Uniting our souls!! 「結束」

2014-2015年シーズン

トップイースト vs 栗田工業 WATERGUSH

2014年11月29日(土)13:00 海老名運動公園(神奈川県)

  • 日野自動車 RED DOLPHINS
    日野自動車 RED DOLPHINS
  • WATERGUSH
    栗田工業 WATERGUSH

:

12 トライ数2 ゴール数1 ペナルティゴール数0 ドロップゴール数0
前半
0 トライ数0 ゴール数0 ペナルティゴール数0 ドロップゴール数0
12 トライ数2 ゴール数1 ペナルティゴール数0 ドロップゴール数0
後半
7 トライ数1 ゴール数1 ペナルティゴール数0 ドロップゴール数0
RED DOLPHINS出場選手WATERGUSH
茂手木 亮1 PR
廣川 三鶴2 HO
村上 玲央3 PR
土屋 眞4 LO
205 LO
大窪 遥6 FL
藤田 哲啓7 LF
168 No.8
田川 明洋9 SH
調 建造10 SO
小澤 和人11 WTB
6212 CTB
苫谷 直樹13 CTB
2914 WTB
6615 FB
リザーブ
得点選手トライ (T/5点) 
ゴール (G/2点) 
ペナルティゴール (PG/3点) 
ドロップゴール (DG/3点) 

『ゲームプランを確実に実行してうれしい勝利、有終の美を飾る』

いよいよ日野自動車レッドドルフィンズにとっての今季最後の闘い、リーグ戦の第9節。相手は栗田工業ウォーターガッシュ。その場所はアウェイの神奈川県ながら、観客席には明らかに日野自動車応援団が多い。そのほとんどが、レッドドルフィンズの真っ赤なポンチョをまとっての応援である。
 この日は前日の天気予報から大きくはずれ、午後1時のキックオフの前から土砂降りといえる激しい雨がグランドを濡らしていた。その雨を前に、細谷監督はゲームプランを大きく変える。
「予想外の雨なので、ボールを回す展開ではなくハイパントでチェイス。相手フルバックを追い込む」
 どうしても雨の中ではボールが滑る。しかも激しく、冷たい11月の雨。そのためのゲームプランの変更だった。
 その予想通りというべきか、マイボールのキックオフで始まったボールを日野自動車はいきなりノックオン。(ボールを前に落としてしまうこと)相手ボールのスクラムとなる。そこから栗田工業のWTB(ウイング)14番が抜け出し大きくゲイン。直後、日野自動車はたまらずオフサイド(密集に横から参加すること)の反則。PK(ペナルティキック)から大きく蹴り込まれて、ゴール前で相手のラインアウトといきなりのピンチを迎える。しかし、相手は連携ミスからかラインアウトでオブストラクション(ボールを持っていない相手プレーヤーの動きを妨害すること)の反則。マイボールのPKを得た日野自動車はタッチに蹴り出しラインアウト。ラインアウトからは得意のモールで前進をはかるかと思いきや、バックスに回ったボールをSO(スタンドオフ)調建造が大きく蹴り上げるハイパント。滞空時間の長いそのボールの落下地点に向かって突進するFB(フルバック)ウィリアム・トゥポウ。その姿が目に入ったのか、相手FB(フルバック)はキャッチをできずにノックオン。すると、すかさずそのボールをひろったCTB(センター)山下大悟がそのまま走り切りインゴールへ飛び込む。試合開始わずか3分、急遽変更されたゲームプランが見事に決まった先制トライだった。これには真っ赤な“ポンチョ軍団”からも大歓声があがる。
 そして相手のリスタートキック。だがやはり雨の影響か、日野自動車はここでもいきなりノックオン。相手ボールのスクラムから自陣でのディフェンスというピンチの場面に。しかし、この日、日野自動車が大きな目標にしていたいまひとつのゲームプランがあった。
 それは「出させて守る。前で倒す!」というもの。実は、前節ヤクルトレビンズ戦ではペナルティを多発、合計21を記録した(相手は7)。結果は勝利だったものの、反則がそれほど多ければ互角の相手、ましてや実力が上の相手には勝てない。そしてこの日の相手、栗田工業からは10年以上勝ち星を取れていない。
 そのため、この日は相手の攻撃に対し密集戦であるブレイクダウンでむやみに戦い無駄な反則をするのではなく、相手側にボールを出させて止めるというプランを立てていた。もちろん止めるのはタックルであり、さらにそのタックルは前に出て倒す! それは、観ている者にはある種のラグビーの醍醐味を伝えるものでもあった。相手が攻め込みラックからボールが出る。それを日野自動車がタックルで止める。再びラックができて、ボールが相手に出る。そしてまた日野自動車がタックルで止める。応援席からは「止めろー!」「タックルッ!」との絶叫にも似た声があがる。その声に押されてか、何度も何度も気迫のこもったタックルを続け、相手の出足を止める日野自動車のメンバー。そしてついに相手はたまらずノックオン……。
 実はこの試合、そんな場面が何度もあった。細谷監督が「よく我慢した」と言うように、選手たちは反則をせずに何度も何度もタックルを繰り返し、相手のノックオンを、そしてタックルされた相手がボールを放さないノットリリースザボールの反則を誘い、あるいは相手が攻めあぐねてたまらずキックでボールを手放すまでに追い込んだ。
 そして前半は相手を無得点に抑え、後半も40分を過ぎてまで得点を許さず、最後の最後、相手の必死の猛攻にロスタイム時についに日野自動車が反則を犯し、ワントライだけを献上することに。
 だが、すでに日野自動車は前半、後半にそれぞれ2つずつのトライをあげて勝利は確実にしていた。しかも4トライを得てのポイントもゲット。終わってみれば24対7での5連勝。犯した反則も9。一方、相手からは16のペナルティを奪っていた。後半ロスタイムの失点を除けば、ゲームプラン通りの完勝と言ってもよいだろう。しかも、相手は目下激しい順位争いをしていた栗田工業である。
「最後に取られたトライは大いに反省すべき点。ただ、最後の最後に甘さが出たという点は、来年に向けてのよい反省材料になるとポジティブに考えます」
 細谷監督はもちろん、プレーヤー、チーム関係者、そして応援団のみなが望むのは、トップリーグへの昇格である。今シーズンを6勝3敗で終えた日野自動車レッドドルフィンズは、確実に目標に向けて大きく一歩前進した日だった。(試合を終えた時点での順位は3位)


【コメント】
■細谷直監督 
 急なゲームプランの変更にも、選手たちはよく対応してくれました。これは選手たち全員が、どこで何をするのかというゲーム理解が高まっている成果の現れだと思います。目標は本気でトップリーグ昇格。そのためにも焦らず今後も確実に力をつけていきたいです。

■廣川三鶴主将 
 無駄なペナルティが少なく、「出させて止める」というプランが成功したと思います。あと良かったのは、チームの全員がやることを明確に理解できたということ。チームのベースはできつつあるので、来年は最初からトップチャレンジを目指していきます! 


Text by 李スンイル
1961年生まれ。ノンフィクションライター。関東ラグビーフットボール協会公認レフリーも務め、ラグビーマガジン誌のルール解説コラム「WITH A WHISTLE」が好評連載中。著書に、『もう一人の力道山』(小学館)『青き闘球部 東京朝鮮高校ラグビー部の目指すノーサイド』(ポット出版)など。

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