ダカールラリー

2009年10月19日 2号車のテスト走行を実施

新潟県柏崎市特設コースにてテスト走行。
新たなるメカニックチームが発足。

ダカールラリー2010に参戦予定の日野チームスガワラは9月19日~20日にかけて新潟県柏崎市内の特設コースにて参戦車両「日野レンジャー」2号車(菅原照仁号)の走行テストを実施。改良部分の効果を確認して次回大会への手ごたえを得ると同時に取材に訪れた報道関係者に順調な進捗をアピールした。

今回のテストはオフロードレース用に特設された同市海岸沿いのコースを舞台に行われた。一周約1kmのコースは一面が湿り気のある重い砂地で、タイトコーナーやジャンプスポットも設定されるなど、ダカールラリー本番の中でも低速で高い負荷が掛かる区間に相当する。日野レンジャー2号車は次回大会に帯同する日野自動車ならびに販売会社メカニックによってテスト前日に日野本社内で組み上げられたばかりだったが、初期トラブルもまったく発生せず、菅原義正、菅原照仁両ドライバーによって精力的に周回が重ねられた。ダカール参戦車両は前回大会時にエンジン搭載位置を後退させミッドシップレイアウトを採用し、走破力・操安性向上の一躍を担ったものの、本戦ではオーバーヒートの兆候に悩まされ、冷却系の改良を施してテスト参戦した8月のラリーモンゴリアで十分な改善が残念ながら見られなかったことから、2010年大会に向けてはあえてフロントエンジン仕様に戻すことを決断。同時に新しいショックアブソーバーを採用することで、前後重量バランスがフロントヘビー傾向となるフロントエンジンに於ける操縦安定性の向上を図ることとした。このショックアブソーバーはオランダのレイガー社製で、ダカールラリーのトラック部門トップチームの採用例など高い実績を持つ。日野チームスガワラではすでにラリーモンゴリアを走ったミッドシップ仕様の1号車(菅原義正号)に装着して好印象を得ていたが、今回、フロントエンジン仕様でテストを行った結果、前回のミッドシップ仕様を上回る操安性を発揮。予想を上回る向上効果が確認された。また、オイルクーラーを強化したエンジン冷却系についても低速での長時間の高負荷走行を行った結果、水温・油温は常に正常範囲に保たれるなど改良部分が順調に機能していることが確認され、テストは首尾よく終了した。

なお、今回のテストには、メカニック5名とともに日野自動車内でダカールラリー参戦車両の開発に携わっている関係者約20名が帯同し、走行中の状態を確認するとともに、同乗試乗を行った。
今回テストに使用された2号車はこのあと駆動系部品の交換などを実施。1号車はモンゴルから帰還し、11月上旬のアルゼンチンへの船積みに向けて急ピッチでフロントエンジン仕様への変更など、多くの作業を短期間にこなすことになる。


折笠公徳 ダカール車両開発責任者 (日野自動車 技術管理部 部長)

今回のテストでは想定した通りの改良効果を確認することが出来て安心しました。また、私を含めて車両製作に携わっている社内開発関係者が、普段は走る姿を見ることのないラリー車に試乗し、新たな知見が得られたのはとても良かったと思います。これからも努力を続け「日野レンジャー」をより良いレーシングトラックに仕上げていきたいと考えています。

菅原義正ドライバー

前回大会では駆動系や冷却系のトラブルが相次ぎ、残念ながら思うような結果を残すことが出来ませんでした。次回に向けてはその対策を一つ一つ確実に行い、必ずみなさんの期待に応えたいと考えています。そのステップの一つである今回のテストではとても良い感触が得られました。我々にとって排気量10リットル未満の優勝は使命であり、その上で大型車のライバルを相手にトラックの総合順位でどこまで食い込めるかが勝負だと思っています。私も68歳での挑戦となりますが、微力ながらタバコも止め、ベストな状況でラリーに臨めるよう準備をしています。

菅原照仁ドライバー

新しいショックアブソーバーは日野レンジャー用にオーダーしたものでモンゴルの時から良い印象でしたが、今回フロントエンジンで乗ってみて、これならフロントヘビーの弱点を十分以上にカバーしてくれると感じました。2回目の南米大会は前回以上に難しいコースが設定されているようです。そうした区間こそ日野レンジャーが得意とするところなので、トラブルで止まらず、確実に走りたい。そうすれば結果はついてくるものと信じています。


■2号車(菅原照仁号)、2010年大会向けの改造大項目ほぼ終了 ~車両製作現場から~

モンゴルラリーでのテストの結果を受け、2号車の改造が8月末より日野工場の一角にて開始された。日野のメカニック5名も車両製作に加わり、夜遅くまで急ピッチに進められた。2号車の主な改造点はエンジン搭載位置を前方に変更し、それに係わるプロペラシャフト、シャシクロスメンバ、マフラーなどの製作。腕利きのメカニックによるその作業は妙技である。マフラーは現車合わせの手曲げスペシャル品、その曲線美はまさに芸術。
また、レイガー社製のショックアブソーバーの取り付けには、ブラケットの加工が急遽必要となったものの、瞬時に加工ポイントを割り出し換装してしまうのは匠の領域。オイルライン、ウォーターホース等に様々な計測器が取り付けられ、データ取りの準備も完了し、その他様々な改造を施し、満を持しての柏崎テスト走行に望むこととなった。


■メカニックチームの体制決定

本活動は、最高のパートナーTEAM SUGAWARAと日野が協業し遂行しています。日野側でのPJT総括を日野パリダカ事務局(総合企画部)、車両製作チーム統括を技術管理部、試作及び現場の整備統括を海外部品・サービス部、輸送を物流企画部、その他、事業同様、社内リソーセスを活用し実施しています。各統括を経由し日野グループはもちろん関係各社と連携を図り、車両製作を中心に着実に進行しています。7-8月に実施された厳正な選考を経て選出されたメカニックが、9月上旬より車両製作に参加しています。