ダカールラリー

2017.6.29 No. PD18-08

DAKAR RALLY NEWS hearder

 

過酷なラリーをチームワークで乗り越えていきたい
― 夏季実戦テスト直前メカニックインタビュー ―

今回のダカールニュースでは、選考会を経て日野チームスガワラに合流した4人の販売会社メカニックの皆さんと、メカニック・サブリーダーの岡部さんに、夏季実戦テストを控えた率直な気持ちやダカールラリーへの思いなどを語っていただきました。

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後列左から、髙野雄生さん(群馬日野自動車)、澁谷亮太さん(神戸日野自動車)、木下大樹さん(横浜日野自動車)
前列左から、岡部陽一さん(日野自動車 車両生技部)、山内愛一朗さん(富山日野自動車)

―まず初めに、日野チームスガワラのメカニックに応募したきっかけを教えていただけますか?

山内:私は、以前は宮城日野で働いていました。その時に教えて頂いた先輩がダカールラリーの参戦経験を持つ方で、「いつかその人を越えたい。」という思いから、今回応募しました。

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澁谷亮太さん(神戸日野自動車)

澁谷:神戸日野自動車に入社した時にダカールラリーを知り、「いつかは自分もそこに挑戦したい。」と思うようになりました。神戸日野からダカールラリーに参戦したメカニックがいなかったので、「ダカールラリーへ挑戦する道を自分が切り開きたい。」という思いもあり、今回応募しました。

木下:ちょうど日野レンジャーがパリ・ダカールラリーに参戦し始めた頃、私は中学生で、その頃からダカールラリーをテレビで見ていました。ダカールラリーは憧れの舞台でした。横浜日野自動車に入社し、ダカールラリーに出場できるチャンスが目の前にある、という状況になりましたが、仕事や家庭等の都合で一時は諦めていました。しかし年齢を重ねるにつれこのまま諦めていいのかという思いがどんどん強くなり、「昔憧れたダカールラリーという場に自分が立ちたい。そして憧れられる立場になりたい。」と思ったのが一番のきっかけです。

髙野:父も整備士をしており、オフロードのラリーがとても好きなのですが、その父の影響で、小さな頃から、ダカールラリーや日野レンジャーのことは知っていました。ダカールラリーに参戦することが私と父の夢になり、その夢を叶えるために群馬日野自動車に入社し、入社当初から「ダカールラリーに参戦したい。」と上司にアピールを続けました。今年入社10年目にして、ようやくその希望が通り、応募しました。

―5月下旬に行われた選考会を経て、参戦が決定した時のお気持ちはいかがでしたか?

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髙野雄生さん(群馬日野自動車)

髙野:年齢的にも若く、自分でもまだまだ未熟な部分があると 思っていたので、まさか自分が選ばれるとは思っていませんでした。 夢が叶うことを嬉しく思うと同時に、レースに携わるという責任の重さと事の重大さをかみしめています。

木下:まずは、率直に嬉しかったです。それと同時に、「自分にできるのだろうか。」という不安も出てきました。嬉しさと不安と興奮が入り混じった、自分でもよくわからない気持ちでした(笑)。

山内:今回、参戦が決定し、まずは嬉しいと思いました。それと同時に、本当に自分に務まるのか、という不安がありました。ただ、「やるからには頑張ろう。」と決意しました。

澁谷:ずっと夢にみてきた舞台だったので、素直に嬉しかったです。仕事中に支店長から「おめでとう!受かったよ。」というお言葉を頂いた時は、嬉しすぎて少し泣きました(笑)。

―6月5日からチームに合流されましたが、チームの状況はいかがですか?また普段整備されている車とレース用の車では、異なる部分が多いと思いますが、整備の面ではいかがでしょうか?

澁谷:お互い尊重し合える最高のチームを築けるのではないかと思っています。整備の面ですが、シルクウェイラリー、モンゴルラリー、ダカールラリーと、悪路での走行をイメージしながら整備をしなければならないので、日々勉強で苦労しています。

山内:まだはじまって2週間ばかりなのですが、皆さんに助けられて何とか頑張っています。車は、日野の市販車の構造の部分とそれ以外の構造をしている部分が入り混じっているため、市販車以外の構造をしている部分の勉強を重点的にやっていく必要があるなと感じています。

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木下大樹さん(横浜日野自動車)

木下:今、販社メカニックの皆さんと一緒に寮生活をしています。まさに同じ釜の飯を食う生活をしているので、その中でチームワークを築けていければいいなと思います。私は他の3人より少し年上で不安があったのですが、そのようなことを気にせずにいられる素晴らしい3人と出会えました。このチームなら絶対に上手くやっていけると思います。整備面ですが、普段仕事で扱っている車とは異なる特異な車なので、戸惑う部分があり、日々勉強です。すべて頭と体に叩き込み、レースではしっかり対応できるように頑張りたいと思います。

髙野:私はこの中で一番年下なのですが、3人の先輩メカニックに は本当に色々な内容を教えて頂いています。木下さんには、ラリーでの車の動き方や構造、山内さんには電気的な部分の構造、澁谷さんには溶接を教えて頂くなど、自分が今まで経験したことのない内容を教えてくれるので、本当に勉強になっています。チームワークはバッチリだと思います。整備の観点ですが、普段整備している市販車の動きは、10年携わり、理解していますが、ラリー車はそれとは異なり、驚くことが多く、そこを想像しながら車を作っていくということへの難しさと楽しさを感じています。

―7月8日からシルクウェイラリー、8月13日からはラリーモンゴリアと、さっそく過酷な2戦のレースを控えていますが、現在の率直な気持ちを教えて頂けますか?

