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2005年07月27日

「外部電源式アイドリングストップ冷暖房システム」の実証試験開始について 〜アイドリングストップによりCO2排出量77%カット、燃料コストも約1/5に!〜

東京電力株式会社
日野自動車株式会社


 東京電力株式会社(本社:東京都千代田区 取締役社長:勝俣 恒久(かつまた つねひさ))と日野自動車株式会社(本社:東京都日野市 取締役社長:近藤 詔治(こんどう しょうじ))は、長時間エンジンをかけたまま待機する機会の多いトラックの冷暖房に、外部から直接電力供給を行うことによりアイドリングストップを推進し、環境負荷の低減を図る「外部電源式アイドリングストップ冷暖房システム」の開発を進めてまいりましたが、本年8月1日から来年3月末まで、東神トラックステーション(神奈川県大和市)[注1]において、同システムを利用した実証試験を開始することといたしました。

 CO2をはじめとする温室効果ガスや有害ガスの排出量の削減が求められる中、特に運輸部門においては、2003年度のCO2の排出量が1990年度比20.1%増加するなど、排出ガスの総排出量削減に向けた具体策が急務となっております。
これを解決するための有効な方策の一つとしてアイドリングストップが注目されていますが、ドライバーの仮眠や荷受け・荷降ろしまでの待機時間など、やむを得ずエンジンをかけたまま運転室内の冷暖房を使用し駐停車するケースがあり、長時間のアイドリングを効果的に抑制することが課題となっています。
こうした状況を踏まえ、環境性に優れた系統電力の強みを持つ東京電力と、物流に伴う環境負荷の低減をめざす日野自動車は、共同で、本システムの開発に取り組んでまいりました。

本システムは、運転席に設置する「外部電源式冷暖房装置」[注2]と、駐車場に設置し外部から冷暖房装置に直接電力を供給する「給電スタンド」(外部電源供給設備)で構成され、長時間の駐停車時にエンジンを停止した状態で冷暖房の使用が可能となります。
今回の実証試験では、国土交通省のご後援をはじめ、(財)貨物自動車運送事業振興センターならびに運輸事業者3社のご協力をいただき、東神トラックステーションの駐車場に3台の「給電スタンド」を設置するとともに、3社が所有する6台のトラックに「外部電源式冷暖房装置」を搭載し、実際に日々の運行業務において本システムを活用して、使い勝手など実用面での課題抽出や、課金システムの性能ならびに品質の検証などを行います。

本システムを利用してアイドリングストップを実施することにより、大型トラック1台で1時間あたり、CO2で約77%、NOxでは約97%の環境負荷低減効果(冷房時)[注3]が期待できるとともに、駐車場における排出ガスの発生がゼロとなり、騒音の低減も可能となります。
さらに、アイドリング時のトラックの燃料消費コストに比べて、本システムの電力消費コストは約1/5(冷房時)[注4]で済むことから、運輸事業者のコスト面でも大きな効果が期待できます。
 
東京電力と日野自動車は、今回の実証試験を効果的に実施し、システムのコストダウンを含め実用化に向けた取り組みを継続するとともに、今後は、冷暖房のみならず、冷凍庫や冷蔵庫を積載した車両への応用など、さらなる検討を進め、環境負荷の低減に貢献してまいります。

以 上



[注1]東神トラックステーション 
駐車スペース:トレーラー21台/大型車74台/普通車22台収容
所在地:神奈川県大和市上草柳588
運営・管理:(財)貨物自動車運送事業振興センター
 ※トラックステーションとは、トラックドライバーが、休憩、仮眠・宿泊、入浴、食事や業務上の連絡などの目的で利用できる施設で全国に40ヵ所点在。

[注2]外部電源式冷暖房装置
 冷房装置として、車両のエアコンとは独立したパッケージクーラーを運転席上部(屋根上)に搭載。供給電圧はAC単相200ボルトで、大中小型トラックへの後付け搭載も可能な汎用システム。なお、暖房装置は蓄熱マットと電気毛布を使用。

[注3]冷房使用中における環境性比較試算値は以下の通り。
(10tトラック1台のアイドリング1時間あたりの数値)
 
アイドリング時
系統電力使用時
削減量
削減率
CO2排出量
4.09kg
0.95kg
3.14kg
76.8%
NOx排出量
28.55g
0.75g
27.80g
97.4%

