ダカールラリー

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2014年3月14日

日野チームスガワラがダカールラリー2014「クラス5連覇」を報告

―「世界一過酷なラリー」に挑戦を続けるチームへ鳴り止まぬ拍手―
 

 ダカールラリー2014で「トラック部門・排気量10リッター未満クラス5連覇」と、初参戦以来の「23回連続完走」という快挙を成し遂げた日野チームスガワラが、3月12日に日野自動車の本社で報告会を開催し、総勢200人の来場者と喜びを分かち合いました。


報告会終了後にチームメンバーと記念撮影

 

 報告会には、チーム代表兼1号車ドライバーの菅原義正さん、2号車ドライバーの菅原照仁さん、ナビゲーターの羽村勝美さん、杉浦博之さん、メカニックリーダーの鈴木誠一さん、同サブリーダーの末永健司さん(日野自動車 車両生技部)、メカニックの田村博明さん(東北海道日野自動車)、瀬沼礼代さん(横浜日野自動車)、富家忠彦さん(滋賀日野自動車)、エンジニアの名越勝之さん(日野自動車 エンジン設計部)、そして日野自動車の市橋保彦社長が出席しました。

 まず市橋社長がチームの栄光を称え、協賛会社からいただいた支援に感謝を述べました。続いて、菅原照仁さんが2014年大会のコースの特徴や日野チームスガワラの戦いぶりを報告した後、メカニックサブリーダーの末永さんがレース中の体験談などを紹介。最後に、72歳にしてなお「世界一過酷なラリー」に挑戦を続け、今回も見事完走を果たした“ダカールの鉄人”菅原義正さんが、早くも来年のレースに向けた抱負を述べました。

 13日間におよぶ日野チームスガワラの熱戦・熱闘ぶりを伝えるハイライト映像※も上映され、日野レンジャーが砂埃を巻き上げて果敢に砂丘を越えてゆく大迫力のシーンには、協賛会社や日野の役員・社員など総勢約200人の来場者からの拍手が鳴り止みませんでした。

 ※ハイライト映像はこちらでご覧いただけます。
  http://www.hino.co.jp/dakar/gallery/video1.html

 

日野自動車・市橋社長
ラリーで培った技術力とチームワークを、クルマづくりやサービスに活かす

 本日こうして、日野チームスガワラのレース結果をご報告できることを、大変嬉しく思います。今年のダカールラリーでは、菅原照仁さんが「排気量10リッター未満クラス」で5連覇を達成するとともに、菅原義正さんと親子でワン・ツー・フィニッシュという快挙を成し遂げました。また、日野として1991年に初めて参戦して以来、連続23回の完走記録を更新いたしました。これもひとえに、協賛会社の皆様方のご支援・ご尽力の賜物と、深く敬意を表する次第です。また、社員の皆さんの協力と応援あってこその結果です。心よりお礼を申し上げます。

 日野自動車の使命は、「人、そして物の移動を支え、豊かで住みよい世界と未来に貢献する」ことです。「世界一過酷」と言われるダカールラリーに挑戦を続けることは、この使命を果たすためにクルマづくりとサービスの技術力、そして「チーム日野」としての結束力を高めることにつながります。私は、日野がダカールラリーで培った技術力とチームワークを、人々の生活を支えるクルマづくりやサービスに活かし、世界中の皆様のお役に立つことで、日野を支えてくださっている方々に、恩返しをさせていただく所存です。

 

2号車ドライバー・菅原照仁さん
皆さんに「レンジャーが速くなった!」という場面をお見せしたい

 ダカールラリーが南米に移って6年目になりますが、スタートして2、3日で「今年のコースは大変だ」という声が他のチームからもあがっていました。距離が長くなっただけでなく、コースの難易度も高くなったのが今年の特徴で、結果として全体の完走率も低くなり、去年は67%でしたが今年は48%と半分以下でした。そのような中で、我々のチームの成績は10リッター未満クラス1位・2位と、目標にしていたワン・ツー・フィニッシュを達成することができ、クラス5連覇も果たして喜ばしい結果だったと思います。総合順位も、僕が乗った2号車は去年19位でしたが、7位あがって12位になりました。

 レース前半のハイスピードのコースでは埃がものすごく、皆が同じ場所を同じ方向へ走るので、埃をかぶりながら見えないところでアクセルを踏んでいる状態です。大きな穴に落ちてしまうリスクがある一方で、スピードを緩めればライバルに抜かれてしまう、そのような状況でいかに車を速く走らせるかがカギになります。

 また、アフリカと違うのが、非常に標高の高いアンデス山脈にコースが設定されていることです。SS(競技区間)で約3800mと富士山よりも高く、リエゾン(移動区間)では約4700mと、さらに高いところを走ります。登りはエンジンに負荷がかかり、下りはブレーキを酷使するので、車にとってもドライバーにとっても、非常に神経を使うところです。狭い崖の道も多く、このような場所では差がつきにくいのですが、一度落ちてしまったら奈落の底というリスクがあります。実際に崖の高さは100mくらいあるので、かなり危険な場所です。岩盤地帯だけの場所をずっと走っているようなところもあり、行ったことはないのですが月の表面を走っているような感じです(笑)。

 砂漠は、アフリカに負けないくらい大きな砂丘があり、そこを延々と登って行きます。エンジンのパワーがあると有利なのですが、テクニックが必要な場所でもあり、他の車が砂に埋まっている間を走り抜けて行くには経験値が必要で、そういう部分が我々の得意とするところです。今後は、エンジンのパワーを向上させるので、こういうところでもきっちりとタイムをつめていきたいと思います。

