環境報告

第三者からのご意見

日野自動車の環境取り組みがどのように評価され、将来的にはどのような期待をされているのでしょうか。

株式会社オルタナの川村様より、ご意見をお寄せいただきました。

株式会社ニッセイ基礎研究所 川村 雅彦 氏

株式会社オルタナ オルタナ総研所長・主席研究員
株式会社ニッセイ基礎研究所 客員研究員 川村 雅彦 氏

九州大学大学院工学研究科修士課程修了。
三井海洋開発を経て、ニッセイ基礎研究所に入社。
環境経営、CSR経営、環境ビジネス、統合報告を中心に調査研究に従事。
現在はCSRコンサルタントも手掛ける。環境経営学会の副会長を務める。
著書に『カーボン・ディスクロージャー』『CSR経営パーフェクトガイド』など。

1.報告の仕方について : グローバル報告の更なる進展を

本意見は昨年に続き、四回目となる。
昨年述べたように、環境報告の全体構成と報告事項はほぼ確立され、事業における環境配慮の想いや考え方とともに、実践内容と今後の課題が簡潔に記載されている。

他方、「国内の取り組み報告が中心ゆえ、報告内容の更なる“グローバル化”に期待する」とも述べたが、なお改善の余地ありと言わざるをえない。
2015年公表の「日野の目指す姿」などに示された、海外に軸足を置いた成長戦略に基づき、アジアや北米を中心に生産供給体制のグローバル最適化が加速する中、環境経営もリスクと機会の両面から対応することが不可欠である。
そのためには、バリューチェーン全体を視野に入れた『グローバル環境経営』の確立が必要である。

すなわち、国内・海外の環境情報収集を含む全機能が統合されたEMS(環境マネジメントシステム)の強化である。
これにより、環境報告全体の内容充実とともに報告内容のグローバル化も図れる。

2.報告の内容について : 業界に先駆けて「日野環境チャレンジ2050」を策定

今年の環境報告の中で注目すべきは、特集として取り上げられた「日野環境チャレンジ2050」である。社長のメッセージにもあるように、「製品ライフサイクル全般で環境に負荷を与えている」との認識のもと、50年先・100年先を視野に入れた「日野グループ共通のチャレンジ目標」として策定された。これは世界の商用車専門業界内でも先駆けとなる取り組みであり、高く評価したい。

このバックキャスティングによる長期目標では、脱炭素社会に向けた「新車CO2ゼロ」「ライフサイクルCO2ゼロ」「工場CO2ゼロ」とともに、「水環境インパクト最小化」「廃棄物ゼロ」「生物多様性インパクト最小化」の目標を設定し、それぞれの取り組み方策の方向性を明確にした。

気候変動に対する世界共通の長期戦略目標を定めたパリ協定に象徴されるように、2015年は文明の大きな転換点となった。もはや20世紀型のビジネスモデルは通用せず、むしろ経営リスクとなる。この考え方に立てば、「日野環境チャレンジ2050」は持続可能な企業成長と新しいイノベーションを生む、大いなる“適応戦略”となったのである。

併せて、環境推進体制も強化された。社長が議長を務める「日野環境委員会」の直下に設置されている製品・生産・物流・本社・販社の機能別の環境会議に加え、国内・海外のグループ内サプライヤーである関連会社環境会議が生産機能より独立し、上記の機能別会議と同列に配置された。今後は各機能と連携し、グローバル環境経営を更に強化することが求められる。

また、サプライチェーン・マネジメントとして、「グリーン調達ガイドライン」によるフォローが強化されたことも一歩前進である。
具体的にはアンケートを活用したサプライヤーへの意識付けと、強み・弱みの分析である。
その結果については今後フィードバックしていくとのことだが、それを確実に行い、更なる体制強化に繋げていただきたい。社外に対してもこの取り組みを随時公表し、より充実した環境コミュニケーションとなることを望む。

最後に、マザー工場と位置付けられる新しい古河工場の稼働に触れておきたい。
来年度末にはEMS認証所得の予定であり、これを核として世界各地の拠点に広めてべく、『世界のHINO』の実行力に期待したい。

ご意見を受けて

レポートへの貴重なご意見、誠にありがとうございました。
我々日野自動車は、報告方法や内容の充実を図るべく、「第3者からのご意見」を導入しております。

川村様からは、前年度レポートの報告方法において様々な角度からご意見をいただき、今年度レポートでは構成、および各種環境取り組みの考え方明確化等を重点に強化を図ってまいりました。

今年度いただいたご意見も外部からの貴重なご意見であり、真摯に受け止めるとともに、社内検討の上で必要な改善を行ってまいります。
今後も日野自動車の環境取り組みに対する想いをわかりやすく世間に伝えていくことで、社会から信頼される環境先進企業を目指して努力してまいります。

日野自動車株式会社 安全環境推進部