人のための技術力

普通トラック国内シェアNo. 1。その理由の一つにあるのが“技術力”です。しかし、それは単なる先進性や革新を求めた技術とは異なります。お客様のニーズに応え、ビジネスに役立つ商用車を開発すること。ハイブリッド車の開発やCNGエネルギーを使用したバスなども、そんな“お客様想いの精神”が技術へと昇華された結果でした。そして今、日野自動車では次なるニーズに応えるための準備が進んでいます。数年後、数十年後のお客様を見据えたとき、必ず必要になるであろう技術。ここでは、未来のお客様を支える技術についてご紹介いたします。

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排出ガス低減

世界的に地球温暖化・オゾン層破壊に歯止めをかける要求が強くなっており、大気環境改善を早期に実現することが求められています。物流の主役を担う商用車に対する要望も大きく、ディーゼルエンジンのNOx※1、PM※2の更なる低減はもとより、排出ガス後処理装置の強化も必要です。
日野自動車の目指す排出ガスは大気レベル。エンジンで使用した空気をきれいなまま自然に返し、人類だけでなく生物全体の地球環境を守っていきます。お客様が安心できる地球環境づくりを第一に、自動車業界をリードし、社会貢献を続けていくことが日野自動車の大きな使命です。
※1 NOx…窒素酸化物。酸性雨などの原因となる大気汚染原因物質の一つ。 ※2 PM…粒子状物質。大気汚染を引き起こす微粒子全般を指す。

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『エンジン』及び『後処理装置』の改良による、さらなる排出ガス低減を目指しています。
『エンジン』及び『後処理装置』の改良による、さらなる排出ガス低減を目指しています。

商用車の排出ガスにおいて、日野自動車は大気レベルまでの低減を狙っています。そのため、エンジンと排出ガス浄化装置の協調はとても重要です。特に、地球温暖化につながるCO2と環境負荷物質であるNOx、PMの排出量を徹底的に減らし、将来のゼロエミッションに向け、絶え間ない技術革新に挑戦し続けています。

[エンジンの改良]
燃焼の改善により、排出ガスのNOx、PMを徹底的に減らすと共に、低CO2排出(省燃費化)を目指すエンジン技術開発をしています。
[後処理装置の改良]
排出ガスをよりクリ-ンにするための触媒による後処理装置開発を進めています。エンジンの効率化を進める事により排出ガス温度が低下していくため、反応領域の広い触媒開発や捕集効率の高い後処理装置とその制御を含めたシステム開発が必要になってくるのです。そのため、触媒の改良として、低温反応活性の付与や強化、触媒の最適制御等の要素技術も開発しています。様々に変動するエンジンの負荷と排出ガス量に応じて、触媒反応の状態を最適に保つ制御技術をエンジンの燃焼制御と協調して開発しているのです。

燃費向上

地球温暖化への影響が大きいとされるCO2は、主に我々人間の生活行動において排出されています。2014年度における日本のCO2総排出量は12億6500万トンで、その内17.2%が運輸部門(自動車、船舶等)による排出です。そして、貨物自動車からの排出量は日本全体の6.0%※にあたります。地球温暖化に対しては、国連気候変動枠組条約国会議(COP)が開かれ、COP21でパリ協定が採択されました。日本は2030年度の温室効果ガスの排出量を2013年度比26%削減する目標を掲げ、運輸部門は27.4%のCO2削減を目標としています。ディ-ゼルエンジンはガソリンエンジンより燃費性に優れたエンジンですが、CO2 削減目標を達成するために、更に低燃費化を促進する技術の開発が待たれています。
※ 国土交通省統計

