環境報告

第三者からのご意見» 印刷用 (PDF 702KB)

日野自動車の環境取り組みがどのように評価され、将来的にはどのような期待をされているのでしょうか。

株式会社ニッセイ基礎研究所の川村様より、ご意見をお寄せいただきました。

株式会社ニッセイ基礎研究所 川村 雅彦 氏

株式会社ニッセイ基礎研究所 上席研究員、ESG研究室長川村 雅彦 氏
株式会社オルタナ CSR部員塾・塾長

九州大学大学院工学研究科修士課程修了。
三井海洋開発を経て、ニッセイ基礎研究所に入社。
環境経営、CSR経営、環境ビジネス、統合報告を中心に調査研究に従事。
環境経営学会の副会長を務める。
著書に『CSR経営パーフェクトガイド』など。

1.報告の仕方について:グローバル報告の進展

環境報告の全体構成は昨年度にほぼ確立されたが、今年度も基本的に踏襲されている。つまり、「環境マネジメント」と「製品・サービス」「モノづくり」「環境コミョニケーション」から構成され、経営課題として環境配慮の考え方と実践が分かり易く報告されている。

当初から指摘している報告のグローバル対応についても、環境パフォーマンス・データのバウンダリーが単体、国内連結、海外と明示され、実態を反映できるようになった。
また、グリーン調達ガイドラインの展開などサプライチェーン全体での環境負荷低減の取組(スコープ3は算出次第公表予定)も含めて、『グローバル環境経営』への取組は着実に進んでいることがうかがわれる。

ただし、海外連結マネジメント強化に鋭意努力中とのことではあるが、今年度の報告では国内の取り組み内容が中心ゆえ、報告内容の更なる‘グローバル化’に期待する。
なお「2015年環境取り組みプラン」は終了したが、目標VS実績だけでなく、今後に向けた課題を明示しており、EMSのPDCAサイクルが活かされていることは評価できる。

2.報告の内容について:長期視点での環境ビジョンの構想を

今年度の特集は、「水素社会実現に向けた車両開発」と「生物多様性に配慮した取り組み」である。いずれもグローバルな商用車マーケットの経営戦略に関わる中長期的視野での重要テーマであり、日野自動車の将来社会の課題に対する姿勢の表れと考えられる。

前者は2020年に向けたFCバスの開発であり、車両の構造や仕組み、実証実験の結果を併記することで読み手にわかりやすい報告内容となっている。
後者は「2020年環境取り組みプラン」にも個別目標が盛り込まれ、生物多様性の課題明確化に向けた事業活動との関係を整理したものである。特に、事業活動の上流から下流までを対象とした「企業と生物多様性の関係性マップ」は我が国の製造業としては実に先進的である。上記との関連で、昨年制定された『生物多様性ガイドライン』は、概念的な認識ではなく、生物多様性の危機から説き起こし、「恩恵」と「影響」の両面から事業ライフサイクルの各段階と具体的に関連付けて自らの「取り組み方針」を明示していることは、他社のベンチマークとも言うべきものであろう。
水素社会と生物多様性は、21世紀のメガトレンドのなかで企業戦略の最重要課題と考えられるが、日野はそれに着目し果敢に挑戦することを高く評価したい。

しかしながら、現時点では必ずしも『2050年ビジョン』とはなりえておらず、気候変動への「適応」も含めて、社内で検討を開始したとのことであるため、なるべく早期の策定が待たれる。それにより世界の商用車をリードすることを期待したい。
なお、環境パフォーマンスについては、着実な取り組みを反映して、全体に改善傾向にある。しかし、温室効果ガスの排出総量は必ずしも低減傾向にはないため、専門の「CO2削減W/G」による再生可能エネルギーなどを含む長期的な視野での計画的な取り組み改善に期待する。

ご意見を受けて

レポートへの貴重なご意見、誠にありがとうございました。

我々日野自動車は、レポート内容および構成の充実を図るべく、一昨年より「第三者からのご意見」を導入しております。

川村様からは、前年度レポートの報告方法において様々な角度からご意見をいただき、今年度レポートで「わかりやすさ」を念頭に改善を図ってまいりました。

今年度いただいたご意見も外部からの貴重なご意見であり、真摯に受け止めるとともに、社内検討の上で必要な改善を行ってまいります。

今後も日野自動車の環境取り組みに対する想いをわかりやすく世間に伝えていくことで、社会から信頼される環境先進企業を目指して努力してまいります。

日野自動車株式会社 安全環境推進部