ニュースリリース

2007年02月13日

「外部電源式アイドリングストップ冷暖房システム」の実証試験結果について

 ~CO2排出量を約97%低減、燃料消費コストを約98%低減~

                                                                                                  東京電力株式会社
                                                                                                  日野自動車株式会社


 東京電力株式会社(本社:東京都千代田区 取締役社長:勝俣(かつまた) 恒久(つねひさ))と日野自動車株式会社(本社:東京都日野市 取締役社長:近藤(こんどう) 詔治(しょうじ))は、共同で「外部電源式アイドリングストップ冷暖房システム」を開発し、実証試験を進めてまいりました(平成17年7月27日お知らせ済み)が、このほどその結果がまとまり、アイドリング時に比べて「CO2排出量を約97%低減できる」[注1]、「燃料消費コストを約98%低減できる」[注2]などの成果が得られました。

CO2をはじめとする温室効果ガスの排出量の低減が求められる中、特に運輸部門においては、2005年度のCO2の排出量が1990年度比18.1%増加するなど、排出ガスの総排出量低減に向けた具体策が急務となっております。
これを解決するための有効な方策の一つとしてアイドリングストップが注目されていますが、ドライバーの仮眠・休憩や、荷待ちなどの際、運転室内の冷暖房のために、やむを得ずエンジンをかけたまま待機するケースがあり、こうしたアイドリングを効果的に抑制することが課題となっています。
これに対し、本システムは、トラックの運転席に設置する「外部電源式冷暖房装置」[注3]に、駐車場に設置する「給電スタンド」から系統電力を供給して、運転室内の冷暖房を行うもので、エンジンをかけずに冷暖房が行えるため、CO2排出量低減が可能になるとともに、燃料消費コストも低減できることから、運輸事業者の経費低減にも貢献[注4]することができます。

実証試験の実施にあたっては、国土交通省のご後援をはじめ、(財)貨物自動車運送事業振興センターと運輸事業者にご協力をいただき、東神トラックステーション(神奈川県大和市)[注5]の駐車場に「給電スタンド」を設置するとともに、長距離輸送用のトラックに「外部電源式冷暖房装置」を搭載いたしました。これらを、平成17年8月1日から平成18年10月31日まで、日々の運行業務の中でご活用いただき、環境負荷低減効果や燃料(軽油)消費量低減効果、燃料消費コスト、システムの使い勝手などについて検証を行いました。
詳細は、別紙のとおりです。

東京電力と日野自動車は、今回の実証試験の結果を踏まえ、「外部電源式アイドリングストップ冷暖房システム」の平成19年度の実用化を目指します。

                                                                       以 上


[注1] CO2排出量を約97%低減できる
実証試験車両(大型トラック2台、中型トラック2台)によるCO2低減効果の平均値。
具体的な算出方法については別紙(P5)参照。
 
[注2] 燃料消費コストを約98%低減できる
具体的な算出方法については別紙(P6)参照。

[注3] 外部電源式冷暖房装置
冷房装置として、車両のエアコンとは独立したパッケージクーラーを運転席上部(屋根上)に搭載。供給電圧はAC単相200ボルトで、トラックへの後付け搭載も可能な汎用システム。なお、暖房装置はAC単相100ボルトにより蓄熱マット(ホットカーペット)と電気毛布などを使用。

[注4] 運輸事業者の経費低減にも貢献
実用化の際には、使用した電力量料金に加え、「給電スタンド」システムの製造・設置にともなう利用料がかかることが予想される。

[注5] 東神トラックステーション 
駐車スペース:トレーラー21台/大型車74台/普通車22台収容
所在地:神奈川県大和市上草柳588
     運営・管理:(財)貨物自動車運送事業振興センター
※トラックステーションとは、トラックドライバーが、休憩、仮眠・宿泊、入浴、食事や業務上の連絡などの目的で利用できる施設で全国に40ヵ所点在。



 <本件に関するお問合せ先>
東京電力株式会社   広報部    電話03-4216-1111(代表)
日野自動車株式会社 総合企画部 電話03-5419-9320



● ~ 別紙 ~ 
「外部電源式アイドリングストップ冷暖房システム」の実証試験の概要

1. 実証実験の概要
(1)内 容
・ 東神トラックステーションの大型車専用駐車スペース(3台分)に「給電スタンド」(外部電源供給設備)を3台設置。
・ 運輸事業者3社のトラック6台に「外部電源式冷暖房装置」を搭載し、日常的に利用している東神トラックステーションでの休憩時に、「給電スタンド」から電力を供給することにより、アイドリングストップを実施。
*データの計測は、大型トラック(10t車)2台、中型トラック(4t車)2台の計4台で実施。
・ 本システムを、日々の運行業務で活用し、環境負荷低減効果や燃料消費コストのほか、冷暖房の使い勝手などの実用性や、課金システムの性能(使用電力量や給電時間などのデータ管理)・品質などの検証を実施。

(2)期 間
 平成17年8月1日~平成18年10月31日

(3)場 所 
東神トラックステーション(神奈川県大和市上草柳588)

(4)協 力
・財団法人貨物自動車運送事業振興センター 
住 所:東京都新宿区西新宿1-6-1 新宿エルタワー19F
    理事長:小丸(こまる) 法之(のりゆき)
   *トラックステーションを運営・管理している組織
・国土交通省(後援)