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『エンジン』と『車両』の2方向から、燃費改善を進めています。
『エンジン』と『車両』の2方向から、燃費改善を進めています。
[エンジンの燃費改善]
エンジンの燃費を改善するためには、まずは燃焼状態を良くすることが重要です。なぜなら、シリンダー内に投入された燃料は、燃焼により熱エネルギーに変換されて車両の走行に使われているからです。日野自動車は燃焼設計として、最先端のシミュレーションや可視化解析を用いた燃焼室形状および燃料噴射装置の研究開発に取り組んでおり、最新の燃焼室、燃料噴射装置を他社に先駆けて採用しています。しかし、そのような取り組みを進めていますが、現状のエンジンは燃料が持っている熱エネルギーの半分以下しか利用できていません。そのため、廃棄される熱エネルギーを極限まで少なくすることが今後の課題です。エンジン構造や各要素技術の研究開発に取り組むとともに、廃棄熱エネルギーを回収し再利用する装置の研究も行っています。
[車両による燃費改善]
車両による燃費低減を考える上で重要なのは、車両の走行にかかる様々な走行抵抗です。主なものとしては「空気抵抗」が挙げられますが、この点においては車体周囲を空気がスムーズに流れるように空力シミュレーションを活用するなどの研究開発を行っています。その他、「加速抵抗」を低減するための最適加速制御や「ころがり抵抗」や「駆動損失」の低減についても取り組んでいます。車両本体以外にも、輸送効率を向上させるための隊列走行、インフラ協調制御など、最先端のICT技術を活用した研究開発も盛んに進めています。

これから日野自動車は、低燃費技術のトップランナーとして、常に最新技術を盛り込んだ低燃費エンジン・車両をお客様に届けると同時に、地球温暖化の防止に貢献していきます。

次世代商用車遠隔監視

環境と経済が持続的に好循環を生み出していく社会の実現を目指し、各自動車メーカーには社会システムが変化するための大きな原動力となる「グリーン・イノベーション」の高まりに同期した対応が求められています。
高度な低炭素社会の実現に向けた「地球温暖化対策推進計画」では、商用車メーカーとして積極的な対応と社会への貢献が求められています。また、環境配慮型都市「スマートシティ構想」では、コミュニティバスや路線バスに代表される公共交通や配送トラック等の準公共交通に対して、高い環境性能を持ったシステムの提案とその供給の実現も必須となっています。

日野自動車は燃料電池商用車、電気商用車、プラグインハイブリッド商用車、クリーンディ-ゼル商用車など、多様なエネルギー源、動力源で将来の物流と人流を支える商用車の開発に取り組んでいます。人々の生活や物流インフラを支えるための走行性能、環境性能、インフラの整備状況など総合的に捉え、適材適所の考え方で商品を投入し、実用化に向けた開発を進めています。

[水素エネルギーの活用]
水素を利用した商用車開発をトヨタグループの一員として進めています。トヨタ自動車とともに、実証走行なども重ねながら、燃料電池バス(以下FCバス)の開発に取り組んできています。その一部を環境省による「CO2排出削減対策強化誘導型技術開発・実証事業」の交通低炭素化技術開発分野の平成27年度実施課題として支援いただきながら、公共性の観点からもニーズの大きい、大型路線用燃料電池バスの開発を進めました。

トヨタFCバス

※2017年2月には、トヨタブランドの燃料電池バスが発売されました。

実績

トヨタ自動車と日野自動車が実施したFCバスの公道走行試験
▽以下の公道走行試験に共同で参画し、貴重な走行実証データを蓄積しています。

  • ①2003年8月~2004年12月
    :東京都営バスで行った「大都市」での路線バス運行
  • ②2005年3月~2005年9月
    :「愛・地球博」の会場間輸送用として「高頻度、多客」運行
  • ③2006年3月~2009年12月
    :中部国際空港周辺地域で「地方(丘陵地)」路線バス運行
  • ④2006年3月~2013年8月
    :中部国際空港内で「シャトルバス」運行
  • ⑤2010年10月~2013年3月
    :豊田市における「中核都市」での路線バス運行
  • ⑥2010年12月~2013年9月
    :羽田空港―新宿間で「高速道路」でのリムジンバス運行
  • ⑦2012年11月~2014年3月
    :関西国際空港内で「シャトルバス」運行
  • ⑧2015年1月9日~現在
    :豊田市における路線バス営業運行
  • ⑨2015年7月24日~30日
    :東京都での外部電源供給システムの公開給電実証と公共交通としての実用性を確認する走行実証

