Uniting our souls!! 「結束」

2016-2017年シーズン

その他 vs 中国電力 レッドレグリオンズ

2016年12月03日(土)11:30 秩父宮ラグビー場()

  • 日野自動車 RED DOLPHINS
    日野自動車 RED DOLPHINS
  • レッドレグリオンズ
    中国電力 レッドレグリオンズ

:

12 トライ数2 ゴール数1 ペナルティゴール数0 ドロップゴール数0
前半
0 トライ数0 ゴール数0 ペナルティゴール数0 ドロップゴール数0
31 トライ数5 ゴール数3 ペナルティゴール数0 ドロップゴール数0
後半
0 トライ数0 ゴール数0 ペナルティゴール数0 ドロップゴール数0
RED DOLPHINS出場選手レッドレグリオンズ
長野 正和1 PR新谷 健一
崩 光瑠2 HO岩本 康典
村上 玲央3 PR坪井 秀龍
庄司 壽之4 LO森山 皓太
笠原 雄太5 LO松本 有史
小野 貴久6 FL庄島 啓倫
佐々木 隆道7 LF松永 浩平
538 No.8河口 駿
田川 明洋9 SH塚本 奨平
山道 翔10 SO染山 茂範
Gillies Kaka11 WTB黒川 勝平
Mosese Tonga12 CTB新井 基植
片岡 将13 CTB市原 編夢
7414 WTB森田 政彰
河野 嵩史15 FB畑中 啓吾
加藤 凌悠
廣川 三鶴
金 光植
EVERSON JOEL
千布 亮輔
君島 良夫
BRETT GILLESPIE
小沢翔平
リザーブ 前田 恵輔
浅井 佑輝
田中 修司
守谷 徹郎
大内 健一郎
岩戸 博和
竹田 英生
秋山 岳人
得点選手トライ (T/5点)佐々木(前半2、後半1)、MARC(後半1)、庄司(後半1)、GILLIES(後半1)、千布(後半1)
ゴール (G/2点)山道(前半1)、君島(後半3)
ペナルティゴール (PG/3点) 
ドロップゴール (DG/3点) 

 東京は秩父宮ラグビー場の正門を出る時、佐々木隆道は柔和な笑みを浮かべて言った。機長から解き放たれた声だ。

「お疲れ様です。いやぁ、勝ちました」

 トップイーストDiv.1を2位で終えた日野自動車は、トップチャレンジ2に参戦していた。各地域の2位チーム同士によるこの競合を勝ち抜けば、トップチャレンジ1へ進む。各地域リーグ1位の計3チームと順に戦い、国内最高峰のトップリーグ進出を目指す。

近年、右肩上がりに順位を上げてきた赤き集団が、さらなるジャンプアップへのチャンスを得たのだ。負けられない戦いを前に、自ずと緊張感は高まる。トップリーグの強豪たるサントリーから新加入した33歳の佐々木は、そんな舞台での勝利にまず安堵したのだ。

2016年12月3日、秩父宮でのトップチャレンジ2初戦。トップキュウシュウ2位の中国電力を43―0で制していた。



 遡って11月19日、神奈川・相模原ギオンスタジアム。トップイーストの全勝対決では、首位となる三菱重工相模原に完敗した。0―34。そこまで全勝だった日野自動車にとっては、勢いをそがれる1日だった。

円陣を組み、細谷直監督は声を絞った。

「もう1度、三菱重工相模原にチャレンジしよう」

 自分たちを見つめ直した。外国出身選手の揃う三菱重工相模原を前に、「接点で勝負する前に1人ひとりが屈した」と細谷監督は感じた。だからこそ、かねてキーワードにしていた「縦への脅威」を再徹底した。

「三菱重工相模原戦はハンドリングエラーが多かった。無責任なパスをして相手にボールが渡った。ここ数週間の練習では、その点を(修正するよう)意識していました。あとはフィジカルで、もっと勝負を自分たちから仕掛けていこう、と」

守備の精度アップにも努めた。防御組織を再確認し、何よりタックルの質に全員でこだわった。攻撃と同時に、守備でも「もっと自分たちから仕掛けていこう」といった格好だ。

「グローバル生産・補給物流部」の新人フランカー、小野貴久は言う。

「あの時は相手の準備されたことをそのままやられた。今度は自分たちの準備したことを、まずはタックルから遂行していきたいです。リベンジ…。心、燃えています」

 小野とともにフランカーとして試合に出る佐々木は、「フィジカルで対抗できないと上では勝てない」。いま以上のステージでライバルと伍すには、地道かつハードなジムワークを継続すべきと訴える。

