Uniting our souls!! 「結束」

2015-2016年シーズン

トップイースト vs 釜石 SEA WAVES

2015年10月31日(土)14:00 秩父宮ラグビー場()

  • 日野自動車 RED DOLPHINS
    日野自動車 RED DOLPHINS
  • SEA WAVES
    釜石 SEA WAVES

:

8 トライ数1 ゴール数0 ペナルティゴール数1 ドロップゴール数0
前半
3 トライ数0 ゴール数0 ペナルティゴール数1 ドロップゴール数0
3 トライ数0 ゴール数0 ペナルティゴール数1 ドロップゴール数0
後半
13 トライ数1 ゴール数1 ペナルティゴール数2 ドロップゴール数0
RED DOLPHINS出場選手SEA WAVES
茂手木 亮1 PR
廣川 三鶴2 HO
村上 玲央3 PR
笠原 雄太4 LO
205 LO
庄司 壽之6 FL
西村 雄大7 LF
538 No.8
田川 明洋9 SH
調 建造10 SO
篠田 正悟11 WTB
6212 CTB
Brett Gillespie13 CTB
Marc Le14 WTB
松井 佑太15 FB
リザーブ
得点選手トライ (T/5点) 
ゴール (G/2点) 
ペナルティゴール (PG/3点) 
ドロップゴール (DG/3点) 

 『涙の敗北。もっと強くな~れ』

 ハロウィーン本番の土曜日、秩父宮ラグビー場には峻厳たる戦いがあった。闘気と覇気、気魄と集中、誇りと威信がぶつかる。
 勝負はかくも残酷である。どんなにいい試合でも、スコアで劣れば、敗北を噛みしめなければならない。試合後。ファンを見送るためラグビー場のゲート近くに並んでも、日野自動車の人気者、ケンタローことフッカー植村健太郎はまだ泣いていた。
 「もっと、できたことがあっただろうし、もっと、チームに貢献できただろうし…。リードして試合に入ったのに、逆転を許してしまって…。もう、悔しさがこみあげて」
 あとは嗚咽でコトバは出てこなかった。プロップ村上玲央も悔しくて泣いた。ウイングの篠田正悟もおいおい泣いた。ハロウィーンで、はしゃぐ大人とは違い、ここには本気の人生がある。
 大事な戦いだった。前週の試合に続き、日野自動車が釜石シーウェイブスに敗れると、自力でのトップチャレンジへの道がなくなる。勝つ。絶対、勝つ。その意気は、スタンドまで届いた。
 スクラムを押す。ダイゴこと、故障から復帰したセンター山下大悟がタテに突っ込む。ペナルティーでエリアを稼ぐ。
 前半5分。ラックからオープンに回し、スタンドオフの調建造からパスを受けたダイゴが内側にポンと浮かす。ウイング篠田が快足を飛ばし、右隅に飛び込んだ。
 さらに5分後、調がペナルティーゴール(PG)を蹴り込んで、8点を先行した。この後も猛攻がつづく。でもトライを取り切れない。ここで、もういっちょ、取れていたら。
 細谷直監督の述懐。
 「前半のトライチャンスでスコアができなかったのが大きかったですね。攻撃力のある釜石とガップリ四つに戦えたけど、釜石はワンチャンスを生かした、我々はチャンスでスコアを取り切れなかった」
 確かに大相撲でいえば、ガップリ四つ、力勝負となった。刹那、釜石フランカーのスパイクが片方、絨毯のような綺麗な芝に転がった。後ろの日野応援の女性が素っ頓狂な声を出す。「クツが脱げてる。ウソでしょ」
 後半。釜石はディフェンスをきっちり修正してきた。展開勝負を不利と見て、フォワード勝負に出てきた。近場、近場を攻める。日野がたまらずペナルティーを犯す。
 ラスト20分。体力勝負となった。後半25分過ぎ、レフリーの生真面目なダニエルさんの笛が鳴る。途中から入ったFW大窪遥に対し、無情のシンビン(一時退出処分)を命じた。えっ。そんなセッショウな。
 一人少ない日野は、怒涛の寄りの釜石に土俵際に押し込まれた。PGを返され、3分後、張り手のような連続攻撃を受け、36歳のフッカー松原裕司にトライをとられた。8-16となった。
 ラスト5分。日野は反撃した。シンビンから選手が戻り、15人で攻めに攻めた。でもゴールラインを割れない。「ロスタイムは2分です」のアナウンスが流れる。
 点差は8点。もう逆転は難しい。でも一矢を報いたい。途中交代のSO山道翔が長いPGを蹴り込んで、11-16とした。「なんで、トライをとらんの」という後ろの女性の疑問に答えれば、7点差以内の負けはボーナスポイント1が入るのだ。やはり、少なくても年末のボーナス(賞与)はあったほうがいい。
 ダイゴはまた、足を痛めた。悔しさを押し殺し、淡々とした口調で呟いた。
 「勝負に徹した釜石と、やりたいことをやろうとした日野自動車。まだまだ、80分間、戦う力がないんだと思います」
 主将の廣川三鶴はこうだ。
 「もう、今日の経験を次から生かしていかないと、負けた意味が全く無くなってしまう。必ず、必ず、必ず生かしてやる。また出直します」
 プレーの精度、攻め方の工夫、ラインアウトの整備、エリアマネジメント…。課題はみえた。戦いはつづく。勝負の世界、ハロウィーンのような魔法はないのだ。
 あるのは日々の鍛錬だけ。この落胆と後悔を、苦悶と熟慮の先の栄光へ。どうぞ、我らの日野の枯れぬ成長を見届けよ。で、そっと心で呪文を唱えてほしい。
 チチンプイプイ。
 もっと強くな~れ。
            (了)

細谷直監督 
選手は本当に死力を尽くしてくれた。でも白黒が明確に出てしまうのが勝負事。もっと経験を積み重ねないといけないということでしょう。この敗戦でトップチャレンジ進出は他力本願になったのは事実ですが、気持ちを切らさずに、春から積み上げてきた日野自動車のラグビーに拘り、次節は必ず勝利します。


廣川三鶴主将 
やってきたことは間違っていない。でも、ちょっとした精度のところが甘かった。トライを取り切れないところ、勝ち切れないところが、いまのチーム力だと思います。また出直します。

Text by 松瀬学
1960年生まれ。福岡・修猷館高―早大ではラグビー部に所属。共同通信社を経て、2002年独立。酒と平和をこよなく愛する。著書は『汚れた金メダル』『スクラム』『なぜ東京五輪招致は成功したのか』など多数。

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