 今回、A09Cエンジンを搭載して車の加速度はついたので、次回はサスペンションを煮詰めて、他にもいろいろな改良を加えていけば、ライバルの大型トラックと互角に戦える車になると思います。「10リッター未満クラス6連覇」を視野に入れつつも、総合上位に日野自動車のマークが来るということは我々の悲願でもありますので、ライバルに追いつけ追い越せで、皆さんに「レンジャーが速くなった!」という場面をお見せしたいと思います。楽しみにしていてください。

 

メカニックサブリーダー・末永健司さん
「皆が応援してくれているから、無様な姿は見せられないぞ!」

 私たちメカニックは、レンジャーより先にビバークと呼ばれる宿泊地に到着し、受け入れ態勢を整えます。睡眠はサポートカーの移動中にとるのですが、ひとたび衛星電話が鳴ると「レンジャーのトラブルか!?」と飛び起きてしまいます。幸運にもトラブルらしいトラブルもないので、また寝ればいいのにこれが寝れないんです…

 大きなトラブルがなかったとは言え、日々の作業は大変でした。まず、選手からのオーダーを聞き、点検をしてその日の整備作業決めて、分担して出発時間前までに終わらせて、レンジャーを見送って次のビバークに向けて私たちも出発する、という繰り返しです。「整備するぞ!朝までに終わらせるぞ!」と、やる気は十分あるのですが、レースも後半になると蓄積した疲れ、眠さ、時には寒さに勝てずに、小さなケアレスミスが出始めます。「このままでは大きなミスや事故が起きるぞ」というときには、メカを集めて休憩をとるようにしていました。休憩中に、ホームページへ頂いた応援メッセージを読んでいましたが、これが本当に心の支えになって「皆が応援してくれているから、無様な姿は見せられないぞ。頑張るぞ!」というように、作業にハリが出たり、動きが良くなったりと力が出るんです。

 そのような13日間はあっという間に過ぎて、2台のレンジャーと全員が揃ってゴールを迎えました。セレモニー会場はお祭り騒ぎで、私たちもキャブの上に乗り多くの観客へ手を振るのですが、今までのとてつもない苦労が全て楽しい思い出に変わるのを実感しました。同時に、一緒に戦ってきたメカニックや選手、サポートスタッフはもちろんのこと、アルゼンチンやチリでお世話になった方々や、遠く日本で応援してくれた皆さんへの感謝の気持ちでいっぱいになりました。

 ダカールラリーに参戦して、本当にたくさんの人が関わっていることに驚きました。こうして、ひとつの目標にむかって日野グループの社員のみならず、仕入先の皆さんが一丸となることで「レンジャーは走ることが出来るんだ!私たちはラリーに出られるんだ」と、改めて実感しました。このレースで得た経験を次回に少しでも生かせるように、職場や多くの人たちへこのレースでの経験を伝えて恩返しをしたいと思います。本当に、ご協力とご支援をいただき、ありがとうございました。

 

チーム代表兼1号車ドライバー・菅原義正さん
来年は、もっともっと速い車にしたい

 今年も沢山の方に応援していただき、本当に感謝しています。次回のレースに向けて、具体的なことはまだ決まっていないのですが、帰国後に何回もワーキンググループと打合せを行って、骨格は決まってきました。

 今回、A09Cという9リッターのエンジンを載せたのですが、非常に快調でした。去年はオーバーヒートに悩まされましたが、今年は全然そのようなことはありませんでした。ただ、エンジンだけが大きくなっても足=サスペンションがついてこない。2、3日走ってみて、動力が地面に伝わらなかったり、底突きがあったりという感じでしたが、ある程度は予想をしていたので、現地にマルチのリーフスプリングを持って行き、ラリー中に交換してもらいました。このようなことをしているから、メカさんが眠れないわけなのですが(笑)、実際アッセンブリを交換するのは大変で、その後も毎日毎日、朝までかかって作業をしてくれました。13日間ほとんどテストという感じでしたが、最終的には自分の考えていた80%の結果が出ました。

 次回はエンジンを今の600馬力から、700馬力くらい(笑)までチューニングできればいいなと思っています。サスペンションもいろいろなアイデアを考えているところで、来年はもっともっと速い車にしたいと思います。

 少し余談になりますが、今回は2つ思い切ったことをしました。1つ目は、ムーンクラフトという会社の由良拓也さんと一緒に、空力の改善に取り組んだことです。由良さんは、日本では空力の第一人者ですが、「トラックはやったことがない」と大変興味を持っていただき、10分の1の模型をつくってテストをしました。その結果、キャブの前にヒサシを付けると空力が10%くらい改善することがわかり、実際にラリーで走ってみて非常に効果があることを実感しました。さらに、整流された空気をヒサシの後ろにあるインタークーラーに当てて、冷却効率を上げる工夫もしました。

 2つ目は、オートバイのチューニングで有名なヨシムラジャパンという会社に、日野のエンジニアが意見を聞きに行って、一緒にコラボをしたことです。僕が若い頃には、トラックの開発者が「オートバイとトラックのディーゼルエンジンは違う!」などと頭ごなしに言っていたものですが、今の若い人はそういう垣根を越えて、お互いに尊敬しながらやっている。そういうのは、とってもいいことだと思いますし、僕自身もいい経験をさせてもらいました。

 来年も、クラス6連覇を目指して頑張りますので、応援をよろしくお願いします。

 

 連日のレースの様子を詳細に伝える「デイリーレースレポート」はこちら
  http://www.hino.co.jp/dakar/latest_news/index.html