 もちろん、短期決戦は目の前に迫っている。中長期的なフィジカル強化と同時に、いまある資質で白星をもぎ取る道筋を作りたい。佐々木は言った。

「チームディフェンス、セットプレーで圧倒する」

日野自動車は守備に加え、攻防の起点たるセットプレーも強みにしている。

特にフォワードが8人一体で組むスクラムは、時間をかけて鍛錬した。今季、東芝から日野自動車の「開発管理部」へ転職した25歳の崩光瑠は、「プレッシャーをかけられる」。最前列中央でスクラムを引っ張るフッカーとして、充実感を口にする。コマーシャルのフレーズにちなんだ「ヒノノニトーン!」という掛け声のもと、一丸となって足を掻く。

 ボールを大事にしてアタックする。全員で激しくタックルする。スクラムで1センチでも前に進む…。そんな自分たちのアイデンティティーを明確に打ち出し、クライマックスの戦いに挑む。


 
 中国電力戦。序盤は攻めてもミスを重ね、膠着状態にあった。中国電力の統一感ある攻撃も見事。トップイーストでは大差での勝利も多かった日野自動車にとっては、試練の時間が続いた。

 もっとも佐々木は、皆を冷静に諭していた。

「こんなものだよ」

トップリーグへの挑戦権をかけた大一番に臨んでいるのは、相手も同じ。思うようにスコアが取れないことだってある。大事なのは、上手くいかない時に焦らないことだ…。22分に自らが先制トライを挙げるまでの過程を、こう述懐する。

「アタックをし続ければ、相手は綻ぶ。相手が折れるか、こちらがそうなるかの勝負」
 
 12―0とリードしてハーフタイムを迎えた時、細谷直監督が感じたのは選手の修正能力だった。まずは「縦の脅威」を貫く。確実にボールをキープする…。ロッカールームで言おうと思っていたことの大半を、選手同士で指摘し合っていた。

 後半開始早々。1つひとつの接点で球を大事にキープしながら、用意した陣形に沿ってパスを回す。オープン攻撃の連続から、5分、マーク・リーがインゴールを割る。17-0。

「最初は硬さもあって簡単なミスが続いたけど、試合中に修正できた」とは、小野の弁だ。その延長線上で躍動したのは、ウイングに入った7人制ニュージーランド代表のギリーズ・カカだった。複数人のタックラーを引きつけ、フリーの味方にパスをする。あるいは自ら走り切る…。その流れで17、27分と加点した。得点板は「29―0」と光る。

 修正を図っていた守備は、相手をシャットアウトする。両軍に疲れのたまる後半20分頃にピンチを迎えたが、自陣22メートル線付近で何とか組織防御を保つ。大砲のようなタックルで相手のミスを誘ったのは、崩だった。

「全員で守った…ということです。終わってから『あ、そう言えば無失点だ』と。ディフェンス、よかったんじゃないですかね」

 こう照れ笑いする崩は、スクラムでも奮闘する。序盤は敵陣ゴール前でのスクラムからトライを取り切れなかったが、その時点でも押し合いでの優劣は明らかだった。

「細かい部分、泥臭い部分、ブレイクダウン(接点)でのスキル。そういう1こ1こが積み重なって、上と下との差ができてくると思うんです。自分でしっかりと身体を使って伝えたいと思ってきました」

 後半36分、敵陣ゴール前右で自軍ボールスクラムを得る。

 ここで意を決したのは、崩に代わってフッカーに入っていた廣川三鶴主将だ。皆で塊と化す。相手を押し込む。最後列に入っていたナンバーエイトの千布亮輔がトライラインを割り、スコアを36―0とした。

 会心の1本、廣川はかく振り返る。

「8人で組む。絶対に自信がありましたし、ここで取らなきゃ日野のラグビーじゃない」

 後半40分には佐々木の3トライ目も生まれ、結果的に日野自動車が快勝した。大学選手権7連覇中の帝京大出身、ひたすら懸命な小野は、「自分たちのやることを遂行できたから、こういう結果になった」と振り返る。

 11日には、大阪の鶴見緑地球技場でトップウエスト2位の中部電力と激突する。日野自動車のアイデンティティーを示す旅は、まだまだ続く。


【細谷監督】
この試合を大きなターニングポイントにしてきました。前半、ルーズなプレーで得点チャンスを逸したところはありましたが、後半に向けた控室で選手が話し合っていた修正ポイントが、スタッフのそれと一致していた。得点を相手に与えなかったのも非常に大きかった。ディフェンスでもチャレンジしたい。
【廣川主将】
勝つという最大の目標を達成できたのがうれしい。前半は我慢すべき時間帯がありましたが、そこを修正できて後半をいい形にできた。ここからは、これをボトム(基準)にしてしっかりと戦っていきたい。

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