日野レンジャー2号車、今年の改良ポイントはここだ!

2017年6月22日
No. PD18-07

ダカールラリー2017では、トラック部門の総合8位でゴールをした日野レンジャー2号車。さらなる進化を目指し、日野レンジャー2号車は今年も改良を重ねています。その改良ポイントを、日野自動車 技術研究所の榎本満さん、山下孝さんに語っていただきました。

6月上旬、日野自動車 茨城テストコースにて、日野レンジャー2号車はシェイクダウンを実施。その様子を真剣に見つめる2人の人物がいました。その名前は、日野自動車 技術研究所の榎本満さんと山下孝さん。お二人は、日野レンジャーのダカールラリー参戦車の、現在のモデルを立ち上げた開発メンバーです。今回のダカールニュースでは、そんなお二人に、今年の改良ポイントを教えていただきました。

榎本満さんと山下孝さん

―今回の車両の変更点はどこですか?

榎本:旋回時のリヤアクスルステアの状態を変更しました。ハンドルを切って曲がろうとする時、リアアクスルをどのようにステアさせるかで車の安定性が決まります。今回初めて、旋回した時のリアアクスルのステア角がゼロになるように設計しました(ロールニュートラルステア特性)。そうすることにより、旋回中、急に進行方向を変えるような挙動変化がなくなり、ドライバーが安心してアクセルを踏み続けられるようにしました。

技術研究所 榎本満さん
技術研究所 榎本満さん
リヤアクスルステアの状態

―実際の走行をご覧になっていかがですか?

榎本:安定して走行できているなという印象です。ドライバーからも、「操舵に対する車の動きが自然になった」というお言葉をいただきました。

―車両の仕上がりはいかがですか?

榎本:事前試験の中で私もハンドルを持って実際に走行し、操縦安定性と乗り心地の性能向上を確かめました。レーシングトラックのサスペンションとして、完成度はかなり上がってきていると思います。

技術研究所 山下孝さん
技術研究所 山下孝さん

―今回の車両の変更点はどこですか?

山下:昨年のシルクウェイラリーの反省点から、トランスファーの耐久性をあげること、センターデフのドッグクラッチの耐久性をあげること、という2点に行きつき、今回オーストリア製の新しいトランスファーを日野レンジャー2号車に搭載しました。
今、油温が少し高いですが、オイルクーラーをつけることで解決できると思っています。また、昨年破損したドッグクラッチですが、直径を大きくすることで耐久性は上がったと考えています。あとは、リアアクスルのデフを機械式のLSD(Limited Slip Differential)に変更しました。実際に走行し、ドライバーからは、「手応えあり」と好印象を持っていただけたようで、よかったです。

―ドライバーから、「手応えあり」とのフィードバックがあったとのことですが、具体的にはどのようなお話でしたか?

山下:コーナリングの姿勢の安定感が増している、ということでした。平均車速を上げていけばいくほど、ナーバスな動きはできるだけ排除していく必要があります。ドライバーが無理することなく、速度を維持したまま車両の姿勢を安定させることができる、ということが大きな狙いであり、今回その成果が出ていると思っています。

技術研究所 山下孝さん

―車の仕上がりはいかがですか?

山下:昨年より、確実に性能は上がっていると思います。今年の改良ポイントは概ね完了しているので、あとは、シルクウェイラリーで大きな問題が出なければいいなと思います。

その他、以下の変更を施し、日野レンジャー2号車は、前回以上に進化を遂げています。

○その他の主な変更点

キャブデザインを新型日野レンジャーに変更
キャブデザインを新型日野レンジャーに変更
ブレーキパッドの材質を変更し、高温耐久性を向上
ブレーキパッドの材質を変更し、高温耐久性を向上
後方のロールバーの取付位置を後ろに下げ、ドライビングポジションを改善
後方のロールバーの取付位置を後ろに下げ、
ドライビングポジションを改善

日野レンジャー シルクウェイラリー2017参戦スペック

号車2号車
全長6,370mm
全幅2,500mm
全高3,150mm
ホイールベース3,970mm
車両総重量7,400kg
エンジン型式A09C-TI(ターボインタークーラー付)
エンジン形式ディーゼル4サイクル直列6気筒
総排気量8.866L
最高出力/回転数670ps/2,300rpm
最大トルク/回転数230kgm/1,200rpm
燃料タンク700L
駆動方式フルタイム4WD
トランスミッション前進6速・後退1速
トランスファーHi-Loレンジ切替付
タイヤXZL 14.00R20

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