日野環境チャレンジ2050

環境報告

特集:お客様に選ばれ続けるトラックを目指して~新型「日野プロフィア」、「日野レンジャー」について~

純国産トラックの誕生から100年を迎えた2017年、日野自動車は大中型トラックをモデルチェンジし、発売しました。
大型トラック「日野プロフィア」は14年ぶり、中型トラック「日野レンジャー」は16年ぶりの新型となります。

お客様に「いつかは日野プロフィアに乗りたい」「中型を選ぶならやっぱり日野レンジャー」と思っていただくため、環境性能はもちろんのこと、安全性やデザイン、居住性の向上を目指した最新技術を搭載しております。

本レポートではそのような新型トラックの環境面、安全面の特長を中心に、開発に込めた想いを含め特集記事にまとめます。

車両開発における日野の考え方

日野自動車は、 トラックの環境性能、安全性、居住性などの魅力を大きく向上させることで、ドライバーの皆様に「日野のトラックに乗りたい」と感じていただけることを目指しております。

お客様に選ばれ続けることは商用車メーカーにとって有意義なことであり、満足いただけるトラックを選択することが事業発展のキーファクターになると考えております。

「人に、環境に、社会にやさしい日野のトラックを選んでいただき、日野のトラックに関わる多くの方々が豊かで幸せになる」そのような輸送ビジネス業界の将来を私たちはイメージし、開発を進めております。

環境技術紹介

ますます厳しくなる排ガス規制、燃費規制等の社会要請への対応、そしてお客様のニーズを踏まえ、地球環境にやさしくお客様のエコドライブに貢献できるトラックを開発しました。

(1)環境にやさしいエンジンの採用
新A09Cエンジン(プロフィア)
新A09Cエンジン(プロフィア)
新A05Cエンジン(レンジャー)
新A05Cエンジン(レンジャー)

「日野プロフィア」の380PSエンジンは13Lエンジンに替えて新開発のダウンサイジング9Lエンジンとし、世界初の空冷インタークーラー2基搭載、2段過給システムとし、過給効率を飛躍的に向上させると共に、摩擦抵抗を軽減するディンプルライナーなどを採用し画期的な低燃費を実現しました。

「日野レンジャー」にも同様に従来の7Lエンジンに替えて新開発ダウンサイジング5Lエンジンを全面展開し、超高圧燃料噴射、2段過給、ディンプルライナー、油温、油圧コントロール等の技術と合わせ高トルクなエンジン特性により低燃費を実現しました。

ディンプルライナー:
ピストン摺動部のシリンダーライナーにディンプル(窪み)を作ることで摩擦抵抗を低減

燃費量の削減率

さらにエンジンと排ガス後処理装置(DPR:Diesel Particulate active Reduction system)の改良により、燃費を向上させながら排出ガスを一層クリーンにし、平成28年排出ガス規制に適合させました。「日野プロフィア」は平成27年度燃費基準+10%達成車を新たに設定、「日野レンジャー」は同+5%の達成車型数を拡大しました。

DPR-Ⅱ
DPR-Ⅱ

日野レンジャー(210PS・190PSエンジン搭載車)は、尿素フリーにて厳しい平成28年排出ガス規制をクリア。
第1マフラでは、PM浄化と低温領域でNOxを浄化する機能を持っており、第2マフラには中高温領域でNOx浄化性能を有する新たに開発した新NOx触媒を搭載しました。
第一マフラの後端に燃料添加弁を搭載、第2マフラー内にある触媒のNOx浄化反応に必要な燃料を添加します。

(1)お客様のエコドライブ支援

新型トラックはどなたでも簡単にエコドライブができる製品を目指し、以下エコドライブ支援ツールを標準搭載しました。

Pro Shift(機械式自動変速機)によるギヤチェンジサポート

お客様のエコドライブを実現するため、適切なギヤチェンジにより、場面場面に応じた適正なエンジン回転域を保つことが必要です。

Pro Shiftはギヤチェンジを燃費効率が良いグリーンゾーンで自動的に行うなど省燃費走行、そして走行状況に合わせた走行が可能で、経験の浅いドライバーでも、エコ優良ドライバーのような運転が可能になります。

