 トライ数0 ゴール数0 ペナルティゴール数0 ドロップゴール数0
31 トライ数5 ゴール数3 ペナルティゴール数0 ドロップゴール数0
後半
0 トライ数0 ゴール数0 ペナルティゴール数0 ドロップゴール数0
RED DOLPHINS出場選手ラグビー部
長野 正和1 PR大河原 一真
崩 光瑠2 HO山森 裕之
村上 玲央3 PR毛塚 祐貴
笠原 雄太4 LO岩井 哲史
Joel Everson5 LO沢田 陵太
藤田 哲啓6 FL三根 大介
佐々木 隆道7 LF近藤 貴敬
千布 亮輔8 No.8永井 若輝
田川 明洋9 SH東郷 幹也
山道 翔10 SO川久保 龍太郎
Gillies Kaka11 WTB紀伊 皓太
Mosese Tonga12 CTB下鴨 智也
片岡 将13 CTB柳 佳貴
Marc Le14 WTB高木 智司
河野 嵩史15 FB犬飼 涼二
加藤 凌悠
廣川 三鶴
廣瀬 賢一
庄司 壽之
TEVITA METUISELA
君島 良夫
BRETT GILLESPIE
小沢 翔平
リザーブ 松波 智也
齋藤 健
山森 達也
マイケル フォード
古屋 直樹
木島 大祐
舩木 拓也
河野 晴吾
得点選手トライ (T/5点)片岡(2)、村上(1)、千布(2)、藤田(1)、マーク(2)、カカ(1)、庄司(1)
ゴール (G/2点)山道(5)、君島(2)
ペナルティゴール (PG/3点) 
ドロップゴール (DG/3点) 

ネクストステージ進出だ。2016年12月10日、大阪は鶴見緑地公園球技場の人工芝の上。赤いジャージィたちの円陣からは、笑顔と威勢の良い声がこぼれる。

「日野、一番長いシーズンを送ってるよ!」

仲間とハイタッチするたびにこう発するのは、フッカーの崩光瑠だ。「開発管理部」の25歳で、チームの看板たるスクラムの軸。この春、日本ラグビー界有数の強豪チームを持つ東芝から転職してきた。もっともっと楕円球を追い続けたいと、新天地に賭けていた。

 春先からのプレシーズンマッチ期間を経て、9月から11月までのトップイーストDiv.1を2位で終えた日野自動車は、いま、国内最高峰トップリーグへの道をまい進中だ。この午後は、各地域の2位チーム同士によるトップチャレンジ2の2試合目に挑んだ。

前半14分、ウイングのギリース・カカが魅せる。リオデジャネイロ五輪男子7人制ニュージーランド代表の新加入戦士だ。ナイフのランを繰り出し、釜石シーウェイブスからやってきたセンターの片岡将へオフロードパスを渡す。先制トライが決まった。

以後、日野自動車は要所で加点。トップウエスト2位の中部電力を、64―0で圧倒したのだった。日本IBMとのトップイースト最終節から、3ゲーム連続での完封勝利である。

 来たる2017年1月3日から、各リーグ1位チームらとのトップチャレンジ1へ参戦する。前年度のトップイーストで4位だったチームが、危険なチャレンジャーに認定された。



「徐々にまとまりがでてきた。守備が良くなってきたと思います。コミュニケーション力が高まった」

 無失点ゲームをこう振り返るのは、長野和正。「生技開発部」の29歳だ。

長野の説明によれば、チームは実戦を重ねるごとにプレー中の連携を円滑化した。結果、スムーズに防御網を整備できるようになった。

印象的な場面は、40―0のスコアで迎えた後半13分にあった。

 自陣中盤、日野自動車から向かって右側。

中部電力がラインアウトをきっかけに、クラッシュを重ねる。ここで日野自動車たちは、局面、局面へ刺さっては起き上がる。赤いラインを張る。スペースを敷き詰める。

たまらず中部電力が左へパスを回すと、その先へ生え抜きのスタンドオフ、山道翔が一直線に突っ込む。170センチ、82キロと決して大きくない身体で、向こうの懐へ踏み込む。押し返す。

ここへ日野自動車のサポートが呼応すると、中部電力はその周りで反則を犯したのである。

一撃必殺のタックルをかました「TS支援企画部」の26歳は、確かな手ごたえを掴んだだろう。

「僕の場合は、守備を買われている。大きな相手に狙われても、しっかりと(タックルで)倒せるようにしたいですね」



ちなみに、守備への手応えを明かした長野は、崩と同じ移籍1年目だ。ポジションは左プロップ。前衛フォワード陣の一角で、8対8で押し合うスクラムの最前列に立つ。

前所属先のヤマハでは、元日本代表左プロップの長谷川慎フォワードコーチの指導を受けた。スクラムで勝ち切るための、メソッドとプライドを築き上げてきた。

この日もフッカーの崩、右プロップの村上玲央とともに、宮本安正コーチの唱える「8人ひと塊」のパックを徹底した。後方のロック、フランカー、ナンバーエイトという、その他のフォワード陣の重量感を引き出す。