(算出根拠・出典等)
  ※大型トラック燃料消費量=1.56 L/h
 (油種は「軽油」で、10分間あたりの燃料使用量を1時間あたりに換算して試算、使用量は環境省HPより引用)
  ※冷房の消費電力は、「パッケージクーラー」の設計上の定格値2.5kWで試算
  ※系統電力のCO2排出係数=0.378 kg-CO2 /kWh、軽油のCO2排出係数=2.62 kg-CO2/ L
  (「地球温暖化対策の推進に関する法律施行令」の値より)
  ※系統電力のNOx排出係数=0.0003 kg-NOx /kWh
  (電気事業連合会 「環境とエネルギー 世界における日本の電気事業2004-2005」より)
  ※軽油のNOx排出係数=0.0183 kg-NOx /L
  (環境庁「環境活動評価プログラム(1999年9月)」より)

[注4]燃料消費コストと電力消費コスト比較の試算結果(冷房時)は以下の通り。
 (10tトラック1台のアイドリング1時間あたりのコスト比較)
   
アイドリング時
本システム時
業務用電力
1
燃料消費量(L/h)
1.56
-
2
電力使用量(kWh)
-
2.5
3
燃料単価(円/L)
87.9
-
4
電力料金単価(円/kWh)
-
11.08
5
コスト(円/h)
137.12
27.70

(算出根拠・出典等)
@ 燃料消費量:大型トラック燃料消費量=1.56 L/h
 (油種は「軽油」で、10分間あたりの燃料使用量を1時間当たりに換算して試算、使用量は環境省HPより引用)
A 電力使用量:「パッケージクーラー」の設計上の定格値2.5kWで試算
B 燃料単価:東京都トラック協会調べ(平成17年6月20日現在)
C 電力料金単価:「電気需給約款」供給電圧6kV・契約電力量500kW未満、業務用電力 
   ・夏季「7月1日から9月30日までの期間」料金による
   ・基本料金,消費税等相当額は含まない

 <本件に関するお問合せ先>

  東京電力株式会社  広報部
  電話03-4216-1111(代表)
  日野自動車株式会社  総合企画部
  電話03-5419-9320



別紙)「外部電源式アイドリングストップ冷暖房システム」実証試験の概要

1.実証試験概要
(1) 内容:
・東神トラックステーションに、大型車タイプの専用駐車スペース(3台分)を確保して「給電スタンド」(外部電源供給設備)を3台設置。
・運輸事業者3社のトラック6台に「外部電源式冷暖房装置」を搭載し、日常的に利用している東神トラックステーションにおける休憩時に、「給電スタンド」から外部電源供給を行い、アイドリングストップを実施。
・実際に、日々の運行業務において本システムを活用して、冷暖房の使い勝手など実用面での課題抽出を行うとともに、課金システムの性能(使用電力量や給電時間などのデータ管理)と品質面の検証を実施。


(2) 期間:平成17年8月1日〜平成18年3月末

(3) 場所:東神トラックステーション(神奈川県大和市上草柳588)

2.システムの概要
(1)装置:
@外部電源式冷暖房装置
・トラックの運転席上部(屋根上)にパッケージクーラーを設置し運転室内の冷房に使用。
・暖房用には電気毛布及び蓄熱マットを室内に装備。
A給電スタンド(外部電源供給設備)
・外部電源式冷暖房装置に対し、系統電力を供給する「給電スタンド」を設置。(幅:340mm 奥行き:312mm 高さ:1,500mm)


(2) 実証試験における課金システム
・非接触式ICカードを用いて利用者認証を行い、認証された利用者の情報を一時保持。
・給電スタンド利用後に、電力利用量などの情報を遠隔地に設置するサーバーに伝送(パケット通信)し、利用料金の算定ならびに請求処理を自動化。(実証試験では実際の請求行為はなし)
・給電スタンドの利用履歴は、給電スタンド設置者のみならず、インターネットにて利用者自ら確認が可能。
※ただし、本システムは現段階での暫定的なシステムであり、今後も技術開発動向を注視し、引き続き最適なシステムを検討予定。

3.実証試験体制
(1)システム開発
  ・外部電源式冷暖房装置:日野自動車株式会社
  ・給電スタンド(外部電源供給設備):東京電力株式会社

(2)開発期間
   平成14年7月〜

(3)実証試験協力
  ・財団法人貨物自動車運送事業振興センター 
  住 所:東京都新宿区西新宿1-6-1 新宿エルタワー19F
  理事長:小丸 法之(こまる のりゆき)
  *トラックステーションを運営・管理している組織

  ・国土交通省(後援)

以 上



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