髙野:私は、小学校、中学校の6年間バスケットをやっていました。また、この中で一番年下なので、体力的な部分では頑張れると思います。レースの経験はないのですが、その分、他の方々のサポートや元気な声掛けなど、チームの良い雰囲気を作れるよう、頑張っていきたいと思います。

木下:やはり不安な部分は多いですが、未知の世界に行けると思うと、楽しみです。どのような場所か想像を超えているのですが、ただ、やるからには決して弱音は吐かず、自分の力を全て発揮して頑張ろうという気持ちでいっぱいです。

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山内愛一朗さん(富山日野自動車)

山内:微力ですが、やるからには上位をめざして尽力したいと思っています。

澁谷:食べ物はあうのか、実際に自分にできるのかなど、いろいろな面で、正直不安な気持ちは強いです。ただ、今、販社メカニックのこの3人と過ごしてきて、「この人たちとなら乗り越えていける。お互い助け合える。」と思っています。助け合い、やるからには上位入賞を目指して、皆で戦っていきたいと思っています。

―ダカールラリー2018に参戦するメカニックとして、この一年の目標はありますか?

澁谷:厳しい環境の中で自分を置き、自分自身を更に成長させたいですね。何事にも諦めずにストイックに挑戦し、精神面を鍛えたいと思います。

山内:更なる自己向上をしたい、と思っています。自分が経験したことのない作業がたくさんあり、それを学べる環境があるので、メカニックの皆さんや、JRMの皆さんなどチームのメンバーが持つ知識や技術を貪欲に習得したいと思っています。そして、人間として一回り大きくなって帰りたいです。
※JRM(日本レーシングマネージメント株式会社の略)

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木下:極限の状態で自分がどこまでやれるのか、今まで培ってきた技術で自分に何ができるのか、挑戦してみたいと思っています。一年間諦めずに、すべての力を出し切るというのが目標です。また、自分が挑戦している姿を家族に見せたいという思いもあります。中2の娘はバレーボール、小4の息子は空手と、私の子供はそれぞれスポーツをしているので、自分の頑張る姿、あきらめない姿を見せることで、そこから何かを感じ、今後の人生に生かしてもらえれば、と思っています。

髙野:「全員安全に怪我なく帰る。」というのが一番の目標です。私はせっかちな部分があるのですが、本番では一呼吸おいて周りを見て、誰もケガをしないしさせない、そんな仕事がしたいなと思っています。

―ダカールラリーに参戦するメカニックに決定し、ご家族の反応はいかがでしたか?

木下:妻は、「家のことは心配しなくてよいので、思い切り頑張ってきて!」と背中を押してくれ、すごく気持ちが楽になりました。とても感謝しています。娘は、あまり関心のない感じだったのですが、娘の友達から、娘が「お父さんの夢が叶うんだ。」という話をしていた、ということを聞きました。「本当は嬉しく思ってくれているのだな。」と思うと、少しうるっときました。息子は、まだ少し小さいので、「お父さんと遊べなくて寂しい。」と言っているのですが、私が参戦することになって、ダカールラリーのパンフレットや動画を見るようになり、ダカールラリーのファンに染まってきているなという気がしています。

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髙野:整備士の父は、結構頑固で職人肌なので、「風邪ひくなよ。」としか、声はかけてくれませんでした。でも、「本当は嬉しいと思っている。」ということを母伝いに聞きました。また、弟が二人おり、一人は整備士で、もう一人は、公務員なのですが、弟もダカールラリーの存在は昔から知っているので、動画を見るなど、本当に嬉しく思ってくれています。それに、何よりも妻が心から応援してくれているので、非常に嬉しく思っています。

山内:妻に「ダカールラリーの選考会に受かったよ。」という話をしたところ、妻なりに心配な面はあったようですが、「やるからには全力で頑張って。」と送り出してくれました。

澁谷:私は、昨年の11月に結婚をしたのですが、妻には、結婚する前から「ダカールラリーに行きたい。」という意思を伝えていました。しかし、今回のダカールラリーの選考の直前に、妻の妊娠がわかり、ダカールラリーに挑戦したい気持ちと、大事な時期に家を空けてしまってよいのか、という気持ちの狭間で、正直とても悩みました。素直にその気持ちを妻に相談したところ、「よかったね!行っておいで!」と、とても明るく後押ししてくれました。そのおかげで、ダカールラリーに挑戦することができるようになり、本当に妻には感謝しています。

―群馬日野自動車、富山日野自動車、神戸日野自動車からは、初めてダカールラリー参戦メカニックが選出されました。職場の上司や先輩からはどのような声をかけられましたか?