Pro Shift の主な機能例
Pro Shift の主な機能例
マイドライブマスターによるタイムリーな運転状況確認

運転中に、運転状況をタイムリーに表示することで、常にエコドライブを維持することが可能となります。
マイドライブマスターは事前にお客様にエンジン回転数やアイドリング時間等を設定いただくことで、設定値を超えた場合に表示と警報でドライバーに知らせ、エコドライブの定着に貢献いたします。

エコドライブ状況の解析結果(エコツリーレポート)提供

日野自動車はお客様のエコドライブ支援を更に進めるため、燃費や車速などエコドライブ状況の解析結果等をまとめた「エコツリーレポート」を提供しております。

エコドライブ支援

新型日野プロフィア・日野レンジャーは車両に通信機を搭載し、ICT(情報通信技術)を活用し車両稼働情報を収集します。これによりエコツリーレポートのタイムリーな発行が可能になりました。
お客様が自らの運転状況を振り返ることで、優良ドライバー育成にも貢献できればと考えております。

安全技術紹介

トラックによる交通事故の内訳を見ると、「車両同士の事故」が約半数を占め、歩行者を巻き込む「人身事故」も約3~4割発生しております。

商用車メーカーにおいてもこれら交通事故を未然に防ぐ対策が不可欠となってきており、お客様の一層の安心・安全な運転のため、以下のような機能をこのたびの新型トラックに搭載いたしました。

PCS(プリクラッシュセーフティ)の改良
PCS(プリクラッシュセーフティ)

車両同士の追突事故に加え、歩行者を巻き込む人身事故を未然に防ぐため、PCSは機能を向上させ、停止車両や歩行者を検知して衝突回避を支援する事が可能となりました。

ドライバーモニターによる前方不注意防止
ドライバーモニターによる前方不注意防止

安全不確認や脇見運転など、ドライバーの運転時の不注意が原因で多くの交通事故が毎年発生しております。

日野自動車はこのような交通事故を少しでも減らすため、時速60km/h以上で走行する際のドライバーの顔の向きやまぶたの開閉状態などをモニターで常時確認する「ドライバーモニター」を搭載しました。
仮にドライバーの前方不注意を検知すると警報を発し、更に衝突の可能性ありの場合はPCSを早期に作動させることで、交通事故の予防に貢献します。

可変配光型LEDランプによる夜間運転サポート(大型トラックOption)

ハイビームはロービームに比べ2倍以上の前方距離を照らすことができますが、先行車や対向車も強い光で照らしてしまいます。

日野自動車は、先行車や対向車の幻惑防止のため、車両を感知すると配光を自動的に制御する「可変配光型LEDランプ」を搭載しました。
夜間の視界が良好になり、ドライバーのヒヤリが削減されます。

>可変配光型LEDランプによる夜間運転サポート

今後の展開

今後の展開

トラックは一般的な乗用車よりも走行距離、および運転時間も長くなります。

今回のモデルチェンジでは、環境面・安全面双方において新機能・新技術を標準装備として増やしています。

お客様の運転をサポートし、一歩先を見据えた製品として開発を進めてまいりました。

これからもお客様に寄り添いながら、一層厳しくなる環境規制や交通事故防止のニーズに応えつづける製品を開発し、「お客様に選ばれ続けるトラック」の提供を通じて、社会貢献を推進してまいります。