遡って前半26分、その「ひと塊」が唸る。敵陣ゴール前左での1本を、インゴールまで押し込む。得点板に「17―0」と刻んだ。

 続く32分、敵陣22メートル線手前右中間のスクラムを制圧し、相手を後退させる。おかげでウイングのマーク・リーが、ゴールラインとほぼ平行なパスをもらえた。トライを決めた。「26―0」。

さらにリードを広げて迎えた後半7分には、敵陣ゴール前でモールという塊をなすプレーを選択。ゴールエリアへなだれ込んだ。「40―0」。

最前列の巨躯たちが、明らかな存在感を示しつつある。



課題はある。それを一言で表せば、一貫性か。前半もカカが躍るまでは膠着状態が続き、山道がタックルした時間帯も攻撃でミスを重ねていた。長野たちが持ち味を発揮したスクラムも、指導にあたる宮本コーチは「まだ発展途上。『塊感』をもっと、強くできるように…」と手厳しい。限界は作りたくない。

フランカーとしてフル出場したサントリー出身の佐々木隆道も、常勝集団に身を置いた経験から「最初の20分のプレーの質は、このゲームだから勝てた、というのもでした」と断じる。

東京は秩父宮ラグビー場でのトップチャレンジ1初戦では、トップウエストA・1位のNTTドコモと対戦する。昨季までトップリーグにいた難敵だ。だからこそ、普段は気さく兄貴分も言うべきことは言うのである。

もっとも、明るい未来の提示も忘れなかった。

「トップチャレンジ2では、相手は20分くらいで崩れた。ただ、トップチャレンジ1での相手が崩れるのは最後の5分になるかもしれない。そこまで我慢し続けて、自分たちのゲームをコントロールできるようにしたいです。セットプレー、ブレイクダウン(接点)をさらに向上させる。それはトップチャレンジ1のためというより、この先の日野自動車がもっと強くなるために必要なこと。どっちにしろやらなきゃいけないことを、できる限りやっていくということです」

細谷直監督も「勝機はある。可能性はゼロじゃない」と力を込める。

NTTドコモの次は、トップイーストでの対決で0-34と屈した三菱重工相模原が相手。最終戦で対戦する九州電力を含め、今度のトップチャレンジ1に加わる4チームでトップリーグ経験がないのは日野自動車だけだ。指揮官は「これからの戦いでは、守備の時間が多くなる。好きに攻めさせてはくれません」とし、強化ポイントをより絞り込むという。

好調の要因たる守備とスクラムの質を、もっともっと、高めてゆく。

「いい守備をすれば、ロースコアの戦いに持ち込める。守備で我々のペースを作れれば…。あとは、スクラムです。ドコモもスクラムの強いチームですが、互角以上にできると思っている。スクラムを押せば、相手の焦りが出る…。まずはNTTドコモ戦に照準を合わせ、いいチームを作っていきたいですね」

この先のコンペティションで首位に立てば、文句なしの昇格を決められる。2位以下の場合はトップリーグ加盟チームとの入替戦に進み、さらに「長い」シーズンを過ごすこととなる。

 最終決戦に向けた年をまたいでの準備が、熱を帯びている。


【細谷監督】
前半は特に、風上での戦いが上手くできた。キックオフ後のリスタートから相手陣に入れた。相手ボールのラインアウトもスティールできて、プレッシャーをかけられた。後半、スコアを積み重ねられなかったが、課題は明確。イチかバチかのパス、しなくてもいいペナルティーです。ただ、それも途中から入ったリザーブメンバーが修正をしてくれた。

【廣川主将】
特に前半20分がきょうの肝。そのマインドセットで戦えた。後半は20分頃まで、自らしんどい時間を作ってしまった。それは次に向けて、必ず修正しなきゃいけないです。途中出場する時は、「しっかり流れを変えてこい」と言われていた。それができるように、ポジティブにやっていました。 

Text by 向風見也 
1982年、富山県生まれ。成城大学文芸学部芸術学科卒。2006年よりスポーツライ
ターとなり、主にラグビーのリポートやコラムを「ラグビーマガジン」「スポー
ツナビ」などに寄稿。ラグビー技術本の構成やトークイベントの企画・司会も行
う。「現場での凝視と取材をもとに、人に嘘を伝えないようにする」を信条とす
る。著書に『ジャパンのために 日本ラグビー9人の肖像』(論創社)。共著に
『ラグビー・エクスプレス イングランド経由日本行き』(双葉社)など。

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