トヨタFCバス

[電池を利用した開発]
電池を利用した商用車の開発は、電動化によるCO2の低減だけではなく騒音の低減も考慮に入れて開発を行っています。例えば、住宅地に住む方々に喜ばれる電動コミュニュティバスや低騒音化された小型トラックなど、新しい価値を提供できる電動商用車の開発に、これからも取り組んでいきます。

実績

  • ・2012年3月~
    …ポンチョEV限定販売、3台運行(東京都墨田区、羽村市、石川県小松市)
  • ・2016年3月~
    …メルファPHV限定販売、3台運行(東京都瑞穂町、埼玉県春日部市、石川県小松市)

乗心地・耐久性遠隔監視

トラックやバスに代表される商用車は、乗用車に比べて車体が大きくて重い。そのため、動かすには大きなエネルギーが必要となりますが、その巨大なエネルギーに耐えるため、高いレベルの耐久性が求められるのです。しかし、商用車にとって耐久性や耐振動性能が重要な理由は、それだけではありません。
一つは、走行距離です。乗用車の約10倍ほどの距離を走る商用車にとって、高い耐久性は必要不可欠と言えます。また、トラックは長距離輸送にも使われるため、ドライバーは長時間運転することになります。そのため、振動への対策が十分でないとドライバーに疲労が蓄積し、事故につながりかねません。
他にも、壊れた時の影響についても考える必要があります。輸送を担うインフラである商用車は、壊れた時の影響がドライバー個人に限られません。トラックであれば、荷主や受取人、その輸送事業者。バスであれば、たくさんの乗客や輸送事業者にまで大きな影響が及ぶため、乗用車以上に故障することが許されないのです。

世界一過酷なレースと呼ばれるダカールラリーに参戦し、実戦的な技術を磨いています。
世界一過酷なレースと呼ばれるダカールラリーに参戦し、実戦的な技術を磨いています。

日野自動車の、乗心地や耐久性に関する開発は、ダカールラリーで使用される日野レンジャー(以下、ダカールラリー車)に存分に活かされています。道なき道を駆け抜けるダカールラリー車は、ドライバーとナビゲーターに不要な振動を伝えない工夫が施されています。その機能の大部分を担う装置がサスペンションで、ばね特性(板ばねとコイル、ラバーの3種併用)と減衰特性(減衰力調整可能ショックアブソーバー)、リンクレバ-によるサスペンションの軌跡特性がチュ-ニング要素であり、ダカ-ルラリ-車専用のチューニングが施されています。サスペンション特性が良いと乗心地だけでなく、ラフロ-ドでタイヤの接地性が向上します。これにより、エンジンパワ-やブレ-キ力を効率的に地面に伝えることができるため、ラリ-車の持つ能力を高めることができます。

サスペンション特性を決めるにはシミュレーション計算を活用しますが、最終的な判断やチューニングはダカールラリー車を走らせ、振動加速度やサスペンションストロークなどのデータを計測・解析することが重要となります。テスト走行は大きく分けて2種類あり、一つは日野自動車が保有するテストコース(悪路)を用いたテスト。開発者自らハンドルを握り、乗心地や操縦安定性などの背反性能も確認しながら繰り返し改善点を探ります。もう一つがラリー走行を模擬したモンゴルテスト。過去にモンゴルラリーで使われたコースを活用し、ギリギリまで軽量化した部品の強度を評価することが可能です。

また、モンゴルテストではレースドライバー(菅原照仁さん)が実戦と同様にドライブすることで、レーシングチームと一緒になってサスペンションの最終チュ-ニングを行っています。

このように日野自動車では、世界一過酷と呼ばれるダカールラリーへ参戦し、実戦的に技術を磨くことで、商用車の耐久性を高めようと考えています。今後も、ダカールラリーへの挑戦から生まれた新技術を活かし、何十年も活躍し続けていけるタフな商用車を作っていきたいと考えています。