Voice

ドライバーが「乗りたい」と感じる車を作りドライバーや運送会社を支えることにこだわりました。
司会者:今回のモデルチェンジで、環境対応やCSRの観点から注力された点はどこですか。
渡邉:
環境対応については、大型トラックも中型トラックも、ますます厳しくなる排ガス規制への対応に努めました。大型ではすでに搭載していた排ガス後処理システムを更に改良し、排出ガス低減に繋げたのもその一環です。
佐藤:
平成28年排出ガス規制の後処理装置として「DPR-Ⅱ」と呼ぶ尿素フリーシステムを低馬力仕様に採用しました。中型トラックはレンタカーで使用される場合もありますが、排出ガスの後処理のためには尿素の注入が必要だということをご存知ない方もいらっしゃいます。そこでDPR-Ⅱシステムを新開発し、「尿素フリー」を実現することで、排ガス規制をクリアしつつ、利便性も大きく向上させることにこだわりました。
渡邉:
また、大きな社会課題となっているドライバー不足に対して我々にできることは何かを考え、「ドライバーに乗りたいと思っていただける車」を目指しました。
乗り心地を良くして運転の負担を軽減する、安全装備を充実させて危険性を低減させるなど、「3K(キツイ・汚い・危険)」と言われがちな物流の現場を少しでも支えるべく、居住性向上に努めました。
特に大型トラックでは、中長距離運転が多く、ドライバーが車内で休憩をとることが多くあります。そこで内装については、センターコンソールを無くすなど、空間をより広く取り、自宅にいるような感覚で休息できる場を目指しました。
また「外観のかっこよさ」にもこだわりましたので、未来のドライバーになる若い世代にも、トラックはかっこいいと思ってほしいです。
佐藤:
中型は、ドライバーを支援するため、極力シンプルな操作で運転できるトラックにしようと考えました。高齢のドライバーは特に、運転であれこれ気を遣うと、疲労に繋がってしまうこともあります。また若い世代にも、乗用車感覚で簡単に運転できることが魅力に繋がると考えました。そこで、ブレーキとアクセルのツーペダルで、発進も停止も楽にできる「操作性」にこだわり、自動変速機搭載車型を増やしました。
もう一つこだわったのは、「安全装置の標準装備」です。トラックの交通事故は社会に大きな影響を与え、運送業者の存続の危機にも繋がる恐れがあります。
そこで、中型トラックの全車両に、大型トラックと同等の安全装備(衝突被害軽減ブレーキ他)を標準装備し、安全性の大幅な向上を図りました。
司会者:新モデル開発で苦労した点はどこですか。
佐藤:
中型は16年ぶりのフルモデルチェンジですので、新型モデルの開発に初めて携わるという社員も多く、また古河工場という新工場で製造するということもあり、不慣れなことが多く、苦労した点もありました。
しかし、このような経験はなかなか得られるものではありませんので、「お客様のために」という想いを保ちながら、全社を巻き込んで進めてまいりました。
渡邉:
大型で苦労した点は、従来13リッターだった主力エンジンを、燃費や積載性能の点から9リッターにダウンサイズしたことです。
扱いづらいエンジンにならないよう、排気量は小さくても走行性能は13リッター並を目指すことが大きな命題でした。関係者の協力もあり、無事に良いエンジンができたのですが、販売会社からは当初懐疑的な反応もありました。そこで、全国に車両を運んで営業担当者に実際に体感してもらい、納得してもらえるよう努めました。
司会者:この新型モデルが、社会にどう役立つことを期待していますか。
佐藤:
新型モデルは、排出ガス低減にこだわった高い環境性能、運転の疲労を軽減できる高い居住性能、そして安全装置の標準装備など高い安全性能を併せ持つことで、ドライバーが安心して、活躍できるトラックにできたのではないかと考えています。これは、ドライバーを雇用する運送会社の経営者にとっての安心にも繋がるのではないかと考えています。
渡邉:
世間の交通事故のニュースを見るたび、衝突被害軽減ブレーキがあれば大きな事故にはならなかったのではないかと感じることがあります。日野自動車のトラックは2010年から衝突被害軽減ブレーキを備えておりますが、新型モデルではこれまで以上の安全装置を標準搭載しました。このような車両が早く普及し、トラックが安全であることは当たり前だという社会になってほしいと思います。