髙野:参戦が決定して、上司からは「本当におめでとう。群馬日野自動車の代表として、自分の悔いのないように全力で頑張って来い。」と言っていただきました。また、私は現場から長期間抜けてしまうのですが、職場の先輩からも「本当に、頑張ってこいよ。」言ってもらいました。

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山内:結果発表の際に常務から言われた言葉は、一生忘れないと思います。現場も「精一杯やってこい。」といってくれました。

澁谷:出向直前に、上司が壮行会を開いてくれました。「神戸日野から参戦するのは初めてで、わからないことだらけだと思うが、まずは無理せず、頑張ってこい。」と温かく送り出してくれました。忙しい中で送り出してもらい、職場には感謝しています。

―横浜日野自動車からは5人目の参戦ですが、以前に参戦されたメカニックの方々から何かアドバイスはありましたか?

木下:ダカールラリーのメカニックの選考会に応募する際から相談したのですが、4者4様で、言っていることがばらばらでした(笑)。技術についてのアドバイスよりも、過酷な状況をいかに乗り切るか、という精神面、生活面でのアドバイスが多かったですね。そのような点が、やはり皆一番苦労した部分なんだな、と思いました。

―皆さんにとってダカールラリーとは何ですか?

髙野:夢であり、挑戦です。

木下:昔からの憧れの場です。昔、パリダカ時代、サハラ砂漠を越えていく様子がテレビで毎日中継されていたのをずっと観ていました。とにかく憧れていて、ずっと一ファンだったのですが、横浜日野自動車に入り、憧れから目標に代わり、そして今、現実になってきた、という状況です。

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澁谷:日野のメカニックは誰もが一度はあこがれる場所だと思います。

山内:挑戦の場だと思い、やってまいりました。あとは、先輩が「一番自分を試された場だ。」という話をしていたので、試練の場だと思い、そこに挑戦したいと思って、来ました。

―メカニック・サブリーダーの岡部さんへ質問です。販売会社メカニックの4人が決定し、チーム全員が揃いました。チームワークはいかがですか?

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岡部陽一さん(日野自動車 車両生技部)

岡部:販売会社メカニックの4人は、お互い助け合えるメンバーで、私の目から見てもとても仲が良いです。また、私も早く皆さんと溶け込みたいと思い、メンバーを「○○ちゃん」と呼び、壁を作らないようにしています。髙野さんは「髙ちゃん」、木下さんは「木のっちゃん」、山内さんは「山ちゃん」、澁谷さんは「澁ちゃん」です。岡部は「べーさん」と呼んでもらっています!早く打ち解け、チームワークをよくしていきたいですね。

―岡部さんは、昨年シルクウェイラリーに参戦していますね。レースの経験者として、4人に何かアドバイスはありますか?

岡部:「いつもと環境が違う」「限られた道具しかない」「時間に追われる」という状況の中で、最初はどうしても整備の段取りに手間取ってしまいます。点検整備シートはあるのですが、最初はその流れがつかみきれずに、皆が右往左往し、うまくかみ合わない、という状況が去年のシルクウェイラリーで起こりました。今年は、日本で点検整備シートに沿って実車で練習をしました。シルクウェイラリーのスタート前にモスクワでも整備をするので、レース本番では、環境は異なりますが、作業の流れはスムーズになると考えています。もし、不安な事や、疑問があれば躊躇せず、私に何でも話して下さいね!

「限られた道具しかない」に関しては、普段、販社さんで自分が使いやすい道具を使用していると思いますが、ラリーでは必要最低限の道具しか用意していません。用意している道具を把握し、上手く組合せる事で作業効率がアップするので、メンバーで情報共有して整備をスムーズにしましょう。

「時間に追われる」に関しては、車両がラリーから帰って来た時間から出発までの時間を計算して整備を行います。故障などのトラブルが無ければ問題なく整備を終えるのですが、昨年は車両の亀裂やトランスファーギヤの破損、リーフスプリングの折損などトラブルが多く、時間に追われました。また、シルクウェイラリーでは西から東へ移動する為、時差の影響が大きいです。とある日は、時差の影響で整備時間マイナス3時間になる事もありました。今年も間違いなく時差の影響を受けるので、安全に、早く、楽に、確実に作業ができる様に、みんなで知恵を出し合い、チームワークで乗り切りましょう!

生活面では、私事ですが、去年のシルクウェイラリーで食事が合わず、ラリー中にお腹を壊しました。我慢してレースを続けていましたが、結果、メンバーに迷惑を掛けてしまい間違いであると反省しました。体調に変化があった時は、すぐに申し出てもらい、状況によってはドクターに診てもらう事が大切です。 それと、レース中は誰もが冷静さを失います。メカニックリーダーの鈴木さんのようなべテランの方でさえ、冷静さを失ってしまう時があるくらいです。だからこそ、辛いときは我慢せず、意見や考えを吐き出してストレスを解消しましょう。そしてみんなで笑い合い、楽しく実のあるラリー生活にしましょうね! メンバーみんなでお互いに盛り上げ、HINO TEAM SUGAWARA一丸となって頑張りましょう!