コネクティッドコネクティッド

今や、地球上のあらゆる物とインターネットがつながり、情報を発信・交換し、共有化を図っていく時代となりました。様々な場所・場面で、利便性を向上させたり、暮らしを豊かにしたり、危機を管理するための膨大な情報(ビッグデータ)が共有化され、活用され始めています。そして、その情報量と用途は拡大の一途をたどっています。
物流・人流の主役である商用車もそんな情報発信源の一つ。情報を利用した質の高いサービスに向け、様々な方面から非常に注目され、期待されています。IoT時代の幕開けを迎え、バス・トラックも人・車・インフラと「コネクト」し、情報を発信・活用することで物流・人流を進化させていきます。

世界一過酷なレースと呼ばれるダカールラリーに参戦し、実戦的な技術を磨いています。
世界一過酷なレースと呼ばれるダカールラリーに参戦し、実戦的な技術を磨いています。
[商用車が得た情報を、人にコネクトする]
商用車から得られる情報を人とつなげる場合、その情報は大きく二つに分けられます。一つ目が車の状態や使われ方の情報。これを見える化し、お客様や販売会社が活用します。主な活用方法は、安全運転への活用(事故の抑制)、省エネ運転への活用(地球環境改善)、車両整備への活用(整備・物流の効率化)となります。二つ目は緊急情報。これを速報化することで、故障救援や急病対応へとつなげることができます。
[商用車が得た情報を、インフラとコネクトする]
情報をインフラとつなげる場合は、災害救援(緊急対応の初動へ貢献)や、自動運転(省人化・高齢化社会対策)、物流改善(配送ルート効率化)や物流・人流の需要予測等に活用することができます。人がこれまで以上に豊かな生活を享受できることを目指し、トラック・バスから得られる情報の利活用方法を生み出していくこと。それこそが、将来社会に向けた商用車メーカーがなすべきことであると考えています。

自動運転自動運転

ドライバーがハンドルやペダルに触れることなくクルマを走らせる「自動運転」に注目が集まっています。では、なぜ自動運転が必要なのでしょうか?商用車の世界に「自動運転」を適用すると、未来の人流・物流を画期的に変革できる可能性があります。まず、安全性の向上。交通事故の9割以上はドライバーのミスで発生していますが、運転支援のレベルを自動運転の領域まで高めることで、大幅に交通事故を削減することが期待できます。次に、効率化。一人の人が2台・3台のバスやトラックを運行させることができたら効率が画期的に高まり、人流・物流コストを低減することができます。最後に、省人化。深刻さを増すドライバー不足に対して、バスやトラックの無人運行が期待されています。これが実現できれば、採算が合わず運行できなかった地域に交通の便を提供できたり、将来の物流量の増大に人手を増やすことなく対応できます。

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『見る』、『動かす』、『判断する』という3つの視点から自動運転を実現していきます。
『見る』、『動かす』、『判断する』という3つの視点から自動運転を実現していきます。

日野自動車は、世界初の衝突被害軽減ブレーキの採用をはじめ、他社に先駆けた運転支援の技術開発と商品化を進めてきました。それら、これまで培ってきた技術を3つの視点からさらに高め、将来の自動運転の実現を目指しています。

["見る技術"の向上]
ドライバーに頼らずにクルマを走らせるためには自車の周囲やこれから向かう道路の状況が分かっている必要があります。そこで、部品メーカーと協力してさまざまなセンサーを駆使した、周囲の人やクルマ、道路構造を見る技術開発を進めています。他のクルマや道路の情報を共有する通信技術、自分の絶対位置を知るための高精度地図の活用技術にも取り組んでいます。

レーンキープアシスト(自動で車線をキープしながら走行)

["動かす技術"の向上]
クルマを前後・左右に動かすための技術開発です。先行車との車間距離を高精度に保ちながら走行するエンジン制御やブレーキ制御技術。そして、狙った経路をミリメートルオーダーの精度でトレースするステアリング制御技術などの開発に取り組んでいます。
["判断する技術"の向上]
「見る技術」と「動かす技術」をつなぐ、「判断する技術」の開発も行っています。例えば、信号が青に変わったけれど横断歩道を渡りきれない人がいたり、左折するクルマが急に止まったりといった"想定外の出来事"に対応する技術。ドライバーが行っていた、これらの判断を機械でできるようにするために、人工知能やディープラーニングといった技術の応用を研究しています。

レーンキープアシスト(自動で車線をキープしながら走行)