2.システムの概要
(1)装 置
①外部電源式冷暖房装置
・トラックの運転席上部(屋根上)にパッケージクーラーを設置し運転室内の冷房に使用。
・暖房用には電気毛布及び蓄熱マット(ホットカーペット)などを室内に装備。

②給電スタンド(外部電源供給設備)
・外部電源式冷暖房装置に対し、系統電力を供給する「給電スタンド」を設置。(幅:340mm 奥行き:312mm 高さ:1,500mm)

(2)利用者認証、課金システム
・ 非接触式ICカードを用いて利用者認証を行い、認証された利用者の情報を一時的に保持。
・ 給電スタンド利用後に、使用電力量などの情報を遠隔地に設置するサーバーに伝送し、利用料金の算定ならびに請求処理を自動化(実証試験では実際の請求行為はなし)。
・ 給電スタンドの利用履歴は、給電スタンド設置者だけでなく、インターネットにより利用者自らが確認することが可能。

※ただし、本システムは現段階での暫定的なシステムであり、今後も技術開発動向を注視し、引き続き最適なシステムを検討予定。

(3)開発体制
・外部電源式冷暖房装置:日野自動車株式会社
・給電スタンド(外部電源供給設備):東京電力株式会社、株式会社東京アールアンドデー

(4)開発期間
    平成14年7月~


3.実証試験結果
(1)環境負荷低減効果
CO2排出量低減効果は約97%
実証試験車両:大型トラック2台、中型トラック2台より取得したデータから、それぞれの1時間あたりにおけるCO2排出低減量、低減率を算出。
試験車両の平均低減率は97%。

(大型トラック1台のアイドリング1時間あたりの数値)
  アイドリング時 系統電力使用時 低減量 低減率
CO2排出量 4.09kg 0.08kg 4.01kg 98%

                         ー*平均97%ー
(中型トラック1台のアイドリング1時間あたりの数値)
  アイドリング時 系統電力使用時 低減量 低減率
CO2排出量 2.36kg 0.08kg 2.28kg 96%

(算出根拠・出典等)
※大型トラック燃料消費量=1.56 L/h 
※中型トラック燃料消費量=0.9 L/h
(油種は「軽油」で、10分間あたりの燃料消費量を1時間あたりに換算して算出、燃料消費量の数値は、代表的な数値として環境省HPより引用)
※消費電力量は、実証試験期間中の電力消費量の平均値=0.22kWh(電力消費量/接続時間)
※東京電力のCO2排出係数=0.372 kg-CO2 /kWh
(東京電力 サステナビリティレポート 2006より)
※軽油のCO2排出係数=2.62 kg-CO2/ L
(環境省「排出算定・報告・公表制度」より)

(2)実証試験期間中におけるトラック4台の燃料(軽油)消費量低減効果
燃料消費低減量は約11,300リットル/15ヶ月(CO2低減量は約29トン)
燃料消費低減量は試験車両の利用時間(hr)×燃料消費量(L/h)より算出
CO2低減量は、燃料消費低減量×軽油のCO2の排出係数

(算出根拠・出典等)
※大型トラックのシステム利用時間=4,092時間 
※中型トラックのシステム利用時間=5,428時間 
※大型トラック燃料消費量=1.56 L/h 
※中型トラック燃料消費量=0.9 L/h
(油種は「軽油」で、10分間あたりの燃料消費量を1時間あたりに換算して算出、燃料消費量の数値は、代表的な数値として環境省HPより引用)
※軽油のCO2排出係数=2.62 kg-CO2/ L
       (環境省「排出算定・報告・公表制度」より)


(3)燃料消費コストの低減効果
燃料消費コストの低減効果は約98%
(大型トラック1台のアイドリング1時間あたりのコスト比較)
    アイドリング時 本システム時
業務用電力
燃料消費量(L/h) 1.56 -
電力使用量(kWh) - 0.22
燃料単価(円/L) 90 -
電力料金単価(円/kWh) - 11.43
コスト(円/h) 140.4 2.5

(算出根拠・出典等)
①大型トラック燃料消費量=1.56 L/h 
(油種は「軽油」で、10分間あたりの燃料消費量を1時間あたりに換算して算出。燃料使用量の数値、代表的な数値として環境省HPより引用)
②実証試験期間中の電力消費量の平均値=0.22kWh(電力消費量/接続時間)
③燃料単価=90円/L 
燃料単価:H17年8月からH18年10月までのローリー価格の平均(全日本トラック協会調べ)
④電力料金単価:11円43銭/kWh
「電気需給約款」供給電圧6kV・契約電力500kW未満、業務用電力 
      夏季「7月1日から9月30日までの期間」料金による
          基本料金、消費税等相当額は含まない
⑤実用化の際に予想される「給電スタンド」システムの製造・設置にともなう利用料は、上記コストには含まない。

(4)ドライバ-へのヒアリング結果
・外部電源式冷暖房装置
使い勝手などに特段の問題は無かった。各ドライバーにより個人差はあるものの、休憩・睡眠時の快適性(冷暖房装置による快適性、アイドリングストップによる静寂性)を確認することができた。

・給電スタンド
使い勝手などに特段の問題は無かった。利用者には、雨天時のコンセントの着脱操作に対する感電の不安感があったが、給電スタンドには標準仕様として感電防止機能(給電スタンドへのコンセント着脱時は電気を遮断)を装備しており、安心してご利用いただけた。

                                                                     以 上
外部電源式アイドリングストップ冷暖房システムの概念
外部電源式アイドリングストップ冷暖房システムの概念