ダカールラリー

2017.7.12 No. PD18-10

DAKAR RALLY NEWS hearder

 

ラリーモンゴリアに向けて1号車がシェイクダウン!

 菅原照仁ドライバーと杉浦ナビゲーターの2号車がシルクウェイラリーに参戦する一方、菅原義正ドライバーと髙橋ナビゲーターの1号車が、8月のラリーモンゴリア参戦に向けて日野自動車の茨城テストコースでシェイクダウンを行いました。ラリーモンゴリアにも長い参戦歴を誇る菅原義正ドライバーですが、同ラリーに日野レンジャーで参戦するのは、何と今年が初めてです!
 今回のダカールラリーニュースでは1号車のお二人に加えて、約20年ぶりにメカニックとしてチームに加わる、日野自動車の鷹取さんのコメントをお伝えします。

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悪天候をものともせず、力強い走りを見せる菅原義正ドライバーの1号車

 

菅原義正ドライバーのコメント

―1号車を運転してみた印象は、いかがでしたか?
 昨年までは、照仁がラリーモンゴリアに日野レンジャーで参戦していて、車の調整も彼の好みでやっていたので、僕はあまり意見を言わないでいました。でも、今年は僕が日野レンジャーで参戦することになったので、足回りの設定をはじめ、僕の要望を取り入れてもらいました。実際にこの車で走ってみて、これはもう、かなり良くなっていると感じました。

―今まで義正さんの1号車は、ダカールラリーでほとんど「ぶっつけ本番」だったということですよね!?
 そうです。そんなドライバーは世界で僕だけでしょう(笑)。オリンピックの選手だって、「ぶっつけ本番」という人はいないと思いますよ。ラリーモンゴリアにはジムニーで参戦していましたが、小さくて日野レンジャーとは全然違います(笑)。ラリーの感覚を掴むとか、そういうことでは良かったけれど。

―ラリーモンゴリアに向けて、意気込みを聞かせてください。
 ダカールラリー本番に向けて、今年は髙橋(ナビゲーター)と毎日、車のデータを取ったりします。モンゴルを走ることで、車のどこが良いのか、悪いのかを知ることができます。何でもそうですが長所と短所がありますから、長所を伸ばして短所を少なくしてあげるようにしたいと思います。

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シェイクダウンを行う1号車

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確かな手応えに笑顔の菅原義正さんと髙橋さん

 

髙橋貢ナビゲーターのコメント

―今年の1号車の、主な改良箇所とそのねらいを教えてください。
 主に、サスペンションの形式を見直しました。サスペンションは、路面の衝撃をタイヤなどと一緒に吸収して、乗員の負担を軽減してくれます。同時に、路面の情報をドライバーに知らせてくれたり、さらには車全体の剛性などにも影響を与える重要な要素です。今回の改良では、ドライバーから入念な聞き取りを行って、マルチリーフ式*1を採用しました。この方式は、テーパーリーフ式*2と比べて剛性が高く、アクスルやデフの動きを正確に規制するためのロッド(トルクロッド)などを必要としません。テスト走行の結果、ドライバーの印象も大変良かったので、早くこのサスペンションをモンゴルで試してみたいです。
 *1 マルチリーフ式  … 長さが異なる板バネを重ね合わせる方式
 *2 テーパーリーフ式 … 中央部分が厚く端部が薄い板バネを使用する方式

―2号車とは改良箇所が異なる部分もありますが、それぞれのドライバーに合わせているのでしょうか?
 はい。走行にかかわる部分、ナビゲーションにかかわる部分など、細部を見ると両車には異なる部分も多いです。乗員自体が車の作り込みにも参加していますから、それぞれが使いやすいように改良されています。

―髙橋さんから見て、菅原義正さんの運転の特徴や「強み」は、どのようなところでしょうか?
 義正さんは、音や振動、匂いなど、常に車の状態に全神経を集中させて運転しています。レースやラリーの経験値で、義正さん以上のドライバーはいないでしょうし、特に砂丘でのドライビング・テクニックは「芸術」のようです。さらに、絶対に車を壊さずにゴールさせるという執念にも似た想いや、それを応援する世界中のHINOファンの声援も、義正さんや自分を含めたチーム全員の「強み」ではないでしょうか。

―菅原義正さんと共に、8月のラリーモンゴリアに参戦するにあたって、意気込みを聞かせてください。
 ラリーモンゴリアに日野レンジャーで参戦できる事を、光栄に思っています。2号車のシルクウェイラリーでの走りに負けないように、全力を尽くします!

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今年の1号車は、前後ともマルチリーフ式のサスペンションを採用

 

鷹取英明メカニック(日野自動車 車両生技部)のコメント

―1997年、日野がトラック部門の総合1,2,3位を独占した年に、チームの一員として参戦されたそうですが、その時はどのようなことが一番印象に残っていらっしゃいますか?
 ラリーの序盤に起きた、ファンシュラウド*3の破損ですね。まさか、こんな所が壊れるとは思いませんでした。しかし、当時監督だった茂森さんの的確なアドバイスなどもあり、チームが一丸となってトラブルを解消して車をゴールへ導けたことが、今でも一番印象に残っています。
 *3 ファンシュラウド … 冷却ファンの先端からの気流の巻き返しを防ぐため、ファンの先端と間にわずかな隙間を空けたリング状の部分。

―1997年と比較すると、現在はチーム体制などが変化していますが、どのような点が一番変わったと感じますか?
 当時は3台で参戦していましたが、そのうち2台のドライバーをフランス、オーストリアの方が担当していました。また、ナビゲーターは1台を除いて2名ずついましたので、ドライバーを含めて1台あたり3名の体制でした。現在は2台とも2名体制ですが、ドライバーとナビゲーターの知識、技能、技量の向上と、何より経験の積み重ねによって、 上位のライバルチームに引けを取らない体制に至ったのだと思います。

―菅原義正さんと共に、8月のラリーモンゴリアに参戦されますが、今の率直な気持ちを聞かせてください。
 以前にもメカニックとして参戦した経験があるとは言え、当時と現在では車の構造や機能などに多くの変化点があり、正直に言って不安はありますが、短期間でいろいろな事を身に着けて不安の無い状態でレースに臨み、菅原義正さんと髙橋さんが安心・安全に走れる車づくりやメンテナンスを行って、優勝に導けるように頑張ります!

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1号車の前でガッツポーズをとる菅原義正さんと鷹取さん(右)

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1号車に付けられたラリーモンゴリアのプレート